大河ドラマ「真田丸」 第4回 挑戦 感想
カテゴリ:真田丸
日時:2016/01/31 22:30
草刈正雄と内野聖陽が互いに本心を隠しながらぶつかり合う、近年まれに見る名シーンは必見。こんなに引き込まれたシーンは、『軍師官兵衛』の城井鎮房暗殺シーン以来です。いいものを見せてもらいました。
天正10年(1582年)3月20日、織田信長に呼び出された真田昌幸らは諏訪法華寺に到着。歩きながら、昌幸が武藤喜兵衛として三方ヶ原の戦いに参戦していたときの話を始めます。
長篠の戦いで昌幸の兄・信綱と昌輝が討ち死にしてしまったため、喜兵衛は真田家に戻って家督を継ぎ現在に至ります。もし兄が健在なら、喜兵衛はそのまま名門・武藤家を継いでいたはずでした。真田信繁の演技がちとわざとらしく、なぜこのタイミングで武藤喜兵衛の名を強引に出してきたのかと思ったら、徳川家康との因縁を分かりやすくするためでしたか。 その家康は、別室で本多正信、穴山梅雪、略してアナ雪とミーティング。アナ雪は小山田ぬっくんの末路から、自身の行く末を心配します。そこは如才なく、我らの調略の成果であるとしてフォローする正信。家康も笑顔で対応。
家康「同じ裏切り者でも格が違う」
なにげに、「ぬっくんと同じ」裏切り者扱い。家康、お前ホントはアナ雪のこと嫌いだろ。
そして、法華寺には「あの武藤喜兵衛」が来ていると聞かされ、複雑な表情の家康。内野聖陽の家康は味があっていい。
そしてそして、天真爛漫(な演技)の信繁が動きまわることによって、ついに家康と昌幸が遭遇します。2人とも、内心はともかく穏やかにご挨拶。昌幸は信長への貢ぎ物を家康に相談し、「馬ではいかがかな」と提案する家康。何やら、『真田太平記』を思い出させる展開です。アッチでは、織田につこうと決めたとき、信幸が馬でも贈って織田の出方を見ようと提案していました。
ここで、家康が武藤喜兵衛の名を出しますが、すっとぼける昌幸。2人とも食えません。
一方、小県の真田屋敷では、松と梅、きりが不審な動き。それを見とがめる信幸。やはりというか、匿われていた小山田ヒゲ誠。踏み込んで現場を押さえかけた信幸ですが、きりの機転で女子会場だったことにされます。ガールズトークを背に表にでた信幸は、もちろん誤魔化されません。お兄ちゃんは全て察していながら飲み込んでくれたのでした。
晩年になっても信繁のことをニコニコと人に話していたそうだから、信幸は本当にいいお兄ちゃんだったのでしょう。武勲も数知れぬ名将で人柄もいい。池波正太郎が惚れ込むわけだぜ、信幸さん。
日もすっかり傾き、夕日がまぶしいころ、ようやく信長との対面へ向かう真田ご一行様。しかし、待っていたのは信忠と家康。ここで、上杉宛のメールを突きつけられて真意を問われます。
さあ、名シーンスタートです。
織田信忠の追求を「方便でござる」とかわす昌幸。それどころか、上杉にメールが届いていないとすると真田はピンチ。逆に、織田に守ってもらわねば困ると脅迫まで始めます。昌幸さん、さすがです。
しかし、家康が偽メールであることを見抜きます。昌幸の思惑を全て言い当てた上で、ちょうど来ている愛のペテン師・直江兼続に確かめようと言い出します。
家康対昌幸、というよりむしろ内野聖陽 vs. 草刈正雄。素晴らしい。2人の演技もさることながら、昌幸だけでなく家康も優秀に描く脚本も素晴らしい。ここ数年、バカしか出てこない(バカにしてやられる主人公もバカ)ドラマが続いたので、見入ってしまいました。でも、やはり内野聖陽と草刈正雄じゃないとこのシーンは成立しなかっただろうな。
家康としては因縁のある昌幸を陥れることもできる場面なのに、自分から折れてことを収めます。昌幸を武藤喜兵衛と知りつつ、引くときは引く。この家康は本当に面白い。
