大河ドラマ「平清盛」 第13回 祇園闘乱事件

カテゴリ:平清盛
日時:2012/04/01 21:37

今回は、有名な「祇園闘乱事件」。ドラマ的には家盛の心象にも大きな影響を与える重大事件です。が、演出と脚本がイマイチ。解決までのプロセスが超展開過ぎて、部分的に良い場面はあったものの、全体的にはつまらない回になってしまいました。

というわけで、アバンから本編スタート。祇園闘乱事件ですから、舞台はもちろん久安3年(1147年)6月15日の祇園社です。ここの演出(松ケンの演技?)は非常に疑問。ダメダメです。金覚、銀覚にバニーちゃんが嘲笑されていたとき、なぜか清盛ニヤニヤとにやけるばかり。銀覚はかなりどぎついことも口にしており、バニーちゃんの性格からして穏便に済むはずがないことくらいは予想すべき。

案の定、バニーちゃんがキレて銀覚にヘッドバットを食らわせていたときも、清盛は背後でボーっと突っ立っているだけ

「御神域を血で穢しおったぞー!」

と神人がワラワラ出てきたときは、何かビビった顔をしている清盛。

清盛、危機管理能力なさ過ぎ。家臣の統御もできない。清盛が場の空気に合った表情なり動きをするだけで「避けられなかった騒動」という印象になったでしょうに、これでは清盛側がひたすら悪いという感じ。この後清盛が神輿を射るのも、単なる逆恨み、意趣返しのような流れになってしまいます。

ちなみに、史実の「祇園闘乱事件」は、この場で清盛の家臣が放った矢が宝殿に刺さったことが問題となったものです。神輿に射かけるとか、清盛本人が射たというのはドラマ上のフィクションです。 6月28日、比叡山延暦寺では僧兵どもが怪気炎。ここで鬼若、後の武蔵坊弁慶が登場。鬼若ってのは幼名なんですが、ヒゲ面で幼名ですかい?

ちなみに、「平家物語」(あくまでも物語り)によると、弁慶の父は熊野別当湛増とか。湛増は1130年生まれなので、祇園闘乱事件時17歳。17歳にしてヒゲ面の息子がいるとは、湛増……凄い男だ。一体何歳の時の子なのでしょう。そしてこのヒゲ面で幼名を名乗っている弁慶はこのとき一体何歳なのでしょう。もちろん、弁慶の父が湛増だという説に史実的な裏付けはなく、弁慶の生年も不詳ですが。

比叡山の強訴を阻んだのは、ダメ義義朝親子。実際には、源光保や平氏も加わっており、河内源氏だけということはないようです。

ここで神輿に射かける清盛。前述の通りフィクションですが、これで清盛の罪はより重くなっているわけです。

6月30日、祇園闘乱についての議定が開かれます。ちなみに、15日の祇園社での騒動、28日の強訴、30日の議定という流れ自体は史実通りですね。

検非違使庁で忠盛・清盛親子が蟄居する一方、清盛家では時子が産気づきます。去年はこんなシーンばかりだったなぁ……。

そんなところにやってきた忠正、生田に清太清次を託されてしまい遊んでやることに。この人、基本的にいい人だよなぁ。

清太「もしもおのこが生まれたらどうなりまするか? 母上はご自分の子ばかりをかわいがるのではござりませぬか?」

忠正「そんなことは断じてない!(中略)生まれてくる子をうんとかわいがってやれ」

清太の懸念をきっぱり否定してやる忠正。いい人だなぁ。忠正が出てくるシーンは全般的に良質な気がします。

鳥羽院御所では、祇園闘乱事件があらためて問題に。清盛が神輿を狙ったと鳥羽院にチクる鬼若。君、フケてるけど何歳なの?

それでも清盛の肩を持つ信西

信西「たった一本の矢に国中がかき乱されておりまする。それは清盛が世に欠かせぬ男ということ

頼長おってはならぬということじゃ

ごめん、信西。「清盛が世に欠かせぬ男」の理由がさっぱり分からない。この流れなら、頼長のセリフの方が妥当なんですが。信西の清盛ageは、忠盛の「清盛は平氏になくてはならぬ男」と同じく、全く意味不明です。

さらに意味不明な言動で、心の健康状態が心配なのが鳥羽院です。

検非違使庁で蟄居中の清盛たちのもとへ自ら乗り込む鳥羽院。

鳥羽院「そちが神輿を射たのはわざとか? 手違いか?」

どう答える? 「わざと」と言いそうだなぁと思っていたら、やはり

清盛「わざとにござります」

さあ、鳥羽院ワールド開始です。

鳥羽院「射てみよ!」

と、手を広げて清盛に射よと命じます(何で?)。

それに応えて射る振りをする清盛。

みぞおちを押さえて泣き、そして笑い出す鳥羽院(頭、大丈夫?)。

鳥羽院「血が、噴き出ておる!」

えっ

鳥羽院「そちこそが、神輿を射抜いた矢そのもの

えっ

何やら1人で大層納得なされた鳥羽院でした。

こうして、ロジックはさっぱり分からないものの、罰金 銅30斤で放免された忠盛・清盛親子。

鳥羽院の裁定を頼長に伝え、ドヤ顔で去る信西、怒りをかみつぶす頼長。ああ、フラグフラグ。ドラマではカットされていましたが、この光景を得子が眺めており、「まだまだ殿上にはもののけがあふれておるようじゃのう」とつぶやくシーンがあったようです。ああ、フラグフラグ。

清盛が我らがムネムネと対面していたところに、家盛登場。

家盛「私はもはや兄上を嫡男と思うことはできませぬ。これより先は、私が一門を背負うてまいる所存」

清盛「何じゃと?」

あれ清盛、君「跡継ぎになるつもりはない」と一門の前で思いっきり相続放棄していたではないの? 今さら「何じゃと」もないでしょう。いつの間に嫡男気取りに?

ちと清盛のキャラに一貫性が欠けているような。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第13回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。