大河ドラマ「平清盛」 第5回 海賊討伐

カテゴリ:平清盛
日時:2012/02/05 23:39

今回は、ノベライズや公式ガイドには存在する(エグい)エピソードがカットされていました。源氏云々のところはともかく、璋ちゃん対得ちゃん(というか得ちゃんの一方的な攻撃)をカットしちゃいますか……。これについては後述します。

第5回は長承2年(1133年)7月、平五郎の誕生から。後の通称「池殿」こと頼盛。彼の母である池禅尼(宗子)が清盛に命乞いをしてくれたということで、後に頼朝に厚遇される人物です。

北面に出仕している清盛は、盗賊キャットが縁で義朝と共に佐藤義清(西行)の館を訪問。この年、清盛と義清が数え16歳(満14~15歳)義朝11歳(満9~10歳)。家督を継いでいる義清の落ち着きはともかく、それに引けを取らない義朝は老成しすぎ。というか義朝にツッコまれる清盛って……。まぁ清盛は平氏の密貿易についても浅慮から問題化させちゃいますしね、当面はダメな子が続きます。彼がしっかりしてくるのは忠盛の死後あたりですかねぇ。 ここでは賛否ありそうではありますが、3人の武士が各々の志を言語化してキャラ立ちさせるというエピソードです。

義朝「王家に武士の力を思い知らせたい」

義清「私はただ美しさを求めているだけだ。いかなる世においても、美しく生きることが私の志だ」

清盛「俺は、面白う生きたい」

現代ラブコメだったら、義清は絶対にバックがバラだったり歯が光ったりするタイプですな。

続いては王家パート。新燃料投下で加速度的にドロドロねとねとしていきます。崇徳帝は今回から本役のARATAにチェンジ。鳥羽院に歩み寄ろうとする崇徳帝の提案を、鳥羽院はあっさりリジェクト。ちなみに、両者を仲介していた崇徳帝の近習:矢島健一は、藤原教長。ちと分かりにくいですね。保元の乱あたりで活躍してくれるかな? が、あのダメ義さんを味方に引き入れるのは活躍と言えるのか……?

璋ちゃんの下へは、長実、得子親子が得子入内を願い出ます。この国広長実、第1回にも登場していたのですが十数年分ちゃんと老けさせてますね。「ああ義経が……」と思うと感慨深い。

これが王家ドロドロ劇第2幕のヒロイン、璋子と得子の初対面。2人とも美女が演じているのでごまかされそうですが、実は両者はかなりの年齢差があります。璋子が1101年生まれで、得子が1117年生まれ。得子の方が16歳も若いのです。1133年の時点だと、璋ちゃんは美しいとはいえ下り坂に入った三十路。対する得ちゃんは数え17歳(満15~16歳)のピチピチギャル(死語)。男を巡る女の争い(争いにならないんだけど……)という観点では、この年齢差は結構重要なのでは。特に得ちゃんは失うモノなどない、怖いモノ知らずな十代なわけですし。

で、得ちゃんの入内を安請け合いした璋ちゃんは、鳥羽院に早速斡旋。ここで、よせばいいのに鳥羽院は璋ちゃんの天然地雷原に特攻してしまいます。

鳥羽院「そなたは何ゆえ、朕の下に入内したのか」

璋子「(白河)法皇様の仰せ故にござりました。(中略)あの時は、悲しゅうて、辛ろうて、入内して間もなく悲しみの余り寝付いてしまいました。するとあなた様は仰せになられたのです。法皇様に会うがよい、と。私は久方ぶりに法皇様にお会いし、存分にご寵愛を被りました。あれはあなた様のお計らいにございましょう?」

鳥羽院爆死。

鳥羽院「お前のような女をまともに相手にした私が愚かであった。お前は人ではない。もののけだ。先の院と同じ現に生きるもののけだ!」

時間がかかり過ぎましたね。この鳥羽院も結構ニブいのでは?