そして近づいてくる足音。BGMもなし。今回は演出もいいですね。脚本をうまく料理しています。こうして、ついに信長と対面を果たした昌幸。しばらく無言で昌幸の顔を見た後、一声掛けただけで去っていく信長。グダグダと語らせなかったところはお見事。
信繁は、三十郎に「信長が怒ったらもっと怖いだろう」と語ります。信繁と視聴者が共通の目線で信長を見ていることになります。そのタイミングで聞こえてくる信長の怒号。
明智光秀に繰り出されるノブキック! 「お主が何をしたのじゃ。申してみよ申してみよ」と光秀をボコる信長。このセリフで、何の場面かは明白。甲州征伐がつつがなく終わり、光秀が「我らも骨を折った甲斐があったというもの」と言ったのを聞きとがめたノブが、「ああ? オメーが一体何したんだ、コラ」とブチ切れたという逸話です。真偽のほどは定かではありませんが、甲州征伐がらみでは快川紹喜の「心頭滅却すれば火もまた(以下略)」と同じくらいよく出てくるエピソードです。
そして優しく光秀を介抱する家康。フジTVの『ホンマでっか!?』で「内野聖陽に抱かれた」と岩下尚史がうれしそうに語ってた場面ですね。家康がここで絡む必要あったのかな。これで光秀と家康が親密になるというなら意味がありますが、本能寺の変で家康は死ぬような目に遭うというのに。
そんなこんながありつつ、小県に帰還した昌幸たち。沼田城と岩櫃城を取られたものの、織田に仕えることになって大勝利だと喜んで見せる昌幸さん。出浦昌相(盛清)も城を明け渡しての臣従です。この人、わざわざ出してきたからには森長可との絡みもやるのでしょうか。というかやってほしい。寺島進を使ったくらいだからやると思いますが……。
皆の前では明るく振る舞っていた昌幸ですが、高梨には内心を吐露します。
昌幸「城を差し出し、人質を取られ、力がないということはこれほどみじめなことか……」
問題がもう1つ。安土に人質を出すことになり、信繁は姉の松を推薦します。随員の中にヒゲ誠を紛れ込ませれば、遠い安土で2人はそばにいられる、と。これを聞いて松も乗り気になります。
ところが、松を人質に出すことに母の薫が大反対。すると、とりが「代わりに私が行く」と言い出します。これを聞いた昌幸は、とりに人質の役を頼もうとします。この、「皆の善意で思惑がどんどんずれていく」ところは実に三谷らしい。
ここで、ずっと黙っていた信幸が松押しを表明。人質は間者の役も果たさなければならないなどともっともらしい理由を付けていますが、信繁の思惑を見抜いた上で助け船を出したというところでしょう。いいお兄ちゃんです。
こうして5月末、松&信繁&ヒゲ誠一行が安土に向けて出発。そして6月1日に安土の真田屋敷に入ります。突然、妙に日付を細かく出してきたなと思ったのですが、え、6月1日? すごいタイミングだなおい。
だって、本能寺の変の前日だし。
信繁が仰ぎ見た安土城も壮観。完成時は、近隣の農民たちに有料で見学会が催されたとか。あの時代に生きてたらぜひ行ってみたかったものです。だって、あの信長が自分で入城チケット窓口やってたんだぜ? 基本的に、あの人庶民には気さくで優しいし。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
武田はいまだ絶賛ハブられ中。ラチがあかかないので、まずは全力で伊達をボコって後背をやくすことにしました。伊達の主力を撃破し、陸奥に侵攻すると、伊達に臣従していた諸勢力が一斉に伊達を離反して独立。それどころか、武田に臣従したいという申し込みが殺到。どこかで見たような話だなと思いつつ、臣従志願を全て拒否。伊達もろとも武力で併呑し、捕らえた武将は斬首、斬首、斬首。こんなドラマを最近見たような?
