大河ドラマ「平清盛」 第18回 誕生、後白河帝

カテゴリ:平清盛
日時:2012/05/06 22:17

今回は久寿1年(1154年)近衛帝の容体悪化にシオシオする鳥羽院から。それを聞いていた家成も、その年の3月には病床に。ノベライズだと成親師光はもう少しギスギスした感じなのですが、ドラマの演出は割と和気藹々。

師光「無頼の高平太殿の奇行の数々には手を焼いたとか」

というセリフも、場を和ませる軽口のようなニュアンスでした。ノベライズには、
戯言のようでいながら、清盛とは打ち解けられない隔たりを感じさせる
などとあったりします。まぁ、彼らは、この時点では平氏寄り、親清盛的な態度でいた方が、後の裏切り(鹿ケ谷の陰謀)が印象的でよいと思います。

(珍しく)普通にいい人な佐藤二郎、よかったなぁ。今回で退場は残念。家成のキャラも良かったのですが、いささか清盛ageな点が玉に瑕。

家成「野良犬の吠える声に、今や朝廷御自ら耳を傾けるようになったのでございますからなぁ」

そうか? まぁ、確かに鳥羽院とか妙に清盛を買ってたりしますが。 近衛帝の不例に俄然気合いが入る崇徳院。院政するきマンマン。11月に清盛を謁見すると、ガツガツと抱き込み工作。が、鳥羽院への忠誠を理由に拒否られてブチ切れる崇徳院。

その夜、清盛は早速平氏ミーティングを開催します。

歌会に招かれたいから崇徳院に付こうという経盛は、歌人らしい発言。

脳みそまで筋肉な忠清の言動。

時忠「たやすいことにござります。法皇様にも上皇様にも、どちらにもいい顔をしておけばよろしい」

頼盛さすが時忠様、身もふたもないことをきっぱりと

このシーンはそれぞれのキャラが立っていて好ましい。

が、清盛が下した結論はと言うと、法皇・上皇仲直りラブ&ピース作戦。それで済めば苦労はないよね。

一方、九州ではオフレッサー上級大将もとい呂布もとい為朝が大活躍。老けて見えますが、このとき数え16歳。満年齢だと14~15歳の中学生。この年で鳥羽院の所領を荒らすとは、尾崎豊もびっくりな不良っぷりです。後に舟を撃沈するほどの強弓を披露します。これが鳥羽院の怒りを買い、左衛門大尉を解官になる為義さん。こうした家臣や子どもの素行を抑えられなかったところが、為義さんのダメ義さんたるゆえんですな。

久寿2年(1155年)、鳥羽院に謁見した清盛は崇徳院との仲直りを献策。

清盛「法皇様ご自身がそれをお望みとお見受けいたしまする」

そんな気がする、ですか?

絶賛自分探し中のライアーゲーム親王は、美濃青墓へ。大層賑わっていますが、大河ドラマ名物の火を噴く大道芸人がいないのは残念。

ここから始まる乙前と雅仁のくだりはちと冗長でダレてしまいました。ただ、

雅仁「生まれてこずとも何の障りもなかった者なのじゃ」

という鬱屈は雅仁のキャラの根っこのような気がするので必要と言えば必要かも。が、乙前とのやりとりから近衛帝崩御後の清盛との会話が雅仁の動きにどう影響するのか。何やら彼の中では変化があったようですが、今回は特に能動的な描写がなかったため、乙前および清盛との絡みが無駄だったように見えてしまいます。さて、今後このくだりが生かされるのでしょうか。

久寿2年7月23日、近衛帝崩御。内裏に駆けつけた頼長は、服喪中のため王者議定(おうじゃぎじょう)に加われません。頼長のセリフの通り、このときは「この一大事」なのですが、師光の「服喪中のご昇殿は差し障りあり」という昇殿拒否理由に、

頼長「もっともじゃ。理にかのうておる

と納得して引き下がってしまうあたり、頼長さんらしい。前回の「お題は春じゃ」含め、微妙にボケキャラ化しているような……。

体よく頼長外しに成功した王者議定(「王家」反応する輩が騒ぎそうな用語ですが)。麻呂麻呂しい場面のはずですが、ちょっと物足りない。源雅定(村上源氏)や藤原公教がキャスティングまでされていながら、発言場面が声のみだったのも残念。字幕を表示させていないと、彼らの発言がどれだか分かりません。ざっと流れを再現すると、

公教、順当な案として重仁押し
忠通、それは危うい。崇徳や重仁に権が移ればどんな仕返しをされることかと心配して反対、守仁押し
信西、父の雅仁を差し置いて子の守仁が即位するのは前例がないと反対
雅定、ならばいっそ、ということで暲子押し
(ここで公教に戻る)

忠通までループしたところで、鳥羽院に振られます。鳥羽院は重仁押し。さらに、「いっそ上皇を再び即位させてもよいと考えている」と語ります。ノベライズでは「重祚させてもよい」となっていましたが、さすがに「重祚」はセリフとしては分かりにくいということでしょう。「再び即位」というのは妥当な表現だったと思います。

議定の結果は、雅仁の即位。久寿2年7月24日、日本一の大天狗、後白河天皇の誕生です。ライアーゲーム天皇の「人は生まれいずることが既に博打じゃ」「生まれてこなければ勝つも負けるもない」が今後生かされるのか否か。彼には事態をグチャグチャにするという重要な役目がありますから、期待したいものです。

崇徳院は卒倒。哀れ。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第18回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。