大河ドラマ「平清盛」 第33回 清盛、五十の宴 感想
カテゴリ:平清盛
日時:2012/08/26 21:39
今回は、新キャラを出しつつ基房、兼実の摂関ズを平家一門が凹ませるという実にシンプルなお話。絵面的には老練な摂関ズが予想外の敗北を喫する感じになっていましたが、あれは配役がイカれているからです(役者はいいけど年齢がミスマッチ過ぎ)。
清盛が50歳になった1167年といえば、基房が23歳、兼実が19歳。清盛の半分にも満たない青二才なのです。このとき清盛の三男宗盛が21歳なので、摂関ズは宗盛と同世代。摂関ズより年下なのは知盛(16歳)と重衡(11歳)くらい(清盛の孫世代は省略)。つまり、海千山千のオッサン軍団(平家一門)に、経験の乏しい若造(摂関ズ)が背伸びして挑戦した、というのが本来の風景だったというわけです。
本編は恐らく仁安2年(1167年)から。2月に太政大臣になって辞任し、50歳の祝宴をやるとなれば、この年しかありません。後白河上皇の今様レッスン風景からなのですが、乙前(というか聖子)の必要性が全く分かりません。このシーンまるまるイラナイ。 で、後白河は酒豪設定の滋子や院近臣たちとパーティーを開催。そこへ後のキーマンとなる以仁王の謁見願いに、
後白河「この楽しきときに何じゃ」
と、ひどい言いよう。以仁も息子だろ……。
で、出ないかと思っていた八条院がまさかの登場。八条院&以仁王がタッグで言いたい放題の末にさっさと退場。以仁王はいかにも後白河に嫌われそうなキャラ。ま、あれくらいの気概がなければ令旨なんて出せませんしね。
そんなこんなで、清盛の生誕50周年記念パーティーが盛大に挙行されます。パーティーの主役が50歳には見えないのが残念ですが。
今年のドラマの特徴は、パーティーなど一門がそろうタイミングで新キャラ登場と既存キャラの紹介(再確認)をするところ。まずは経子が重太、重次、重三郎を連れてきて、視聴者に(恐らく)維盛、資盛、清経の存在をアピール。あれ、1167年なら有盛(重四郎?)も生まれているはず……。
次は牛若&常盤登場。またも「清盛を父と思い込む牛若」設定ですか。知盛・重盛らに遊んでもらってるし、『義経』か。あのクレジットもされなかった牛若君が滝壺に飛び込んで、水面に現れたときには神木隆之介にチェンジするんでしょうか。
と、重盛チルドレンと牛若・常盤は今回の話に絡むこともなく、とにかく出ることが目的であるかのように登場しただけ。このあたりの脚本&演出はとっても残念。
次は、ちょっとストーリーに絡む忠度が乱入。先にクレジットを見ていなければメレブだとは気付かない髭っぷり。むしろダンジョー。で、彼をダシにして既存キャラの清盛ブラザーズを(視聴者に再)紹介。盛国による経盛イジリも含めて定例行事化してます。
そこへやって来る、「少壮」の要人、摂政基房と右大臣兼実。フケて見えますが(というか清盛より年上に見えますが)、くどいようですが彼らは23歳と19歳です。多少の粗相は若気の至りと思って大目に見ましょう。
で、まずは摂関ズと平家のダンスバトル。先攻摂関ズの摂関ダンスに、重盛・宗盛(伴奏経盛)が平家ダンスで対抗。ドラマでは基房の表情が微妙でしたが(顔芸で表現するのはちと難しかったか)、ノベライズによると「基房は心の中で称賛した」とのことなので、平家がやや優勢?
