大河ドラマ「軍師官兵衛」 第1回 生き残りの掟 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/01/05 21:08

いよいよ始まりました、2014年の大河ドラマ。ノベライズで14回までの内容は知っているのですが、この『軍師官兵衛』は王道というか、実にスタンダードな話です。良く言えば「破綻もなく安心して見ることができる」のですが、「意外性がない」とも言えます。第1回がそうであったようにテンプレ的な展開が多く、もう少し冒険がほしかったところ。でも、冒険しすぎたら叩くわけで、我ながら勝手なものですが。脚本が中庸的である分、演出が重要になってくるわけですが、ミュージカルはいかがなものか。

では今回の内容。冒頭は天正10年(1590年)、小田原征伐の場面から。大河のお約束、物語の中盤を先取りして主役を見せておくというシーンです。子役中心の話の前に本役の官兵衛を出すことだけが目的のエピなので、スルーします。

で、子役時代にさかのぼって物語開始。永禄元年(1558年)の播磨・姫路です。若(万吉)と、長じて家臣になる(けど序盤で討死する)武兵衛が登場。子役たちの追いかけっこや、やんちゃな若に振り回される傅役(母里小兵衛)など、第1回のテンプレ的な要素がほほえましい。 そして御師の伊吹善右衛門の家で幼なじみのおたつ(主人公の初恋&悲恋の相手)が登場。史実とフィクションを融合させたこの娘の行く末はなかなか泣けるのですが、それはまた後のお話。

万吉君は、話に夢中で小便をシャー。第1回限定(岡田准一になってもシャーでは困ります)のキャラ立てです。テンプレ的でイマイチキャラ立ちしない主人公をどうにかしようと思ったのでしょうが、他に何かなかったものか。

嫡男のお漏らしに心を痛める職隆ですが、母はつよし。

いわ「あの子は少々変わったところもありますが」

大河の主役は基本的に人とは違う変なところがありますな。やたらと鉄砲を撃ちたがるとか、汚いカッコで博打を打ったりとか。どうせ大人になったら、周囲からやたらと「さすが」と称賛されまくるけどキャラ的には普通になっちゃうんだから、子供時代も普通でいいような……。

そのころ尾張では、あんちゃんを拾って帰宅。

御着城では、職隆が小河と江田に目の敵にされ、小寺政職が適当に流し、それを石川がフォロー。頼りになる朋輩キャラをアピールします。

万吉は、伊吹の家に行っていた罰として土蔵に監禁中。格子窓から垂らした紐で陽動し、戸口から脱出するというエピで後の軍師キャラをアピールします。抜け出した万吉は、祖父重隆の屋敷に逃亡。ここでは、目薬を製造する工場制手工業(マニュファクチュア)が既に確立されています。いや、大したもんだ。

ノベライズでは、目薬工場でのやりとりは普通の会話なのですが、ドラマではミュージカル!

万吉とおたつは、病が悪化した母のために、敵である赤松領にある龍神池へレッツゴー。おたつの逆プロポーズにデレたりとキャッキャウフフしつつ、薬草採集。が、2人は赤松の手勢にゲットされてしまいます。どうやらあっさり職隆の嫡男であることがバレたようなのですが、万吉がすぐにゲロったのか? おたつにわざわざ汚い服を用意させておいて、農民のフリをするくらいのことしなかったのか? 万吉、知恵が回るのかアホなのか、イマイチ判然とせず。

万吉を救うため、龍野城に乗り込む職隆。赤松政秀 vs. 職隆の場面は、ヒリヒリするような緊張感がもう少しほしかったところ。2人の演技も悪くなかったし、控えている赤松兵の描写も良かった。でもなぜかヌルかった。何がいけなかったんだろう?

父のおかげで無事生還した万吉。この万吉を厳しく諫める母。父が敵地に行かねばならなくなったこと、小兵衛が切腹しようとしたこと。

いわ「お前の振るまい次第で人が命を落とすことにもなるのです」

自分の無鉄砲な行動で他者を危機に陥れた(あるいは死なせた)ことから嫡男としての自覚が芽生え成長……。うん、まさに主人公テンプレ。

万吉「母上も約束してください。薬を飲んで病を治すと」
いわ「約束します。万吉のためにも、病を治しますよ。(中略)母はずっとあなたを見守っていますからね」

ドラマでは分かりにくかったのですが、ノベライズによると「この夜が、万吉といわの永久の別れとなった」とあるので、いわの死は翌朝。「母はずっとあなたを見守っていますからね」は、自分の死期を悟っていたが故の言葉ですね。

小寺領内では野武士の略奪が頻発。おたつを守るため、子供ながら突撃する万吉。そこで何とも都合が良いことに、野武士に指図する謎の武士を目撃。

父職隆は野武士を手引きしていると疑われ、ピンチ。ということをわざわざ「謎の武士」吉田平蔵を連れて姫路にやってきて職隆を追い詰める石川。小寺での立場を悪くして赤松に走らせる離間策を弄するにしては、実行犯を連れて回る底の浅さよ。

永禄3年(1560年)5月19日、熱田神宮。そして桶狭間。この下りをナレする寿桂尼様の心境やいかに。

永禄4年(1561年)、万吉元服。後ろ姿までは子役。烏帽子の紐を結ぶところから、本役にチェンジ。今年はちょっと工夫しましたね。

以上で第1回は終了。残念だったのが、片岡鶴太郎。使い方がもったいない。鼻を赤く塗った単なるバカ殿。完全なイロモノ扱いです。『太平記』の北条高時のときのような、神がかった演技はもう見られないのかな……。

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