毎度のごとく、璋子に突撃しては天然爆弾に爆死して逃げ出す鳥羽院。今回は雨の中に飛び出してすっころび、得子に目撃されてしまいます。で、

鳥羽院「私ももののけのごときものになろう」

とつぶやき、とても「濡れねーんだよ!」などとは言いそうにない得子に襲いかかります。事が終わった後、「……入内はあきらめよ」という鳥羽院に得子が「これで終わりにござりますか」と答えるわけですが、ノベライズや公式ガイドではこのセリフの後に、

得子「これでは落ちぶれた貴族の娘をひとり傷つけただけにござります」

が入ります。

内裏では麿軍団が海賊対策ミーティング。ここから保延元年(1135年)です。

通憲による公卿批判も糠に釘状態。そのまま藤原忠実が締めてしまいますが、ここもエピソードがカットされています。

カットされた部分を適当にまとめると、麿ミーティングにおいて、海賊対策として源氏を追討使に決定するのです。忠実はダメ義さんと結んでいるので、源氏が武功を挙げれば摂関家に有利、ということです。が、鳥羽院は麿軍団の源氏案を却下し、忠盛の起用を命じます。忠実による鳥羽院の平氏重用非難などギスギスしたシーンもあったようで、國村隼と三上博のピリピリとした演技が視られなかったのは残念です。

このようなカットされたエピソードを経て、平氏が海賊討伐に向けて集合するシーンへ。
清盛を出陣させ家盛を留守居とすることに忠正がものいいを付けます。対する清盛は、相続権放棄宣言。去年、ゴロ寝秀忠も似たようなことを言ってましたねぇ。ま、「俺は家督なんて興味ないぜ」的な主人公は多いですしね。この清盛は出自に引け目その他を抱えての発言なのでしょうが、ありがち主人公の「地位にこだわらないところがクール」的な厨二的宣言にしか聞こえませんでした。

こうして西国(安芸)に進発する平氏ご一行を見送るダメ義さん。そこに現れた義朝、東国下向を宣言します。「頼もしき数え13歳」というところですが、義朝の東国下向は実は廃嫡・追放だったという説もあります。

東国下向時点の義朝は無官の「上総曹司」。一方、弟の義賢は「東宮帯刀先生」という立派な職にありました。義朝の母は白河院近臣・藤原忠清の娘であり、白河院に蟄居させられた藤原忠実とダメ義さんが結びつくに際して義朝が忌避された、と。ありそうな話ではあります。

それにしても、無官の少年なのに自力で東国武士を束ねちゃった義朝さんパネぇっす。といっても、彼には鎮西八郎為朝というさらに上をいく化け物(弓矢で300人乗りの軍船を撃沈などなど)な弟がいるわけですが。時々「為朝は出てこないのか?」という声を聞きますが、1135年時点ではまだ生まれてません(1139年生まれ)。

ここで、鳥羽院らが水仙を見に行く王家パートエピソードがカットされています。鳥羽院に続いて璋ちゃんが輿に乗ろうとすると、得ちゃんが璋ちゃんの輿に乗り込んでしまいます。にもかかわらず鳥羽院が「出せ」と命じて鳥羽院と得ちゃんの輿は出発。璋ちゃんは置いていかれて立ち尽くす……。また、この立ち尽くす璋ちゃんを義清が見るところもポイント。後にいろいろとつながるエピだと思うのですが……。

平氏は平氏でギスギス。鱸丸をめぐるいざこざの後、静かに心情を吐露する忠正。いい憎まれ役です。彼が清盛に殺されるエピソードは泣けそうです。死の直前に忠正が清盛を認めて和解するにせよ、最後まで清盛を忌避したままにせよ。

忠正の心情を知った清盛はまたもモヤモヤ。

清盛「何をしておるのだ。俺はこんなところまできて、何をしておるのだ」

阿部サダヲ通憲「何でもよい!

こういうの大好き。

荷車の菰(こも)に隠れて排泄はどうしてたんだという疑念はともかく、「息苦しかった」というのが何とも。生き埋めフラグですか?

そういえば、鱸丸は第2回で餓死寸前で登場してましたね。アレも絶食死のフラグ?

次回はパイレーツ・オブ・瀬戸内アン。兎スパローはどうでもいいのですが、本ドラマ最大のツンデレ娘・由良ちゃん登場。ダメ義さんとのやりとりが楽しみです。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第5回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。