陸奥・出羽を統一して200万石を超えていた伊達も、臣従大名に離反されて弱小勢力に転落。陸奥・出羽は小勢力が乱立している状態になったので、軍団を編成してコンピュータに陸奥・出羽の制圧を任せました。
東が安全になったので、主力を率いて西に転進。南信濃から美濃と駿河に侵攻し、今川と斉藤を殲滅。さらに遠江、三河、尾張も平定し、主力軍は近江と伊勢に達しました。
さて、これからどうするか。陸奥・出羽軍団がもうすぐ蝦夷の平定を終えるので、コイツらを北陸戦線に投入しますかね。
天正10年(1582年)3月20日、織田信長に呼び出された真田昌幸らは諏訪法華寺に到着。歩きながら、昌幸が武藤喜兵衛として三方ヶ原の戦いに参戦していたときの話を始めます。
長篠の戦いで昌幸の兄・信綱と昌輝が討ち死にしてしまったため、喜兵衛は真田家に戻って家督を継ぎ現在に至ります。もし兄が健在なら、喜兵衛はそのまま名門・武藤家を継いでいたはずでした。真田信繁の演技がちとわざとらしく、なぜこのタイミングで武藤喜兵衛の名を強引に出してきたのかと思ったら、徳川家康との因縁を分かりやすくするためでしたか。 その家康は、別室で本多正信、穴山梅雪、略してアナ雪とミーティング。アナ雪は小山田ぬっくんの末路から、自身の行く末を心配します。そこは如才なく、我らの調略の成果であるとしてフォローする正信。家康も笑顔で対応。
家康「同じ裏切り者でも格が違う」
なにげに、「ぬっくんと同じ」裏切り者扱い。家康、お前ホントはアナ雪のこと嫌いだろ。
そして、法華寺には「あの武藤喜兵衛」が来ていると聞かされ、複雑な表情の家康。内野聖陽の家康は味があっていい。
そしてそして、天真爛漫(な演技)の信繁が動きまわることによって、ついに家康と昌幸が遭遇します。2人とも、内心はともかく穏やかにご挨拶。昌幸は信長への貢ぎ物を家康に相談し、「馬ではいかがかな」と提案する家康。何やら、『真田太平記』を思い出させる展開です。アッチでは、織田につこうと決めたとき、信幸が馬でも贈って織田の出方を見ようと提案していました。
ここで、家康が武藤喜兵衛の名を出しますが、すっとぼける昌幸。2人とも食えません。
一方、小県の真田屋敷では、松と梅、きりが不審な動き。それを見とがめる信幸。やはりというか、匿われていた小山田ヒゲ誠。踏み込んで現場を押さえかけた信幸ですが、きりの機転で女子会場だったことにされます。ガールズトークを背に表にでた信幸は、もちろん誤魔化されません。お兄ちゃんは全て察していながら飲み込んでくれたのでした。
晩年になっても信繁のことをニコニコと人に話していたそうだから、信幸は本当にいいお兄ちゃんだったのでしょう。武勲も数知れぬ名将で人柄もいい。池波正太郎が惚れ込むわけだぜ、信幸さん。
日もすっかり傾き、夕日がまぶしいころ、ようやく信長との対面へ向かう真田ご一行様。しかし、待っていたのは信忠と家康。ここで、上杉宛のメールを突きつけられて真意を問われます。
さあ、名シーンスタートです。
織田信忠の追求を「方便でござる」とかわす昌幸。それどころか、上杉にメールが届いていないとすると真田はピンチ。逆に、織田に守ってもらわねば困ると脅迫まで始めます。昌幸さん、さすがです。
しかし、家康が偽メールであることを見抜きます。昌幸の思惑を全て言い当てた上で、ちょうど来ている愛のペテン師・直江兼続に確かめようと言い出します。
家康対昌幸、というよりむしろ内野聖陽 vs. 草刈正雄。素晴らしい。2人の演技もさることながら、昌幸だけでなく家康も優秀に描く脚本も素晴らしい。ここ数年、バカしか出てこない(バカにしてやられる主人公もバカ)ドラマが続いたので、見入ってしまいました。でも、やはり内野聖陽と草刈正雄じゃないとこのシーンは成立しなかっただろうな。
家康としては因縁のある昌幸を陥れることもできる場面なのに、自分から折れてことを収めます。昌幸を武藤喜兵衛と知りつつ、引くときは引く。この家康は本当に面白い。
そして近づいてくる足音。BGMもなし。今回は演出もいいですね。脚本をうまく料理しています。こうして、ついに信長と対面を果たした昌幸。しばらく無言で昌幸の顔を見た後、一声掛けただけで去っていく信長。グダグダと語らせなかったところはお見事。