次は兼実 vs. 忠度の和歌バトル。忠度は勅撰和歌集にも歌が収められるほどの歌人でもあるわけですが、初対面&あのビジュアルで清盛が忠度を指名したのは実に不可解です。忠度の才能を知っていた or 見抜いたのならともかく、後に明かされた理由は、「ただ忠度に賭けたのじゃ」って何だそれ。単なる結果オーライとは、実に残念です。清盛にはもう少し知謀や深慮による「計算された勝利」を演出するところが見てみたいところです。「根拠はないけどやってみたらうまくいった」で勝ち続ける主人公は魅力的じゃないなぁ。
ちなみに和歌バトルは、ノベライズでは二首ずつ掲載されています。
兼実その1:帰りつる 名残の空をながむれば 慰めがたき 有明の月
兼実その2:行きかえる 心に人の馴るればや 逢ひ見ぬ先に 恋しかるらむ
忠度その1:たのめつつ 来ぬ夜つもりのうらみても まつより外の なぐさめぞなき
忠度その2:恋ひ死なむ 後の世までの思ひ出は しのぶ心の かよふばかりか
和歌の素養がない私には良さが分からないのですが、ノベライズによると「甲乙つけがたい素晴らしい歌」とのことなので互角といったところでしょうか。ただ、
それが露骨に現れるのが、次の基房のセリフ。
基房「かようなことでわれらをごまかせると思うでないぞ。所詮は公家のまねごと。肩を並べたなどとゆめゆめ思うでない。厳島の社の一件、断じて許さぬ」
思いっきり負け惜しみです。これはイタい。
そこで清盛が見せた厳島プランにビックリの摂関ズ。これにて今回のバトルは終了です。
今回うまいな、と思ったのはパーティーの終わりのエピ。
清盛「ゆかいじゃ。ゆかいじゃ。かようにゆかいな日が終わってほしゅうない」
と、扇子で夕日を扇ぐと、再び明るい日光が……。ここで、音戸の瀬戸で太陽を扇ぎ戻したエピを持ってくるとは。実際に音戸の瀬戸の工事現場で清盛がコレをやって、工事が続行できるほど日没が延びたなんて話をドラマでやったら噴飯ものです。が、「一瞬明るくなったように見えた」程度なら、「まぁそんな風に見えたかもね」と受け入れ可能です。まさかあのエピをドラマに取り込むとは思っていなかったので驚きました。
時政「それは……、まことのことにござりますか」
時政さん、ビビり過ぎ。
ラストシーンは、清盛の昏倒。ドラマでは分かりにくかったのですが、ノベライズによるとここで仁安3年(1168年)になっています。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第33回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
清盛が50歳になった1167年といえば、基房が23歳、兼実が19歳。清盛の半分にも満たない青二才なのです。このとき清盛の三男宗盛が21歳なので、摂関ズは宗盛と同世代。摂関ズより年下なのは知盛(16歳)と重衡(11歳)くらい(清盛の孫世代は省略)。つまり、海千山千のオッサン軍団(平家一門)に、経験の乏しい若造(摂関ズ)が背伸びして挑戦した、というのが本来の風景だったというわけです。
本編は恐らく仁安2年(1167年)から。2月に太政大臣になって辞任し、50歳の祝宴をやるとなれば、この年しかありません。後白河上皇の今様レッスン風景からなのですが、乙前(というか聖子)の必要性が全く分かりません。このシーンまるまるイラナイ。 で、後白河は酒豪設定の滋子や院近臣たちとパーティーを開催。そこへ後のキーマンとなる以仁王の謁見願いに、
後白河「この楽しきときに何じゃ」
と、ひどい言いよう。以仁も息子だろ……。
で、出ないかと思っていた八条院がまさかの登場。八条院&以仁王がタッグで言いたい放題の末にさっさと退場。以仁王はいかにも後白河に嫌われそうなキャラ。ま、あれくらいの気概がなければ令旨なんて出せませんしね。
そんなこんなで、清盛の生誕50周年記念パーティーが盛大に挙行されます。パーティーの主役が50歳には見えないのが残念ですが。
今年のドラマの特徴は、パーティーなど一門がそろうタイミングで新キャラ登場と既存キャラの紹介(再確認)をするところ。まずは経子が重太、重次、重三郎を連れてきて、視聴者に(恐らく)維盛、資盛、清経の存在をアピール。あれ、1167年なら有盛(重四郎?)も生まれているはず……。
