大河ドラマ「平清盛」 第22回 勝利の代償 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/06/03 22:07

今回は保元の乱の直後から。超有名泣かせどころエピ「忠実による頼長拒絶」の回です。國村さんの魅せどころ。さすが、期待以上で大変すばらしかったものの、冗長なシーンも多くてやや退屈でした。

保元元年(1156年)12月12日。まずは頼長さんのアフター保元の乱。首に流れ矢を受けて「矢頼長」になるエピは欠かせません。ちなみに、クレジットの「図書允(ずしょのじょう)俊成」は、ここで頼長に声を掛け、忠実の屋敷の門を叩きながら呼びかけていた人です。

次は崇徳ターン。輿を守っていた武士や随員を解放し、出家を望む崇徳院。しかし、

教長:僧も剃刀も思うようになりません。お望み、かなえることができません

崇徳:何と思うままにならぬ我が一生よ

まぁそうなのですが、鳥羽院に最後まで疎まれた史実と異なり、このドラマの場合は鳥羽院がさしのべた手を払いのけてますから、ちょっとだけ自業自得ポイントが付いちゃっている崇徳さんでした。 続いてシーンは高松殿へ。ドラマには、ここでノベライズにはないエピが追加されていました。父を失い、うなだれる正清に、懇ろに声を掛ける長田忠致!(平治の乱に破れて頼ってきた義朝・正清主従を騙して殺した人)

ここはもう、「お前がいうなー!」と視聴者が総ツッコミすべきシーンですね。

後白河:つわものどもよようやった

により、戦の緊張感も解けて弛緩する清盛・義朝。ここでちと長い友情トークが展開されます。平治の乱で敵味方に分かれる悲劇を高めるためにも、両者の友情は盛っておきたいところでしょうが、ちと退屈。会話は適当にスルーしてしまいました。ま、ノベライズで内容は補完できますしね。

ここでは友切→髭切の改名が、義朝のツンデレっぷり「べ、別にアンタなんか友達じゃないんだからね!」(劇中セリフは「き、貴様を友と言うたのではないぞ!」)と共に語られます。こうしてみると元ツンデレの由良ちゃんとお似合いです。

で、何と清盛が髭切の命名者になってしまいます。もちろん、ドラマオリジナル設定ですが。

そして両者の帰宅時の様子が描写されるのですが、それぞれ忠正為義を「探さない」というほぼ同一の内容で非常に冗長。ここは少し工夫していただきたかったところ。退屈でした。

そして、今回の名場面の1つが始まります。

7月13日夜、南都の忠実別邸にたどり着いた矢頼長一行。が、「矢に当たる不運は春日大明神に見捨てられたしるし。さような者をこの家に近づけることさえ恐ろしい」と、頼長を拒絶する忠実。

図書允俊成が必死に呼びかけますが、苦渋の表情でうめく忠実。

忠実:どうして会うてやることなどできよう。わしまで罪に問われれば藤原摂関家は終わりぞ

そのまま朝まで座り続ける忠実。ノベライズによると14日巳の刻(午前10時)まで。頼長の到着が明け方近くだったとしても数時間は動かなかったということになります。

そこへ瀕死の頼長鸚鵡(CG)が飛来。

鸚鵡:チチウエ。チチウエ

忠実:なぜ一目会うてやらなんだか……。(中略)わが子よ……

鸚鵡の亡骸を抱えて慟哭する忠実。

さすが國村さん、ほぼ座っているだけ、表情も(わずかしか)変わらない。それなのに魅せる魅せる。無表情のようで、葛藤や苦渋、悲嘆を表現するその技。もらい泣きせずにいられようか。瀕死のヤマコーが舌をかみ切る前に流した涙も泣ける。そして死んでしまったCG鸚鵡さん。この場面、みんなみんなグッジョブ!

頼長ネタでさらに泣かせます。頼長の死後に台記のあの部分を使ったら、そりゃ泣けます。

7日後、頼長の死が都に伝えられます。頼長の土御門邸を訪れた信西は、そこで頼長のホモ日記『台記』を見つけます。ドラマでは特に言及されませんでしたが、ノベライズによると「眉をひそめる記述もあれば、笑いを漏らしてしまう記述もある」と。アレについてのことかー!

台記を読み進める信西は、仁平3年(1153年)9月17日の兼長師長への訓戒に目をとめます。
(齢の長幼を論ぜず、好悪の浅慮に拠らず、官に任ずるときは熱心につとめに励む者を推挙すべし。それゆえそなたたちといえど奉公に忠なくば推挙はせぬが恨みに思うな。)豪華な衣服や家来の数を求めるな。忠勤に励み、それで人に嘲られても恥じるな。忠を尽くし、決して報いを求めるな。努めよや、努めよや。いつか私が死んだ後、私を恋しく思うたならば朝廷に参るがよい。我が魂はきっとそこにとどまっておるゆえ。そこでそなたたちがよき国づくりをするを見守っておるゆえな
(カッコ内はノベライズにはあるがドラマではカットされた部分)

訳:私のお墓の前で泣かないでください。そこに私はいません。

続くエピも平氏と源氏でほぼ同じ。忠正親子と為義親子が発見され、それぞれ保護されたこと、清盛が播磨守に、義朝が左馬頭になったことが語られます。ちょっとダレます。というか退屈。

似たようなエピをダラダラと続けたためか、崇徳方の量刑ミーティングが若干削られることに。大筋はドラマのままですが、細かいセリフがちょいちょいカットされていて残念。

というわけで、「サダヲのおきて」開始です。

忠実、荘園を召し上げ。

崇徳上皇を流罪。

為義、忠正は?

源雅定:無論、厳罰、にござりましょうな。(流罪ということに)
(カッコ内はノベライズのみに存在)

ここでシーンは忠正へ。忠正が作った竹馬で遊ぶ清三郎(後のムネムネ)。が竹馬が壊れて泣き、弟(後の知盛)に慰められる残念な清三郎。さすが俺たちのムネムネ。子どもの頃からブレることなくヘタレだぜ!

そして清盛に下されたサダヲのおきては死罪。

清盛ガビーン! というところで次回に続く!

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第22回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。