信繁は、三十郎に「信長が怒ったらもっと怖いだろう」と語ります。信繁と視聴者が共通の目線で信長を見ていることになります。そのタイミングで聞こえてくる信長の怒号。
明智光秀に繰り出されるノブキック! 「お主が何をしたのじゃ。申してみよ申してみよ」と光秀をボコる信長。このセリフで、何の場面かは明白。甲州征伐がつつがなく終わり、光秀が「我らも骨を折った甲斐があったというもの」と言ったのを聞きとがめたノブが、「ああ? オメーが一体何したんだ、コラ」とブチ切れたという逸話です。真偽のほどは定かではありませんが、甲州征伐がらみでは快川紹喜の「心頭滅却すれば火もまた(以下略)」と同じくらいよく出てくるエピソードです。
そして優しく光秀を介抱する家康。フジTVの『ホンマでっか!?』で「内野聖陽に抱かれた」と岩下尚史がうれしそうに語ってた場面ですね。家康がここで絡む必要あったのかな。これで光秀と家康が親密になるというなら意味がありますが、本能寺の変で家康は死ぬような目に遭うというのに。
そんなこんながありつつ、小県に帰還した昌幸たち。沼田城と岩櫃城を取られたものの、織田に仕えることになって大勝利だと喜んで見せる昌幸さん。出浦昌相(盛清)も城を明け渡しての臣従です。この人、わざわざ出してきたからには森長可との絡みもやるのでしょうか。というかやってほしい。寺島進を使ったくらいだからやると思いますが……。
皆の前では明るく振る舞っていた昌幸ですが、高梨には内心を吐露します。
昌幸「城を差し出し、人質を取られ、力がないということはこれほどみじめなことか……」
問題がもう1つ。安土に人質を出すことになり、信繁は姉の松を推薦します。随員の中にヒゲ誠を紛れ込ませれば、遠い安土で2人はそばにいられる、と。これを聞いて松も乗り気になります。
ところが、松を人質に出すことに母の薫が大反対。すると、とりが「代わりに私が行く」と言い出します。これを聞いた昌幸は、とりに人質の役を頼もうとします。この、「皆の善意で思惑がどんどんずれていく」ところは実に三谷らしい。
ここで、ずっと黙っていた信幸が松押しを表明。人質は間者の役も果たさなければならないなどともっともらしい理由を付けていますが、信繁の思惑を見抜いた上で助け船を出したというところでしょう。いいお兄ちゃんです。
こうして5月末、松&信繁&ヒゲ誠一行が安土に向けて出発。そして6月1日に安土の真田屋敷に入ります。突然、妙に日付を細かく出してきたなと思ったのですが、え、6月1日? すごいタイミングだなおい。
だって、本能寺の変の前日だし。
信繁が仰ぎ見た安土城も壮観。完成時は、近隣の農民たちに有料で見学会が催されたとか。あの時代に生きてたらぜひ行ってみたかったものです。だって、あの信長が自分で入城チケット窓口やってたんだぜ? 基本的に、あの人庶民には気さくで優しいし。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
今週の戦国史:頑張れ武田家
武田はいまだ絶賛ハブられ中。ラチがあかかないので、まずは全力で伊達をボコって後背をやくすことにしました。伊達の主力を撃破し、陸奥に侵攻すると、伊達に臣従していた諸勢力が一斉に伊達を離反して独立。それどころか、武田に臣従したいという申し込みが殺到。どこかで見たような話だなと思いつつ、臣従志願を全て拒否。伊達もろとも武力で併呑し、捕らえた武将は斬首、斬首、斬首。こんなドラマを最近見たような?
陸奥・出羽を統一して200万石を超えていた伊達も、臣従大名に離反されて弱小勢力に転落。陸奥・出羽は小勢力が乱立している状態になったので、軍団を編成してコンピュータに陸奥・出羽の制圧を任せました。
東が安全になったので、主力を率いて西に転進。南信濃から美濃と駿河に侵攻し、今川と斉藤を殲滅。さらに遠江、三河、尾張も平定し、主力軍は近江と伊勢に達しました。
さて、これからどうするか。陸奥・出羽軍団がもうすぐ蝦夷の平定を終えるので、コイツらを北陸戦線に投入しますかね。