大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第45回 魔王のいけにえ 感想
カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/11/12 22:15
今回は、信康自刃事件前編。通説ベースで特別新解釈といったものはないものの、うまくまとめてきました。
長篠の際にも岡崎と浜松のバランスが問題になりましたが、実際に岡崎と浜松は深刻な緊張関係にあったのではないか、という説があります。ドラマでは、前回の家康暗殺未遂事件がこれに利用されます。
徳川信康の側近である近藤武助が暗殺を企てた(実在の近藤武助はそんなことをしていない)ことにより、岡崎衆にも城下に住むことを禁じる罰が下されます。憤る岡崎衆ですが、ここはさわやか信康が収めます。
このタイミングで、家康に次男長丸(秀忠)が誕生。この時点で天正7年(1579年)4月。これでますます岡崎と浜松の関係が微妙になります。
信康の立場強化を目的に、岡崎は信康に側室を置くことを決定。この意図は徳姫を通じて織田信長にも伝えられます。この時点で、徳姫のメールは瀬名らの意図を正確に伝えており、齟齬は生じていません。 そして明智光秀が岡崎を訪問。岡崎の立場を強化するため従五位下をゲットしようぜと勧誘します。信康は例によってそつなくお断り。信長のあからさまな抱き込み工作を華麗にスルーします。父と同格の従五位下などもらったら浜松との緊張関係は激化。かといって信長のオファーをお断りするのも死亡フラグ。この時点で詰んじゃってます。
家康は、岡崎を安心させるため家康が岡崎、信康が浜松に入るプランを提案。それを信長に報告するため、酒井忠次が安土城に向かいます。『三河物語』のエピソードのアレンジですね。細かいところがちょいちょい変えられていますが、大枠としては通説に準じて展開するようです。
現れた信長から出たのは「なぜ徳川殿は余を欺こうとするかのう」というお言葉。これは怖い。そこで光秀が持ち出したのは、徳姫メール。ドラマでは「数々の悪行」と言っていたのみですが、ノベライズの地の文には、「十二か条にも及ぶ、信康の悪しき行状」とあるので、これまた『三河物語』通りです。
このメールには、徳姫に断りなく側室を置いたことが挙げられており、先の徳姫メールと矛盾しています。このことから、十二か条メールは意図的な言いがかりであることが分かります。
信長に超プレッシャーを受けた忠次は、信長の言い分を認めてリターン。これも『三河物語』通り。ドラマでは、家康ぐるみと信康の独断の択一を迫る形で、忠次がまともに弁護できない状況をうまく作り出していました。
榊原康政が岡崎に行き、家康の意向を伝えつつ軽くヒアリングしたことにより、事態が明らかになります。信康が側室にした2人は武田の旧臣(浅原昌時および日向時昌)の娘だったが、徳姫は怒っていない。長丸誕生に乗じて官位で信康の抱き込みを図り、信康が辞退したことがきっかけである、と。
苦悩する家康は、於大の方の説得で信康を斬る決断を下します。外で聞いていた康政の表情がまたすばらしい。四天王の1人ながら小物臭がひどい忠次にガッカリしていましたが、尾美としのりが加わったことで徳川家中が引き締まりました。やはりうまい人がいると見入ってしまいます。
で、なぜか岡崎にやってくるおとわ。何と超偶然なことに、その日は家康が岡崎に来る日だというではありませんか。すげー偶然だなー。
おとわと瀬名によるおばさんガールズトークは、内容はしょうもないものの、瀬名の浮かれっぷりでその後の悲劇との落差を演出。意図は分かりますが、おとわが来たあたりから興ざめしっぱなしです。
そして家康登場。武田と内通したかどにて信康に死罪を言い渡します。平岩親吉が身代わりになると申し出たところも通説通り。
信康自刃事件には謎が多く、信長の命令という通説に対して、近年は岡崎と浜松の対立が原因で、家康が信長に信康処分の許可をもらったという説が有力視されています。ドラマは三河物語以来の通説を使いつつ、岡崎と浜松の微妙な関係に信長が介入して徳川の弱体化を図るという形でうまくまとめていました。目新しさこそないものの、各人の動きや心情が自然で面白かったと思います。
一方、松下常慶は今川氏真を訪問。家康の密書を一読し、力添えを即断するのでした。何だかかっこいいぞ氏真。がんばれ氏真!
