大河ドラマ「平清盛」 第48回 幻の都 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/12/09 21:10

一瞬の栄華の後、最終回に向かって没落し続ける一方の平家。清盛さんからは笑顔が消え、哀愁と寂寥感が吹きすさびます。悲痛な表情が多くなった平家の面々と、笑顔が多い頼朝一党が分かりやすく対比されています。

清盛は、忠清の諫言の一件を思い返してションボリ。一方の頼朝は、参陣した武士たちの所領を安堵して鎌倉殿としての権威を高めていきます。さらに佐竹攻めの出陣スケジュールを発表。それは日柄が悪いという、どこかで聞いたような反論がありましたが、頼朝はあっさり却下。「27日こそ以仁王(祝ヨシヒコ出演)の令旨が届いた吉日!」と、意志を貫きます。源氏は忠清が軍師じゃなくてラッキーだったなぁ。

全国にアンチ平家が増えたことで、公家たちも盛り返し始めます。兼実らは宗盛たちに還都を要求。時忠は反論しますが、俺たちのムネムネは沈黙し続けます。 そして、ムネムネが平家全体ミーティングを招集。清盛に還都を進言します。

斬首される忠正への言葉、頼朝と対決して腰を抜かしたこと、捕らえられた頼朝をdisって叱られたことなど、自分の黒歴史を涙ながらに開陳。

宗盛「私は、重盛兄上とは比べものにならぬ、できの悪い男子。拙い棟梁にござりましょう。それでも私は平家の棟梁にございます。私が一門の役に立てることがあるとすれば、今、このとき、父をお諫めすることにござります」

ムネムネという人はとにかく残念な人で、壇ノ浦で海に飛び込んだのに泳いじゃって助かって捕まっちゃうまでとにかくムネムネな人なわけですが、本作の宗盛はこれまでの源平モノ作品と競べてちょっと深い。ノベライズには存在した、時忠に持ち上げられて微妙に調子こいちゃったところがカットされたため、余計に好印象です。涙ながらに訴える場面はなかなかよかった。

また、清盛が還都を決意するきっかけとして、きれいにまとめたのではないでしょうか。

11月11日、安徳帝のための内裏が落成します。このとき清盛が行うと言った「五節」が、清盛が涙していた福原ラストパーティーのことです。

帰りなん いざ 田園将に蕪れんとす 胡んぞ帰らざる……
既に自ら心を以て形の役と為す 奚ぞ惆悵として独り悲しまん 已往の諫められざるを悟り来者の追うべきを知る……

官を辞して帰郷する決意を詩にした「帰去来辞」が、清盛の心境とピッタリ。夢の都を捨てるとあらば、涙も流れましょう。

回想シーンが長くてちとダレましたが、ノベライズではさらに延々と回想が続いています。あれでもかなりカットされていたわけで、ノベライズのままだったら私は寝ました。

11月29日、清盛福原退去。

頼朝は、いまだにスッキリしない様子。

頼朝「私はいまだはかりかねておる。あのお方の目指した武士の世とは。まことの武士とは、いかなるものであったのか」

そこへ義経がやってきて、挙兵の理由をインタビュー。そしてまた回想。

頼朝「私は力で平家を倒し、その上につくる。今度こそ、まことの、武士の世を」

そこで突然スイッチが入っちゃった弁慶。

弁慶「先々代の源氏の大将も浮かばれましょう!」

やはりダメ義さんにこだわってる。彼に叩かれたのがそんなにヨカったのでしょうか。

で、弁慶の昔話(コイツ何歳だよ)で清盛&鳥羽院のエアアロー事件を聞いた頼朝、自分までエアアローの餌食に。普通、矢を食らったような気がするなんてこと、絶対ないから。

政子も弁慶も義経もポカーン。

そして12月28日、重衡がやらかします。興福寺攻めの際に火矢を使い、強風に煽られて南都が焼き尽くされてしまいます。いわゆる南都焼き討ち。大仏殿を焼いちゃったのは、歴史上、重衡と松永久秀のみです。

公家も騒然。平家も騒然。さすがの清盛も愕然。

清盛「天は平家を見放したのじゃ」

そこへ、意気揚々と戻ってきた天然重衡。事の重大さを全く認識していないところが恐ろしい。

重衡「思いがけず火が風にあおられ、伽藍を焼き尽くしてしまいましたが、な~に、天もお許しくださりましょう」

清盛「ようやった」

言葉と裏腹に、終わった感満載の清盛の後ろ姿が哀れを誘います。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第48回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。