大河ドラマ「平清盛」 第29回 滋子の婚礼 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/07/22 22:09

今回は、重い話が続いた後の息抜き回といったところでしょうか。作りようによってはそれでも面白くできるはずですが、残念ながら面白いとは思えませんでした。脚本も演出も最悪レベル。前半は史実の消化、後半は捏造チリチリエピにくっきり分かれていて、前半はドラマになっておらず、後半は無駄でした。実に残念。

物語は永暦元年(1160年)6月、清盛が正三位となり後白河上皇に謁見するところから。まぁ、大したシーンではありませんが。清盛が非参議公卿となったためか、平家一門の着物がバージョンアップ。身分上昇効果の「見える化」ですな。それだけは不足と思ったのか、頼政を訪問させて盛国に全員の官職をイチイチ説明させるという念の入れよう。他にやることないの?

しかし、その場に家貞は居ません。家貞は病で寝付いているのです。というわけで家貞退場&貞能顔見せエピ開始。梅雀の演技はさすがの安定感ですが、なぜか心に響くセリフもなく、「ほどなくしてこの世を去った」というナレ朝さんのナレーションで終了。 史実消化が続きます。清盛が参議に昇ったことが語れ、公卿議定出席シーンへ。ここでは、忠実忠通頼長に代わる新摂関三連星(忠通、基実基房)が登場。摂関家って3人セットじゃないとダメなの?

ちなみに、後の五摂家は忠通さんから始まります。基実は近衛家、基房は松殿家の祖。松殿家は早くに没落・断絶してしまいましたが、この家に少し運があれば六摂家になっていたかもしれませんね。

史実消化が続きます。唐突に、清盛が美福門院からマニフェストを問われるシーンへ。美福門院退場エピだな……としか思えない展開です。得意げに貨幣経済化を開陳する清盛。

美福門院「なるほどそれは突拍子もない。古くからの公卿たちに通じぬも道理じゃ」

公卿どもには分からないけど私は理解できるよってことですかい?

しかしまぁ、美福門院も御影も老けませんね。2人ともまだ40代前半でも十分通りますよ。と思ったものの、考えてみたら美福門院様が死んだのは数え44歳のとき。老けメイクなしでちょうどよいくらいですね。

この場面で印象的だったのが、清盛のバックの庭に咲いていた菊。物語上、得子の象徴となった花を華麗に咲かせての退場となりました。美福門院の死亡は11月23日。菊の自然開花が10月20日~12月20日ごろとのことなので、季節とも合致していてよかったです。

ちなみに、ドラマでは美福門院の死と清盛との会話の時期は曖昧(清盛と会ったのが11月23日だったのかどうか不明)ですが、公式ドラマ・ストーリーでは清盛と会った後、ドラマと同じく

美福門院「私は、威厳を保つことができたか。亡き鳥羽院のお役に立てたであろうか」

と語った後、
美福門院は満足そうに庭に目をやった。(中略)美福門院は、座したまま静かに息を引き取った
とあり、直後の死亡という設定になっています。

こうして登場させる人物と退場させる人物を雑に片付けた後、後半のチリチリ話開始。もう、後半は私のように頭の固い人間には話の根底から受け入れがたいので、全く楽しめませんでした。絶世の美女と言われた滋子の頭がなぜチリチリのラーメン頭なんだ。初登場時は、「チリチリでも(馬鹿げてはいるが)まあいいか」とスルーしたのですが、これを前面に持ち出してきて大騒ぎするエピソードとは片腹痛い。

このチリチリ滋子の入内を画策する清盛と時忠。こうして二条帝に近づこうとする一方、後白河とは一定の距離をキープ。そのために青磁器を献上するわけですが、後白河はご不満。清盛に献上された青磁器を床に投げつけるのですが……割れるかと思ったら割れずにゴロゴロ。イマイチ締まらないシーン……。公式ドラマ・ストーリーで確認すると、
院はそれ(青磁器)をたたき割ってしまう
とあるのですが。ドラマ・ストーリー通りである必要はないのですが、演出的に青磁器が転がるだけでいいと思ったのかなぁ。

場面は後白河主催のミュージカルパーティ。どうでもいい場面ですが、新摂関三連星が憎々しげな表情で皮肉をたれていて、忠実、忠通、頼長時代の摂関家らしさが復活! 忠通さんだけだと精彩を欠いていたのに。やはり3人じゃないとジェットスト(略)ができないから?

この後の、後白河&滋子の突然のフォーリンラブはどうでもいいや。

後白河「$( ゚∀゚)$ アハハノヽノヽノヽノ\/\」
滋子「§( ゚∀゚)§ アハハノヽノヽノヽノ\/\」

って何だそれ。しかも、カットされたシーンには、公式ドラマ・ストーリーによると2人でビンタ合戦を繰り広げていたようです。って何だそれ。

場面は変わって……。

え、滋子早くも懐妊。って何だそれ。まぁ、高倉天皇には翌年に生まれてもらわなければならないのですが。

なし崩し的に滋子の入御(ドラマでは終始「婚礼」と表現)を進めちゃう後白河&時子たちですが、上西門院にまでチリチリを理由に反対されて凹む滋子。平安テクノロジーを駆使してストパーを試みる滋子ですが、さらにモッサモサに。ストレートロングヘアの平安基準だと、さらに不細工になってしまったということですね。

滋子が婚礼を考え直していると聞いた後白河、食事も喉を通らない凹みよう。一瞬、池禅尼リスペクトなハンガーストライキでも始めたのかと思いましたが。

これを見た清盛、いつもの通り、強引に解決することに。というわけで突然婚礼パーティ開催。ワクテカしている後白河がかわいくて笑える。

滋子が宋服で登場すると、チリチリ頭のままなのになぜか大絶賛。服が変わっても、チリチリはチリチリだが。

清盛「巻き髪が醜いなどと誰ぞが大昔に決めたこと。さような因習にとらわれているうちは新しき世など名ばかりでござりましょう」

出た、清盛恒例の意味不明な強引論法。「誰ぞが大昔に決めたこと」って、別に特定の誰かが決めた訳ではあるまい。「新しき世など名ばかり」って、「新しき世」を目指してるのは清盛だけだし。これで納得しちゃう出席者は頭がおかしい。

最後は、清盛、後白河デュエット。って何だそれ

結論。つまらなかった。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第29回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。