大河ドラマ「平清盛」 第46回 頼朝挙兵 感想
カテゴリ:平清盛
日時:2012/11/25 21:46
「老害」などと呼ばれ、視聴者を失望させ続けた清盛のエロボケ暴走。清盛への批判や失望の声が高まるほど、脚本家の思惑通り。今はいわば、ブライトさんとミライさんの会話を聞いてひねくれたアムロがホワイトベースを脱走した状態。迷走状態が混迷の度を増すほど、覚醒あるいは再生も劇的になるというわけです。と、ノベライズを先に読んでいたからこんな書き方ができるだけなんですが。
「武士の世」という目標を見失っていた清盛に欠けていたのは、源氏という強いライバル。頼朝の挙兵を知って、ついに清盛も己のアイデンティティーを再認識します。まぁ、この清盛覚醒が劇的になるかどうかは、頼朝の挙兵を知ったときの演出しだい。ノベライズでは納得感がありましたが、ドラマではどうなりますやら。 治承4年(1180年)4月。以仁王の令旨を受け取った頼朝は、一同のエールに励まされ、挙兵を決意します。
一方の清盛はまだ以仁王の令旨の件も知らず、仏御前とラブラブツーショットで福原の都市計画中。清盛の振るまいに疑念を呈する小兎丸。母の桃李は「はかりかねている」と答えるばかり。今回は、この「はかりかねる」が1つのキーワードです。みな、清盛を見限るところまではいっておらず、ゆえに態度を保留せざるを得ない状態にあります。
この迷走清盛さん、病床に付いた知盛を見舞うため、にわかの上洛。さらに頼政を呼び出します。この場面はノベライズとドラマでは印象が異なります。福原遷都プランを開陳して、
清盛「そなたには、やってもらわねばならぬことが山ほどある。長生きして、この新しき国づくりを支えよ」
と言われた頼政。ノベライズでは、清盛が去った後、「皮肉な笑みを浮かべていた」となっています。ドラマでは、頭を上げた後も複雑な表情のまま、清盛の器に感じ入っているようにも見えました。ドラマの方が、受けての解釈に任せる余地が大きい感じです。
知盛見舞いのシーンは、ドラマにはノベライズにないセリフが追加されています。福原にさっさと帰ろうとする清盛。引き留める宗盛に、
時忠「早うお帰りになりたい訳があるのであろう」
清盛「と……と……時忠!」
時子「何でござりますか?」
盛国「無論、新しき都づくりにござります」
相変わらず余計なことを言う時忠と、盛国のナイスフォローでした。
5月13日には以仁王の令旨も露見。以仁王は女装して園城寺に逃亡。5月21日には以仁王の所在が割れ、宗盛が出兵宣言(ドラマではカット)。
この日の夜、頼政が挙兵し、早速盛国が清盛に報告します。
自邸に火を付け、炎の中に立つ頼政。『義経』の頼政挙兵のシーンとほぼ同じシチュエーションです。が、このシーンについては『義経』の圧勝です。宇梶総長に不満はないし、頼政の苦悩をうまく演じていたと思いますが、炎の中で討伐に来た阿部寛知盛に向かい、太刀を掲げて不敵に笑う丹波哲郎のかっこよさは永久保存版の名シーン。『義経』は義経とその郎党の演技と脚本のクソっぷりで非常にソンをしていますが、実は印象に残る名シーンも結構多かったりします。まぁ、最終回の「ドッカーン」が全て持っていってしまった感はありますが。
平家の追討から逃れ続けた以仁と頼政。
以仁「すまぬ。あのまま平家のもとにおれば、穏やかな余生が送れたであろうに」
さらに以仁を逃がすため、宇治川および平等院で戦い続ける頼政・仲綱親子。
頼政「わしは最後まではかりかねておった。清盛入道が器を。この戦のさなかにわが身を投じた今もって分からぬのだ」
頼政さんもまた、はかりかねていた人でした。そして親子は自害します。ドラマではカットされていましたが、辞世の句も詠んでいました。
頼政「埋もれ木の 花咲くこともなかりしに 身のなる果てぞ かなしかりける」
が、以仁王も討ち死にし、以仁王の乱は終了。
清盛は一門を招集して緊急ミーティング。福原遷都を宣言します。一門全員反対しますが、清盛を翻意させることはできません。翻意しちゃっても史実的に困るのですが。
6月、福原せんとくんは遷都強行。安徳帝と高倉院が福原に移ります。
そこへ、ふらっとやって来た西行。相変わらず唐突です。一応、こちらもシミなどのフケメイクでそれなりに清盛とバランスを取っています。ちなみに、彼はこれからイタコとして活躍することになります(ネタバレ)。
そこへ仏御前を呼び、有名なエピソード開始。仏御前の無聊を慰めるため、祇王と祇女に舞を踊らせます。仏御前までも涙する無体な仕打ちです。清盛の迷走の頂点としてはちょうどよいエピですね。
清盛「ここはわしの世じゃ。すべてを手に入れ、復讐するのじゃ」
西光の指摘が図星だったことが分かります。
暴走が加速します。逃げようとする仏御前を、「殺せ」と命じる清盛。母舞子の死と被るシチュエーションです。
清盛「誰か助けてくれ。暗闇ばかりじゃ。ここからの眺めは。果てしない……暗闇。手に入れても手に入れても光は……光には……届かぬ」
ここにもたらされた、頼朝挙兵の知らせ。宋剣を手に涙する清盛。
