大河ドラマ「軍師官兵衛」 第21回 松寿丸の命 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/05/25 22:17

天正6年12月、有岡城総攻め開始。村重との因縁フラグを立て続けた万千代が先鋒です。というか、仙千代が先鋒&討ち死にという史実から逆算して因縁をつけたんですが。

ここでのツッコミポイントは、土牢の官兵衛に仙千代の声が届いたところ。おいおい、有岡城は城下町まで堀や石垣で囲んだ総構えの城だぞ? 土牢と仙千代の間に城下「町」が挟まってるんだぞ? 仙千代、どんだけ大声なんだ。

鉄砲斉射中なのに新生児(なので大して声は大きくない)の鳴き声が響き渡って停戦した、『江』の小谷落攻防戦を思い出してしまいました。あのクソ大河と同レベルとは情けない。

で、焦った仙千代は「手薄な門」というあからさまに罠くさい罠にまんまと引っかかり、討ち死に。敵に退却路を残して攻める囲師必闕や付城を築いて兵糧攻めにひどく感心したり、『軍師官兵衛』世界の住人は兵法初歩の初歩すら知らない素人集団なのか……。 荒木がやっているのは籠城の基本みたいなものなのですが、織田家臣ズは仰天。

「こちらの攻める手順が読まれておる」
「よもや村重がここまで戦上手とは……」
いや、お前らが素人なだけだよ。

すると、信長官兵衛をご指名。完全なえん罪です。というか、調略失敗続きの官兵衛をなぜ過大評価?

信長が官兵衛を疑う展開が不自然きわまりないとはいえ、とにかく官兵衛が裏切ったと信長が思い込まないことには、今後の有名過ぎる松寿丸イベントが始まりません。というわけで、無理矢理イベント開始。

松寿丸の処刑を命じる信長。それを受ける半兵衛。が、半兵衛が松寿丸をかくまい、救出された官兵衛の有様を見て後悔したというエピは有名過ぎるので、ストーリー自体に驚きは起こりようもありません。「松寿丸の死」を巡ってどうドラマを作るかが見所になるはず。さて、この脚本家にできるでしょうか?

ノベライズには、長浜城から戻った半兵衛が秀吉とミーティングする下り(この時点ではまだ秀吉には真相は知らせず)があるのですが、ドラマではカット。で、秀吉が職隆と光に松寿丸の死を伝えるシーンへ。

予想通り、またもボタボタと涙を流す光。もうこの人の泣き芸はお腹いっぱいです。毎回泣いているから、慣れちゃって共感もへったくれもありません。

むしろ、光は視聴者が「絶対泣くだろ」という場面でも涙を見せずに、でも悲しみが伝わるという抑えた演出にしておいた方がよかったのでは。その光が、泣きながら秀吉に[松寿を返せ」と詰め寄ったら感動できたのですが。

泣きの安売りで残念な存在になった光はともかく、その後の秀吉と職隆のツーショットシーンは良かった。特に職隆さん、薄っぺらい脚本(セリフ)なのに、演技で強引にカバーしてました。

松寿丸の死亡通知は官兵衛にも。その後、土牢に乱入するだし。また官兵衛を不幸にするつもりでしょうか。

だし「私のせいで……。あのとき文など出さねば……」

まぁ、松寿丸が殺されたとすれば、全部だしメールのせいですね。

ちなみに、ドラマではカットされてしまいましたがノベライズには牢番 加藤又左衛門とのコミュニケーションシーンがもう少しあります。この又左衛門の子、玉松が、後の黒田一成。KRD24&黒田八虎のメンバーになります。

天正7年正月。信長は年頭出仕を見送り、身内だけで能パーティー。土田御前退場後、イラ立った信長が仙千代(討ち死に済)を呼んだり、イラナイキャラトップクラスの濃が「あの官兵衛が裏切るとは……いまだに信じられませぬ」などと口走ったり(お前、官兵衛の何を知ってるんだ?)と、薄いエピがノベライズにはあります。

ドラマでは「それからまもなく」、ノベライズでは「十六日が近づき」というタイミングで、毛利から村重にメールが到着。

「宇喜多が怪しいから遅れるね、テヘ」という援軍ドタキャンのお知らせ。上月城の一件で「織田は見捨てる」的なムードになってますが、毛利の方が遙かにあてになりません。結局、荒木も別所も小寺も毛利に付いたのに助けてもらえません。

ドラマでは、有岡城に潜り込んだ九郎右衛門のシーンがちょいと挿入されますが、ノベライズには九郎右衛門がさらに城内を探り、土牢の入り口を発見する下りもあります。

場面は唐突に、美濃の菩提山を訪問するおねへ。で、元気な松寿丸登場。

おねはさらに働きます。職隆に、扇を添付したメールを送信。扇に描かれた「青々として力強い松」で松寿丸の無事を知らせます。金ヶ崎崩れ時の「小豆の陣中見舞い」といい、とんち話が好きですな。

場面は再び土牢の官兵衛。雨が降り、雪が降り……。やはりというか、明かり取りの窓から見える藤のつぼみ。有岡城の土牢で藤の花、は官兵衛モノのお約束ですね。

そして藤が開花。この時点で4、5月くらいというところでしょうか。

で、最終シーン。
第二十一回
「松寿丸の命」
   終

しょーじゅ~!

『秀吉』のときの、
次回「利休切腹」お楽しみに!
を思い出してしまいました。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
もご利用ください。