大河ドラマ「平清盛」 第25回 見果てぬ夢 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/06/24 22:31

保元4年(1159年)2月13日、統子内親王が院号宣下で上西門院となり、頼朝がその蔵人に。頼朝の助命も、池禅尼以上に上西門院の嘆願が利いたという説もありますね。

朝廷は二条帝親政派の藤原経宗惟方後白河上皇派の信西が対立。二条帝親政派が怒りを募らせるだけでなく、後白河上皇派からも憎まれ始めます。上皇から「あさましきほど」のご寵愛を被り中(一緒にご寵愛ダンス)の中納言 信頼。この粉大福が何で寵愛を受けるのか、ビジュアル的にははなはだ不思議ですが。

で、この粉大福がよりにもよって近衛大将を望むのですが、信西は容赦しません。

信西「近衛大将は特に際だった働きのないお方にやすやすと与えられる官職にあらず」

信頼「際だった働きのないとは誰のことか?」

信西「軽佻浮薄なお人柄と高き家柄のみにて公卿に上り詰められたお方のことにござります」

後白河「$( ゚∀゚)$ アハハノヽノヽノヽノ\/\」

信西は、後白河上皇の信頼寵愛を諫めるため、後白河に白楽天の「長恨歌」の絵巻物を献上しますが、後白河上皇は喜ぶだけで真意はスルー。信頼を安禄山(決して、絶対、全然、断じて楊貴妃ではない)に擬した真意は伝わらず。駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。 2月19日は上西門院の殿上始の儀。頼朝と清盛の初対面シーン。清盛に酒を供することになった頼朝ですが、緊張して酒をこぼしてしまいます。

清盛「やはり最も強き武士は平氏じゃ! そなたのような弱き者を抱えた源氏とは違う!」

ブチ切れて清盛をにらむ頼朝の目を見て、ほほえむ清盛。これが以前のシーンにつながっていることは後に明示されます。まぁ、酒をこぼして涙目でワビを入れた程度で「最も強き武士」だの「弱き者」だのと挑発するのは、場の雰囲気的に唐突感&違和感ありまくりでほめられた脚本とは言えませんが。

由良ちゃんは、ますます容体が悪化。由良を救うため、平氏に宋の薬を頼もうとする義朝を止める由良ちゃん。そもそも宋の薬ってそんなに万能か?って気がしますが。

義朝「たわけ、そなたの命に代えられるか!」

由良「……あれ、殿らしゅうもない。されど……うれしや

「うれしや」のセリフに泣けます。由良ちゃん、健気すぎ。

由良「どうか誇り高き源氏の妻として死なせてくださりませ」

由良ちゃん……。ここで終わりかと思ったら、

由良「と、父が……

最後に初期のツンデレ定型句復活。彼女の良さでもあるかわいらしさも忘れない、いいセリフでした(泣)。

夫の志を理解し支え、頼朝を厳しく育て成長を喜び、常盤の存在も受け入れる。近年の大河ドラマに登場した女性キャラの中でもトップクラスの素敵な女性でした(というか、近年の大河ドラマに出てくる女性に魅力的なキャラがいないような……)。田中麗奈のことを初めて「綺麗だなぁ」と思ったキャラでもありました。

3月1日、由良御前死亡。

信頼はせっせと平治の乱の下準備。成親に愚痴るだけかと思ったら、二条帝親政派の経宗、惟方を館にご招待。「敵の敵は味方」ってやつですね。さらに、義朝の抱き込み工作を始めます。

信頼「ボクと契約して信西を殺してよ信西の首を取れ」

ダメ朝さん化している義朝は、大福豚の起死回生案を拒否って逃亡。ツメの甘い豚です。断れる状況でこんな大事を明かしてしまって、チクられたらどうするのでしょう。

ちなみに、義朝と信頼の関係は古く、信頼に弱みを握られていたあるいは義理があった可能性があります。第19回で、義朝が悪源太義平に命じて大蔵合戦をやらかします。ドラマでは「友切を奪うための弟殺し」で、義朝と為義の断絶という意味しかなかった大蔵合戦ですが、もちろん源氏内部の問題では済みません。都で問題にされれば、義朝は当然処罰されます。

これをもみ消したのが、戦場となった大蔵館があった武蔵の当時の国司(武蔵守)だった信頼というわけです。平治の乱で義朝が信頼とタッグを組んだのは、この義理を果たすためか、信頼に弱みとして利用されたのか、いずれにせよ多少は影響していたはずです。後は信西に縁組みを拒否られた屈辱(『愚管抄』)とか? ドラマで使われている官職不満説は最近は否定気味ですね。

反信西派が体制を固める一方、遣唐使復活(「唐」はとっくに滅びてるんだが)に浮かれる信西。大願成就のため、清盛に熊野詣でを命じます。こうして、都に軍事的な空白が生じます。このあたりのスキというか甘さは悪左府さんに似てますね。いい意味でも悪い意味でも理想主義者で、自ら頼むところ大なので他者が自分を害する力を持っているとは想像していない。だから自分がノリノリの絶頂期にあっさり足をすくわれちゃう、と。

相変わらずシオシオしているダメ朝さんですが、復活のきっかけは頼朝から。彼に清盛について尋ねられ、幼少期(清盛数え15歳、義朝数え10歳)の競べ馬(第3回)を思い出します。2人とも、汚いだけでローティーンには見えませんが。

競べ馬に負けてヘコむ清盛を叱咤する義朝。

義朝「最も強き武士は源氏だ! 貴様のような情けない者を抱えた平氏とは違う!」

回想終わり。

義朝「そのとき俺は、ついに振り返らなかった。そのときの顔を断じて見られたくなかったから。俺はうれしかったのだ。あやつが立ち上がってくれたことが。生涯競い合える相手が見つかったことが」

頼朝「ようやく腑に落ちましてござります。あの日、あのお方がなにゆえ笑ろうておられたのか」

そう、上西門院の殿上始の儀における清盛のセリフは、第3回からの超ロングパスを受けてのものだったのです。それにしても、清盛の記憶力はすばらしい。チョコザイ級です。 彼は16年前の罵詈雑言をそらんじたりしますしね。

ともあれ、頼朝との会話で復活を果たした義朝。不覚人信頼とタッグを組んで起死回生を狙うという、明後日方向にやる気を出しちゃうところがイタいのですが、史実なのだから仕方がありません。

12月4日、清盛は熊野へ出発。9日には紀伊田辺に到着。信西と義朝に思いをはせているそのとき、都では……。

政務に励む信西に手を合わせる師光。この人、分かりやすい敵役になると思っていたのですが、源氏に同情したり信西に心から敬服する様子など、なかなか奥深い。鹿ヶ谷の前後で彼をどう描くのか、実に楽しみです。

最後に、義経懐妊のお知らせ。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第25回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。