大河ドラマ「平清盛」 第28回 友の子、友の妻 感想

カテゴリ:平清盛
日時:2012/07/15 22:26

今回は細かい笑いをちょいちょいはさみつつ、手堅くまとめた感じ。頼朝助命の説得力がやや甘い感もありますが、まぁ許容範囲。頼朝君も頑張っていて、いい回だったと思います。

平治元年(1159年)12月。清盛とのマクー空間での一騎打ち後、どこでどう合流したのやら、義平朝長、頼朝と東へ落ちる義朝さん。源氏重代の髭切は清盛の前にポイしてきちゃったのですが、そんなことは知らない頼朝君、髭切を探してウロウロしているうちにパパたちとはぐれてしまいます。頼朝がはぐれた経緯としては、馬に乗ったまま居眠りして……なんてパターンもよくありますね。

一方、後白河上皇のいる仁和寺には、信頼成親が出頭。わびを入れて済まそうとします。

後白河「おお~、信頼

抜けた呼びかけとともに優しい言葉をかける後白河ですが、この時点で十分怖いだろ。信頼は全く気付いてませんが。後白河さんはさすがミュージカル担当、長恨歌を今様仕立てで歌ったりします。明らかに不安そうな成親と、楽しげに手拍子を入れる信頼が対照的でステキ。 後白河「『長恨歌』じゃ。寵愛した家臣に国を滅ぼされる皇帝の物語でな、朕はそうはなりとうはない」

というわけで、信頼、成親タイーホ。ちなみに、公式ドラマ・ストーリーでは、信頼らが捕らわれたとき、

後白河「$( ゚∀゚)$ アハハノヽノヽノヽノ\/\。まことにそなたは、私のよき退屈しのぎであった」

というセリフがあるのですが、ドラマでは無言で見送るのみでしたね。

清盛の前に引き出された粉大福信頼。最後にこのセリフ。

信頼「面白うないのう

信頼に六条河原にて斬首を言い渡した後、下した命令にずっこけます。

清盛「引き続き、義朝一行の行方を追え」

なら逃がすなよ

で、頼朝君とはぐれてしまった義朝一行はというと、後白河リボーンの地、美濃青墓。深手を負った朝長は逃亡を断念。

朝長「敵の手にかかるくらいなら父の御手で……」

前回突然登場した朝長でしたが、ちゃんと最後を映像化してもらえてよかたね。

平治2年(1160年)正月、義朝、正清は尾張の長田忠致の館へ到着。

忠致「京に攻めのぼる暁には、忠致も加勢いたします」

などとスカしたことを言う忠致に感動する正清ですが、義朝さんはさめた表情。忠致の裏切りを察しています。

忠致「今、風呂の支度をさせております」

来ました、義朝というか源氏の死亡フラグ。

義朝「俺に木登りを教えてくれたは、お前だ、正清。(中略)間違えなければ、落ちることもなく、誰よりも早くてっぺんに登れる。……俺は間違うたのだ、正清」

義朝「……もう木登りはしまいじゃ

義朝、正清主従は妙にいいエピ、セリフが多いなぁ。義朝の最後のセリフは泣けます。

アイコンタクトだけで意志を伝え合い、互いの太刀で刺し違える義朝主従。『愚管抄』に近い最後でしたね。入浴中に襲われて「我れに木太刀の一本なりともあれば」と叫ぶ最後も無念さが伝わってきてきらいではないのですが。去年だったら絶対、無駄に風呂に入ってましたね。

この忠致、後に頼朝に仕え「美濃尾張」をプレゼントされます。


永暦元年(1160年)2月、頼朝が捕縛されます。ちゃんと宗清に捕まってました。

京に送られた頼朝の処断が平治の乱の最後のポイント。そして歴史のターニングポイント。「清盛なくして武士の世はなかった」というか、「池禅尼なくして武士の世はなかった」という感じ。上西門院も出て頼朝との関係も描写されていたので、このラインの助命嘆願も出てくるのかと思ったのですが……。蓋を開けてみれば、おきまりの「家盛に似てるから」池禅尼による助命嘆願に終始。そこに義朝との友情をプラスというところか。このあたりはいささか面白みに欠けたかな。

池禅尼「似ておるのじゃ。頼朝殿は、亡き家盛に」

清盛「似ても似つきません」

清盛「私は平氏の棟梁として情に流されるわけにはまいりませぬ」

そしておきまりの池禅尼ハンガーストライキへ。そこへ差し入れ(白湯?)を盛ってくる家貞。うっかり手を出してしまう池禅尼。

家貞「あ」

池禅尼「あ゛?

池禅尼「あ……」

「あ゛?」には笑いました。

いまだ頼朝の処断が決まらない中、すっかり僧形が板に付いた西光(師光)が登場。頼朝の斬首を強く要望します。この希望が(西光視点では)無視されたことが、西光がアンチ平家になるフラグ?

源氏に同情的かつ信西シンパ→その源氏に信西を殺される→清盛は信西の協力者で信西の仇を討った

この流れから西光は清盛に好意的であるのが自然で、どうしても鹿ヶ谷とつながらないのです。彼を平家アンチにする何かがもう一押し欲しいところ。

そうこうしているうちに、常盤が後に神木隆之介になる赤ちゃんらを連れて出頭。すると、平氏の一門が側女にするのが当然という会話を開始。この流れは微妙におかしくないか?

頼朝に沙汰を下す場にて、髭切を見せる清盛。その髭切で首をはねてくれと懇願する頼朝。そこに炸裂する清盛パンチ。頼朝を介して亡き義朝に思いを語る清盛。そして下された沙汰は、伊豆への流罪。

こうして、義朝が残した髭切は清盛を介して頼朝へ返還されます。この髭切の処理が「義経」と真逆で面白いところ。

「義経」では、頼朝が逃亡中に髭切を隠し、清盛には偽物のありかを教えます。後に偽髭切をつかまされたと知った清盛は、激怒して偽髭切で庭の植木を滅多切りに。この渡清盛に対して、当時はネットで「清盛、器ちっさ!」「清盛小者くさい」などと笑ったものでした。

あぁ、そうか。とうとう「義経」での描写と比較できる時代に入ったんですねぇ……。稲森常盤は美しかったなぁ……。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第28回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。