大河ドラマ「平清盛」 第7回 光らない君

カテゴリ:平清盛
日時:2012/02/19 22:15

今回は、時間内に脚本を押し込むためか、ムチャクチャな編集に驚愕。主題はきちんと押さえていましたが、それ以外の部分は余韻もへったくれもない惨状。何だコリャ。

最も酷かったのが序盤。凱旋後の一門集合場面から鱸丸のSAMURAIクラスチェンジまでが単なるダイジェストに成り下がっています。ドラマになってません。最初の忠盛の「云々~我らの使命と心得よ」という演説も、その前に前回負傷した盛康らの死者への思いを語るくだりがあってこそ。これでは盛康も浮かばれません。

兎丸とのやりとりも、次回の密貿易エピに回してしまってもよかったのでは。あのシーンは次回、検非違使に渡した賄賂の源泉が明らかになる伏線ですが、ムリに尺を取ってまで入れる価値があったかというと疑問。

残念だったのは、康盛が死の直前に鱸丸を養子にして武士身分に引き立てたエピがぞんざいに扱われていたこと。結構感動エピになると思ったのですが、康盛と清盛の絆もあいまいで清盛の嘆きも感じられないし、鱸丸もとい盛国の感謝や喜びも伝わってこない、悲惨な演出でした。非常にがっかり。 ガッカリ感を倍増させたのは、次ぎの源氏物語ヲタ時子の登場シーン。源氏物語の朗読が長っ! これ、必要? 他のエピをカットしたりダイジェスト化してまで入れるようなこと? 他にやることがあるんじゃねぇの? 「天地人」のスポットライトシーン級にイラナイ。

忠盛は鳥羽院御所に伺候。海賊討伐の恩賞として清盛を従四位下に進めることになり、自身が公卿に昇る夢は絶たれガッカリな忠盛。忠盛・清盛・為義・義朝・頼長 官職任官年齢表の通り、忠盛は遂に三位には昇れません。次回登場のアッーく左府頼長は数え12歳で従三位だというのに……。

こうして父の代わりに位階を進めた清盛は、お礼言上の為に上がった鳥羽院御所で忠実と遭遇。「せいぜいここまでと心得よ」と、國村隼の麿っぷりが実にいい感じ。それより、清盛はそのカッコで院に拝謁したのか。密貿易で得た財を少しは装束にも回してほしいものです。

鳥羽院御所では、得ちゃんvs.璋ちゃん。もっとも、天然璋ちゃんにバトる意志は皆無なのですが。生んだ子が女子(叡子内親王)でガカーリな得ちゃんの下に、祝いの産着を大量に持参する璋ちゃん。得ちゃんの子が女だったことに対する嫌がらせではなく、本心から祝っちゃうところが我らが璋ちゃん。今回も、こうして璋ちゃんの天然爆弾が炸裂したのでした。

璋ちゃんの天然爆弾に怒り心頭の得ちゃん。鳥羽院の居室に押しかけて院を押し倒します。って、君、出産直後でしょ? 今「励んで」も妊娠なんかしないし……、えっと、その……痛くない?

清盛は、高階基章の娘明子の件を相談するため義清の屋敷を訪問。公式のドラマ・ストーリーによると、この場面では
義清は歌の才能で世を渡っていく方法を語り、璋子の女房である堀河局とのいきさつも話す。女を出世の道具と考えている義清とは話が合いそうもなく、清盛は話をせずに帰っていった。
とのことで、大幅にカットされています。ちなみに、彼の妻春子は江で清原マリアをやっていた人ですね。

それでも義清に相談はしたようで、明子へ送信したメールは義清が代筆。早速届いたリプライ。

清盛「断られておるではないか!

ノベライズでも笑った場面でした。ドラマの演出は少しテンポが悪かったかな?

さらにメールで飽和攻撃。現代だとストーカー規制法の「無言電話、連続した電話・ファクシミリ」に引っかかりそうで心配です。

当の明子は、身分違いに気後れ中。明子(創作上の名前。清盛先妻の実名は不詳)の実家である高階氏は、後白河法皇寵姫の丹後局や家成の妻を出しているものの、イマイチぱっとしない家柄。基章は特にイマイチな家系で、確かに忠盛の家とは釣り合いが悪いといえます。

ちなみに、基章の妻と國村隼演じる忠実は密通しており、基章の妻に娘を生ませています。本ドラマの考証担当高橋昌明氏はこの娘が清盛の妻だと推測する一方、元木泰雄氏は反対しています。確かに、忠実の娘であれば摂関家と縁ができるので、家柄が不釣り合いな婚姻のつじつまも合いますが、元木の言うようにそれならばその娘が清盛の妻になったという明確な記録が残りそうなもの。さて……。

ともかく、こっ恥ずかしくなるような清盛の口説き文句により、素直になる明子。よかったね。一方、清盛のプロポーズを盗み見て微妙な気持ちになる時子。大丈夫、すぐ君のターンになるから。なお、時子は現時点で数え10歳、満8~9歳です。

一門総出の中で縁組みの許可を求める清盛。あの雰囲気では、基章と明子はいたたまれなかったことでしょう。またまたこっ恥ずかしくなるような清盛のアピールにOKを出す忠盛。

このシーンは、忠盛の許可の前後に挿入される一門の表情が秀逸。さまざまな感情をうまく表現していたと思います。ここの演出はいいのになぁ。どう考えても妊娠するはずのない得子の鳥羽院襲撃シーンとかカットして、序盤をもう少し丁寧に描いたらよかったのに。

さて、次回はいよいよアッーく左府登場。胸が熱くなるな。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
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