大河ドラマ「軍師官兵衛」 第25回 栄華の極み 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/06/22 22:56

アバンは、大盛況の黒田託児所のある日。賑やかで結構なことですが、何この風景? ノベライズによると、天正9年(1581年)2月、黒田一族が集まったパーティーとのこと。主立ったメンバーの他、ブラザー櫛橋の遺児、善助と宇宙人の娘、前回唐突に仕官してきた小河信章もいたらしいのですが、まぁどうでもいいか。

姫路城がリニューアルオープンし、早速軍議開始。山陽道の「境目七城」は攻略が面倒なので調略で片付け、山陰道に進もうぜ、と進言する官兵衛。おっと、鳥取城に死亡フラグ。

こうして、共同戦線を張る光秀のところに官兵衛がお使いに。 光秀の居城、坂本城には吉田兼和(兼見)が滞在中。この人、細川藤孝のいとこで、本能寺の変の際には光秀と密に接触していたといううさんくさい人物です。数ある本能寺の変の真相説の1つ、「朝廷黒幕説」で必ず関与を疑われる人ですね。

兼和「帝はそなたをあてにしておられる」

さらに関白 九条兼孝を介して、正親町天皇が「日向守が忠勤、あっぱれじゃ」とのお言葉があったことを伝えられ、光秀感激!

ドラマではエピの順番が入れ替わっているためこの後のシーンがカットされていましたが、この後、光秀、藤孝、兼和のトークがあります。お使い官兵衛の到着が知らされると、「都でも官兵衛の話が知れわたっている」と兼和が話し、官兵衛とのミーティングに浮き立つ光秀に、藤孝がツッコミを入れるという、まぁ必要かと問われればなくてもいいと答えてしまう、どうでもいいエピでした。

ここに来て、朝廷関係者もチョロチョロと登場。若干麿マロしさが足りなかったのが残念。

そんなやりとりがあったとも知らず、坂本城の一室に通された官兵衛。そこに倫が乱入。有岡城の末路に涙する倫ですが、官兵衛相手に何を話したいのか、全く着地点が見えません。で、光秀登場でさっさと退場。倫、何しに出てきたんだ?

倫的には、同じく有岡城の思い出(?)を共有できる官兵衛と語らって自分を慰めたいってところでしょうが、ドラマ的に必要性が感じられません。ただ倫を出したかっただけちゃうんかと。実にしみじみと、いらないシーンでした。

本題の鳥取城攻めについては、ほんの一瞬で完了。えっ、これで終わり? で、余談が延々と続きます。突然村重の消息を俎上に載せ、彼の心中を推察する光秀。

光秀「恐ろしかったのだ、上様が……」

が、そんな村重の心中を全く忖度せず、「新しき世」とかいう役に立たない説得というか説教をして1年も監禁されちゃった愚かな男が光秀の前にいる、と。が、それ以前から調略・説得失敗続きの男をなぜか非情に高く評価している光秀さん。ヘッドハンティングを始めます。

ここで光秀から、前回官兵衛がもらった1万石は秀吉からのものであることが判明。織田の直臣かと思ったら、織田家中の一武将(大名)にすぎない秀吉の家来。信長から見れば、官兵衛は単なる陪臣にすぎないというわけです。なるほど、江戸時代だったら「大名」とは見なされない。1万石の陪臣では、大身旗本からもバカにされちゃうような身分ですなぁ。

それにしても、

陪臣を大幅加増でヘッドハンティング
 ↓
義理堅く謝絶
 ↓
ますます気に入られる

というエピは大河の伝統芸能? 『独眼竜政宗』あたりから(それ以前は覚えてない)、延々と繰り返されるパターンです。特に最近は、脚本家の質が劣化して主人公の有能さを行動で示すことができず、周囲の不当ともいえる過大評価で表現するという、「逃げ」が横行しているような気がします。

今年も官兵衛の有能さが全く表現されておらず、周囲の「さすが官兵衛じゃ」という空虚な称賛を繰り返す、実にみっともないパターンに陥っています。実にダサい。

続いて、兼和からミーティングのアポ取り。

たかだか秀吉の一家臣にすぎない官兵衛に、帝の心情をぶっちゃけトーク。カットされたセリフでも言ってたじゃん。「有岡城に一年も幽閉されたのちに、見事に生きて帰ったというお話は、都でも知れわたっています」と。アンタが知ってるのは、官兵衛がマヌケにも敵城に乗り込んでとっ捕まったという話だけじゃないですか。

一応、最後に本題を挿入。
兼和「明智様に、黒田様が力を貸したら、よき世の中が築けると思うのや。古きものが心安らかに生きていける世が……」
兼和「私の勝手な思いでな……いずれまた」

本能寺の変に朝廷がからみそうな臭いを漂わせてこのシーン終了。これみよがしに使われるモノクロ止め絵が実にダサくて残念でしたが。

個人的には、朝廷説に限らず本能寺の変黒幕説には同意できないんですが。

ノベライズとはまたまたエピの順番が変更され、弥助登場の前に秀吉と官兵衛による直家お見舞い。またもや直家が予言スキルを発動します。これだけの能力があったら、毛利なんか滅ぼしてたんじゃないか?

直家「宇喜多家は秀吉殿に賭ける。あの男がいずれ天下を狙える器だからだ」
直家「織田の天下? なるかのう……。信長は……危うい」

暗黒安国寺恵瓊の「高ころびにあおのけにころばれ云々」くらいはまあぁ創造できないこともないと思いますが、その次までこのタイミングで読むとなると、もはや超能力者です。

そして安土の織田骨董店。純白のオウムなどの珍品が取りそろえられています。あのオウムは、きっと「チチウエ。チチウエ」としゃべるに違いない。

そこへ、ヴァリニャーノとオルガンチノが新商品「黒人」を納品。ノブ、大喜びで「弥助」と命名。墨を塗っていると思って体を洗わせることなく、信じたようです。

リニューアル姫路城に戻ってきた官兵衛と秀吉は、大パーティーを開催。ノベライズには、おねが送った扇を見ながらみんなで半兵衛を偲ぶくだりがあるのですが、ざっくりカットして、次の田楽シーンからスタート。もう、みんな半兵衛のことは忘れてしまいました。

ここは、別に面白くもない馬鹿騒ぎを見せられるだけ。光の熊之助受胎フラグと秀吉深酒でお鮮の名を口走る下準備用ってとこですか。パーティーシーンは退屈でした。光とおねの語らいとか、薄っぺらくて見てられない。

7月15日、突然ひげが生えた江口信長。角度によってはカッコ良く見えるのですが、角度によってはイマイチで、何だこの微妙なビジュアルは。

この日、信長が安土ライトアップをプロデュース。

そして天正10年(1582年)。「天正10年」といえば、本能寺の変。年頭挨拶のくだりは薄っぺらいのでスルー。

小早川隆景は「境目七城」の城主たちを招いて備後三原城で決起パーティー。史上に名高いというか悪名高い「鳥取の渇え殺し」は既に終わり、鳥取城は落城済みです。

威勢の良いことを口走る諸将の中で、高松城主の清水宗治が冷静な状況分析&討ち死にの覚悟を開陳。

隆景「さすが山陽道に知らぬものなき清水宗治じゃ。お主を1人で死なせはせん」

まー、結局隆景はまた援軍するする詐欺をやらかして、宗治「1人が」切腹して高松城開城。隆景は豊臣政権で大老、なんですが。この脚本、遠回しに毛利をdisってる?

姫路では、木刀素振りの専門家、松寿が元服。長政本役登場。特筆すべきことなし。

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