大河ドラマ「平清盛」 第27回 宿命の対決 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/07/08 21:53

今回は平治の乱の後半戦。帝を手中に収め一気に逆転するという軍記物的カタルシスにあふれた「平氏ターン」の部分。前回信西に対する友情に閉口して残念な平治の乱になるかと思ったら、何とか持ち直しましたね。

今回のお話は、平治元年(1159年)12月18日、清盛の六波羅帰還から。忠清と並ぶ平氏の脳筋担当教盛は、完全武装で出陣する気満々。が、

清盛「今は信頼様がこの国の頂に立つお方。断じて攻めようなどとは考えるな」

教盛「

一方の源氏も、清盛の攻撃を予想して怪気炎。この源氏のヒャッハーっぷりに早くも嫌気がさし、後悔しきりの経宗惟方。大変麻呂マロしくてすばらしい。前回びびっていた成親は、妹の経子が重盛の妻である縁を当てにできるので余裕の表情。実際、成親は解官されちゃうだけで済みましたしね。 ミュージカル担当の後白河院は、幽閉中も今様を歌い、上西門院様(統子)にたしなめられる始末。上西門院様、やはりせりふ回しがはまってますね。現代劇だとこのヅカっぽさが浮きそうですが。ちなみに、公式のドラマ・ストーリーには
統子は後白河をたしなめようとするが、その顔を見て息をのんだ。後白河は歌いながら泣いていたのだ。
という1文が。

一時は盛り上がっていた源氏も、清盛が攻めてこないのでダレ気味。せっかく登場した朝長もダレて叱られる役。次回、彼は「最後」を描いてもらえるのでしょうか……。そこそこドラマ映えするエピだと思いますが。

ここに、清盛の名代として現れる家貞。信頼に従う証しとなる名簿(みょうぶ)を差し出します。このひょうひょうとした、あるいはすっとぼけた演技。ジジイっぷりと合わせて、さすが梅雀です。

信頼「頼もしいのう」

さすが、信頼さんはブレません。

六波羅に戻った家貞さん。清盛に首尾を報告しつつ、

家貞「そろそろ皆にからくりを明かされては?」

清盛と家貞がはかりごとを巡らせているシーンを見ていると、『毛利元就』で元就ほのぼのと陰謀を語り合う志道広良を思い出します。

韜晦のための平氏パーティーを開催しているとき、清盛を訪ねてくる経宗、惟方の二条親政派麻呂マロ。

「こたびの謀反は全て中納言の企てたこと。我らなどは巻き込まれたにすぎませぬ」

清盛「巻き込まれただけとは片腹痛い」

二条親政派麻呂マロのビビりっぷりも大変すばらしい。これでこそ麻呂マロ。そして清盛に命じられた通り、信頼をおだてて兵に酒を振る舞おうと提案する二条親政派麻呂マロ。酒に何か盛ったのかと思うくらい、不自然なまでに見事に眠りこける源氏雑兵。取りあえず、後白河と上西門院はこれで仁和寺へ脱出成功。上手くいきすぎなところがドラマっぽいのですが、仁和寺に脱出しちゃったことは史実なので仕方がありません。

一方の二条天皇は、ちゃんと女装して脱出。

これだけの事が起こっているのに爆睡中で気付かない信頼。さぁ義朝。あのセリフを言うときがやってまいりました!

義朝「この、日本一の不覚人が!

12月26日、二条天皇が六波羅に臨幸。

二条天皇「大宰大弐清盛。朝敵を討つがよい。中納言信頼、ならびに播磨守義朝を追討せよ!」

これで形勢逆転。平治の乱のクライマックスへ。静の状態だった平氏が動の状態に移行するこのタイミングが面白いところ。

ここで清三郎、突然の元服アンド初陣決定。

清盛「本日より宗盛と名乗るがよい。……さて宗盛、初陣じゃ」

宗盛「え?

さすが俺たちのムネムネ。早くもいい味を出してます。

内裏でも源氏が戦支度。指揮をする義朝の下に常盤がやってきます。このあたりが『義経』の第1回。加藤雅也義朝が稲森いずみ常盤に別れを告げてましたねぇ。

治承・寿永の乱のスター義経はまだ常盤のお腹の中。ドラマではここで牛若と命名。常盤&胎児義経は鬼若が保護するのかな? 為義さんに二百叩きされて以来源氏シンパになってしまった鬼若。為義さんが変なスイッチを押してしまったようです。

ついに平氏が内裏に攻め寄せ、合戦スタート。重盛義平の一騎打ちもありましたが、右近の橘・左近の桜の間を義平が重盛を追い回す内裏鬼ごっこエピはなし。まぁアノ甲冑を着て追いかけっこしたら、ビジュアル的にはギャグにしかなりませんしね。

俺たちのムネムネは、同い年の頼朝と対峙。りりしい表情で矢を射る頼朝とビビる俺たちのムネムネが、早くも将来を予感させます。

相変わらず義平と一騎打ちを繰り広げていた重盛は、(視聴者的には)ヒジョーに分かりやすくタイミングを計る仕草を見せて退却命令。これは、内裏での戦闘を避けた平氏が、六波羅に源氏を誘い出す戦略的後退です。

が、もちろんヒャッハーな源氏には分かりません。義朝は早速追撃を命じます。公式ドラマストーリーでは、平氏を追撃した義朝は進軍を停止。
義朝の視線の先、清盛の館の前にひとつ、またひとつと松明がともり、やがておびただしい数の松明と赤い幟が現れた。
とあり、戦場は六波羅、時刻も夕方から夜にかけて。松明が映える時間として書かれています。が、ドラマでは賀茂川(鴨川)をはさんでの対陣となっていました。

平氏の内裏撤退後は、洛中での市街戦、そして六波羅近辺、さらに六条河原(鴨川の河原)と戦場が推移したようなので、ドラマでは「六条河原」の名前は出ませんでしたが賀茂川の河原に話をまとめたようです。局地戦をダラダラ描写しても仕方がないので、悪くない演出。

平氏の圧倒的な兵力でフルボッコされる源氏。戦場を離脱した義朝と清盛は、びっくりするくらい人気のない場所までやってきます。あれだけの合戦が同じ河原で行われているとは思えない静かさです。こうして、清盛対義朝の間抜けな一騎打ちスタート。あり得ない闘いに興味はないのでさっさと済ませてください。私は剣玉の練習でもしてますんで。

主役による一騎打ちというと、名作『太平記』でも尊氏義貞がやらかしてくれちゃいました。あれは半分イメージ映像のような扱いでしたが、やはりアレはいただけない。

で、組み討ちに勝っても命は取らないとか、グダグダな一騎打ち終了。そもそも清盛も義朝もここで死ぬことはあり得ないので、本当にどうでもいい一騎打ちでした。

どうなることかと思いましたが、平氏の逆転という平治の乱のポイントも手堅く押さえていて楽しめました。やはり一騎打ちは安っぽくなりましたが、まぁドラマだからあの程度は仕方がないでしょう。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第27回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。