そして、宋剣を手に、目に光を取り戻した清盛。再生完了です。んー、ノベライズの端的な記述に対して、ドラマはちとクドい演出で清盛復活のインパクトが弱かったような。宋剣を手に振り返った清盛をあおりで撮っていたところはよかったのですが。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第46回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
「武士の世」という目標を見失っていた清盛に欠けていたのは、源氏という強いライバル。頼朝の挙兵を知って、ついに清盛も己のアイデンティティーを再認識します。まぁ、この清盛覚醒が劇的になるかどうかは、頼朝の挙兵を知ったときの演出しだい。ノベライズでは納得感がありましたが、ドラマではどうなりますやら。 治承4年(1180年)4月。以仁王の令旨を受け取った頼朝は、一同のエールに励まされ、挙兵を決意します。
一方の清盛はまだ以仁王の令旨の件も知らず、仏御前とラブラブツーショットで福原の都市計画中。清盛の振るまいに疑念を呈する小兎丸。母の桃李は「はかりかねている」と答えるばかり。今回は、この「はかりかねる」が1つのキーワードです。みな、清盛を見限るところまではいっておらず、ゆえに態度を保留せざるを得ない状態にあります。
この迷走清盛さん、病床に付いた知盛を見舞うため、にわかの上洛。さらに頼政を呼び出します。この場面はノベライズとドラマでは印象が異なります。福原遷都プランを開陳して、
清盛「そなたには、やってもらわねばならぬことが山ほどある。長生きして、この新しき国づくりを支えよ」
と言われた頼政。ノベライズでは、清盛が去った後、「皮肉な笑みを浮かべていた」となっています。ドラマでは、頭を上げた後も複雑な表情のまま、清盛の器に感じ入っているようにも見えました。ドラマの方が、受けての解釈に任せる余地が大きい感じです。
知盛見舞いのシーンは、ドラマにはノベライズにないセリフが追加されています。福原にさっさと帰ろうとする清盛。引き留める宗盛に、
時忠「早うお帰りになりたい訳があるのであろう」
清盛「と……と……時忠!」
時子「何でござりますか?」
盛国「無論、新しき都づくりにござります」
相変わらず余計なことを言う時忠と、盛国のナイスフォローでした。
5月13日には以仁王の令旨も露見。以仁王は女装して園城寺に逃亡。5月21日には以仁王の所在が割れ、宗盛が出兵宣言(ドラマではカット)。
この日の夜、頼政が挙兵し、早速盛国が清盛に報告します。
自邸に火を付け、炎の中に立つ頼政。『義経』の頼政挙兵のシーンとほぼ同じシチュエーションです。が、このシーンについては『義経』の圧勝です。宇梶総長に不満はないし、頼政の苦悩をうまく演じていたと思いますが、炎の中で討伐に来た阿部寛知盛に向かい、太刀を掲げて不敵に笑う丹波哲郎のかっこよさは永久保存版の名シーン。『義経』は義経とその郎党の演技と脚本のクソっぷりで非常にソンをしていますが、実は印象に残る名シーンも結構多かったりします。まぁ、最終回の「ドッカーン」が全て持っていってしまった感はありますが。
平家の追討から逃れ続けた以仁と頼政。
以仁「すまぬ。あのまま平家のもとにおれば、穏やかな余生が送れたであろうに」
さらに以仁を逃がすため、宇治川および平等院で戦い続ける頼政・仲綱親子。
頼政「わしは最後まではかりかねておった。清盛入道が器を。この戦のさなかにわが身を投じた今もって分からぬのだ」
頼政さんもまた、はかりかねていた人でした。そして親子は自害します。ドラマではカットされていましたが、辞世の句も詠んでいました。
頼政「埋もれ木の 花咲くこともなかりしに 身のなる果てぞ かなしかりける」
が、以仁王も討ち死にし、以仁王の乱は終了。
清盛は一門を招集して緊急ミーティング。福原遷都を宣言します。一門全員反対しますが、清盛を翻意させることはできません。翻意しちゃっても史実的に困るのですが。
6月、福原せんとくんは遷都強行。安徳帝と高倉院が福原に移ります。
そこへ、ふらっとやって来た西行。相変わらず唐突です。一応、こちらもシミなどのフケメイクでそれなりに清盛とバランスを取っています。ちなみに、彼はこれからイタコとして活躍することになります(ネタバレ)。
そこへ仏御前を呼び、有名なエピソード開始。仏御前の無聊を慰めるため、祇王と祇女に舞を踊らせます。仏御前までも涙する無体な仕打ちです。清盛の迷走の頂点としてはちょうどよいエピですね。
清盛「ここはわしの世じゃ。すべてを手に入れ、復讐するのじゃ」
西光の指摘が図星だったことが分かります。
暴走が加速します。逃げようとする仏御前を、「殺せ」と命じる清盛。母舞子の死と被るシチュエーションです。
清盛「誰か助けてくれ。暗闇ばかりじゃ。ここからの眺めは。果てしない……暗闇。手に入れても手に入れても光は……光には……届かぬ」
ここにもたらされた、頼朝挙兵の知らせ。宋剣を手に涙する清盛。
そして、宋剣を手に、目に光を取り戻した清盛。再生完了です。んー、ノベライズの端的な記述に対して、ドラマはちとクドい演出で清盛復活のインパクトが弱かったような。宋剣を手に振り返った清盛をあおりで撮っていたところはよかったのですが。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第46回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。