2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
もご利用ください。
長篠の際にも岡崎と浜松のバランスが問題になりましたが、実際に岡崎と浜松は深刻な緊張関係にあったのではないか、という説があります。ドラマでは、前回の家康暗殺未遂事件がこれに利用されます。
徳川信康の側近である近藤武助が暗殺を企てた(実在の近藤武助はそんなことをしていない)ことにより、岡崎衆にも城下に住むことを禁じる罰が下されます。憤る岡崎衆ですが、ここはさわやか信康が収めます。
このタイミングで、家康に次男長丸(秀忠)が誕生。この時点で天正7年(1579年)4月。これでますます岡崎と浜松の関係が微妙になります。
信康の立場強化を目的に、岡崎は信康に側室を置くことを決定。この意図は徳姫を通じて織田信長にも伝えられます。この時点で、徳姫のメールは瀬名らの意図を正確に伝えており、齟齬は生じていません。 そして明智光秀が岡崎を訪問。岡崎の立場を強化するため従五位下をゲットしようぜと勧誘します。信康は例によってそつなくお断り。信長のあからさまな抱き込み工作を華麗にスルーします。父と同格の従五位下などもらったら浜松との緊張関係は激化。かといって信長のオファーをお断りするのも死亡フラグ。この時点で詰んじゃってます。
家康は、岡崎を安心させるため家康が岡崎、信康が浜松に入るプランを提案。それを信長に報告するため、酒井忠次が安土城に向かいます。『三河物語』のエピソードのアレンジですね。細かいところがちょいちょい変えられていますが、大枠としては通説に準じて展開するようです。
現れた信長から出たのは「なぜ徳川殿は余を欺こうとするかのう」というお言葉。これは怖い。そこで光秀が持ち出したのは、徳姫メール。ドラマでは「数々の悪行」と言っていたのみですが、ノベライズの地の文には、「十二か条にも及ぶ、信康の悪しき行状」とあるので、これまた『三河物語』通りです。
このメールには、徳姫に断りなく側室を置いたことが挙げられており、先の徳姫メールと矛盾しています。このことから、十二か条メールは意図的な言いがかりであることが分かります。
信長に超プレッシャーを受けた忠次は、信長の言い分を認めてリターン。これも『三河物語』通り。ドラマでは、家康ぐるみと信康の独断の択一を迫る形で、忠次がまともに弁護できない状況をうまく作り出していました。
榊原康政が岡崎に行き、家康の意向を伝えつつ軽くヒアリングしたことにより、事態が明らかになります。信康が側室にした2人は武田の旧臣(浅原昌時および日向時昌)の娘だったが、徳姫は怒っていない。長丸誕生に乗じて官位で信康の抱き込みを図り、信康が辞退したことがきっかけである、と。
苦悩する家康は、於大の方の説得で信康を斬る決断を下します。外で聞いていた康政の表情がまたすばらしい。四天王の1人ながら小物臭がひどい忠次にガッカリしていましたが、尾美としのりが加わったことで徳川家中が引き締まりました。やはりうまい人がいると見入ってしまいます。
で、なぜか岡崎にやってくるおとわ。何と超偶然なことに、その日は家康が岡崎に来る日だというではありませんか。すげー偶然だなー。
おとわと瀬名によるおばさんガールズトークは、内容はしょうもないものの、瀬名の浮かれっぷりでその後の悲劇との落差を演出。意図は分かりますが、おとわが来たあたりから興ざめしっぱなしです。
そして家康登場。武田と内通したかどにて信康に死罪を言い渡します。平岩親吉が身代わりになると申し出たところも通説通り。
信康自刃事件には謎が多く、信長の命令という通説に対して、近年は岡崎と浜松の対立が原因で、家康が信長に信康処分の許可をもらったという説が有力視されています。ドラマは三河物語以来の通説を使いつつ、岡崎と浜松の微妙な関係に信長が介入して徳川の弱体化を図るという形でうまくまとめていました。目新しさこそないものの、各人の動きや心情が自然で面白かったと思います。
一方、松下常慶は
2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
もご利用ください。