NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」 第8回 日露開戦

カテゴリ:坂の上の雲
日時:2010/12/13 00:58

今回もまた、非常に内容の濃い90分でした。御前会議と封密命令のシーンの張り詰めた緊張感はすばらしかった。そのほか名シーンの連発です。多少残念なところもありましたが、それは単に「私の主観的な好みに合っていない」というだけなので、仕方がないでしょう。

また、これまた主観的な好みの問題ですが、を絡めてくるのは正直ウザい。まぁ、今後は真之もほとんど海上勤務なので律が絡むことはない……と思いたいところです。石原さとみの棒っぷりを批判する声もあるようですが、コレについては元から期待していなかったこともあり、私は特に気になりませんでした(スルーしているとも言う)。 まずは最初のシーン。習志野で演習している好古にロシアからの招待を伝えたのは、中屋新吉大尉。この時点では好古の騎兵第一旅団の副官です。後に騎兵第14連隊の連隊長になります。この騎兵第一旅団は日露戦争時に秋山支隊の中核となる部隊ですね。

阿部ちゃんの好古は大変カッコいいのですが、どうも彼を見ていると日露戦争が始まっても満州に行くはずがうっかりシベリアに出兵してしまいそうで困ります。

そしてニコリスクのロシア陸軍演習の場面。サラウンド環境だと、砲声や馬の蹄の音などに囲まれて大迫力です。この演習視察に始まる原作の好古パートは、好古らしさが出ていて非常に好きな部分です。ロシア騎兵との交流もちゃんとドラマに生かされていてよかったのですが、その後の「挨拶せにゃいかん」「いいからいいから」のノリでロシア軍が見せるつもりの無かった施設などにも勝手に入っていってしまったところはカットされちゃいましたねぇ。やっぱり。

残念だった場面の1つは、東郷平八郎と真之の顔合わせエピソード部分。原作では、東郷との会見の約束を真之がすっぽかすという、結構恐ろしい話になっています。まぁ、原作では東郷と真之の対面はこのときが初めて(だから会見をすっぽかすというエピソードも生きる)なのに対し、ドラマでは第2回で既に知り合ってますしね。そのためドラマでは、この会見は非常にあっさりしていて特にコメントすべき点がないという感じです。ただ、原作のエピソードをドラマでやるとしたら、それはそれで冗長になりそうなので難しいところです。

御前会議の場面は、豪華キャストが一同に会する名場面。明治天皇の雰囲気もよかったし、漂う緊張感もすばらしかった。

ところで、エンドロールに伊東祐亨がクレジットされていたのですが、一体どこに出ていたのでしょうか。やはり、当時の立場などから考えるとこの御前会議でしょうか。完全に見逃してしまいました。伊東祐亨に限らず、今回は特に海軍関係者が大量にクレジットされていて、「出てたっけ?」という人が山盛りです。伊地知彦次郎、というかダンカンなんかいたかな? 彼の場合、いるとしたら封秘命令開封の場面でしょうねぇ。

ニコライ2世とその家族の場面も感慨深いものがあります。第7回の頑なな感じと異常な早足とは正反対、弱さを見せたり娘たちをかわいがったり、実に人間味のある描き方になっていました。この家族、没年がみな1918年なんですよね……。また、彼がアレクセーエフに送った「日本に対する全面譲歩」の訓電がすぐにローゼンに届いていたら……彼らの運命は変わっていたかもしれません。

ちなみに、この時点では血友病であったことでも有名なアレクセイはまだ生まれていませんね。彼の誕生とその病故にかかわることになったラスプーチンもロシア皇帝一家の運命を1918年に引き寄せていってしまいます。

そして最後の封密命令の場面です。この命令書を持ってきた山下源太郎は、後に連合艦隊司令長官、さらには軍令部長にまでなった人物です。日露戦争開戦時は、まだ大佐にすぎませんが。

封密命令の開封前後の場面は、開戦を予感した艦隊幹部の緊張感が伝わってきて非常にいいデキでした。こっちまで、「ああ、ついに始まってしまった」という思ってしまいます。この場面で有馬良橘というか加藤雅也がいることには気付いたんですけどねぇ。ダンカン……いたかなぁ。

最後に、例によって思いついたことをポロポロと。

ついに三笠登場! やっぱり敷島型はかっこいい。ロシアのボロジノ級なんかも味がありますが、やはり敷島型の特に三笠・朝日はいいですね。

明石もついに登場。けど、彼の出番はこれで終わりっぽい感じでしたね。まぁ彼の工作場面に尺を使うわけにもいかないんでしょうが……。いつかスピンオフでも作ってほしいところです。

伊藤博文と金子堅太郎の場面も、悲壮感がただよっていてよかった。ここは原作を忠実に再現していましたね。

次回はみんなのアイドル、ボリスも登場しますね。

キャスト(配役)については、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」キャスト(配役) 第2部補完版にまとめています。