次は牛若&常盤登場。またも「清盛を父と思い込む牛若」設定ですか。知盛・重盛らに遊んでもらってるし、『義経』か。あのクレジットもされなかった牛若君が滝壺に飛び込んで、水面に現れたときには神木隆之介にチェンジするんでしょうか。
と、重盛チルドレンと牛若・常盤は今回の話に絡むこともなく、とにかく出ることが目的であるかのように登場しただけ。このあたりの脚本&演出はとっても残念。
次は、ちょっとストーリーに絡む忠度が乱入。先にクレジットを見ていなければメレブだとは気付かない髭っぷり。むしろダンジョー。で、彼をダシにして既存キャラの清盛ブラザーズを(視聴者に再)紹介。盛国による経盛イジリも含めて定例行事化してます。
そこへやって来る、「少壮」の要人、摂政基房と右大臣兼実。フケて見えますが(というか清盛より年上に見えますが)、くどいようですが彼らは23歳と19歳です。多少の粗相は若気の至りと思って大目に見ましょう。
で、まずは摂関ズと平家のダンスバトル。先攻摂関ズの摂関ダンスに、重盛・宗盛(伴奏経盛)が平家ダンスで対抗。ドラマでは基房の表情が微妙でしたが(顔芸で表現するのはちと難しかったか)、ノベライズによると「基房は心の中で称賛した」とのことなので、平家がやや優勢?
次は兼実 vs. 忠度の和歌バトル。忠度は勅撰和歌集にも歌が収められるほどの歌人でもあるわけですが、初対面&あのビジュアルで清盛が忠度を指名したのは実に不可解です。忠度の才能を知っていた or 見抜いたのならともかく、後に明かされた理由は、「ただ忠度に賭けたのじゃ」って何だそれ。単なる結果オーライとは、実に残念です。清盛にはもう少し知謀や深慮による「計算された勝利」を演出するところが見てみたいところです。「根拠はないけどやってみたらうまくいった」で勝ち続ける主人公は魅力的じゃないなぁ。
ちなみに和歌バトルは、ノベライズでは二首ずつ掲載されています。
兼実その1:帰りつる 名残の空をながむれば 慰めがたき 有明の月
兼実その2:行きかえる 心に人の馴るればや 逢ひ見ぬ先に 恋しかるらむ
忠度その1:たのめつつ 来ぬ夜つもりのうらみても まつより外の なぐさめぞなき
忠度その2:恋ひ死なむ 後の世までの思ひ出は しのぶ心の かよふばかりか
和歌の素養がない私には良さが分からないのですが、ノベライズによると「甲乙つけがたい素晴らしい歌」とのことなので互角といったところでしょうか。ただ、
兼実にすれば、品なき踊りの男(忠度)に勝る歌が詠めないようでは、藤原摂関家の沽券にかかわるとのことなので、心理的には摂関ズ劣勢みたいですね。
それが露骨に現れるのが、次の基房のセリフ。
基房「かようなことでわれらをごまかせると思うでないぞ。所詮は公家のまねごと。肩を並べたなどとゆめゆめ思うでない。厳島の社の一件、断じて許さぬ」
思いっきり負け惜しみです。これはイタい。
そこで清盛が見せた厳島プランにビックリの摂関ズ。これにて今回のバトルは終了です。
今回うまいな、と思ったのはパーティーの終わりのエピ。
清盛「ゆかいじゃ。ゆかいじゃ。かようにゆかいな日が終わってほしゅうない」
と、扇子で夕日を扇ぐと、再び明るい日光が……。ここで、音戸の瀬戸で太陽を扇ぎ戻したエピを持ってくるとは。実際に音戸の瀬戸の工事現場で清盛がコレをやって、工事が続行できるほど日没が延びたなんて話をドラマでやったら噴飯ものです。が、「一瞬明るくなったように見えた」程度なら、「まぁそんな風に見えたかもね」と受け入れ可能です。まさかあのエピをドラマに取り込むとは思っていなかったので驚きました。
時政「それは……、まことのことにござりますか」
時政さん、ビビり過ぎ。
ラストシーンは、清盛の昏倒。ドラマでは分かりにくかったのですが、ノベライズによるとここで仁安3年(1168年)になっています。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第33回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。