NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」 第3回 国家鳴動

カテゴリ:坂の上の雲
日時:2009/12/14 23:12

まさかね、あのセリフを使うとは思わなかったなぁ。

「ちんぽがかゆうていかん」

今度のNHKは本気だ!

さて、明治22年2月11日の憲法発布で沸き返る中、喀血したノボさんから。実家の門前で笑顔の練習をするところで早くも涙腺が刺激される。

お囲い池でのトラブル収拾のため、久敬が警察に話を付けに行くくだりは原作通りなのだが、伊東四朗の演技が味わい深い。第1回から、伊東四朗登場シーンはハズレなしである。

また、仏壇の前で真之好古の手紙を掲げ、「フランスに父の名を知らしめた」という場面でまた目頭が熱くなる。このエピソードは原作にはないが、よかった。

そして、明治24年5月11日。大津事件。 あれ? もう終わり? 大津事件はあっさり流したなぁ。もう少しねっとりやるのかと思ったが。

ただ、ニコライについては史実と原作の乖離が大きいので、掘り下げにくかったのかもしれない。原作では、大津事件をきっかけにニコライは大の日本嫌いになり、津田三造とは無関係な女性 畠山勇子が詫びるために自害したと聞けば「なにそれこわい」って感じだった。

実際のニコライは、彼の日記によると割と親日家で、日本で入れ墨まで彫っている。大津事件でも日本に対してはまったく怒っていない。


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日本人を嫌悪して「マカーキ(猿)」と呼び、日露戦争の遠因になったということはなく、大津事件は原作の問題点の1つともなっているくだりだ。

定遠のくだりは、東郷平八郎と真之を早めに出会わせようという意図が先走った感があって、イマイチ。というか、団長が東郷というより団長のまま。「ごわす」もとってつけたような感じで、ひどい薩摩弁だった。やっぱり渡哲也には期待できないか……。もう、三笠の艦橋からショットガンでロジェストウェンスキー狙撃しちゃえよ。

ダイコン渡で微妙にテンションが下がったが、伊藤博文、川上操六、陸奥宗光の政治劇で背筋がしびれるような感動を味わう。こう、コレだ! こういうドラマが見たかったんだよ!

加藤剛の苦悩、國村隼の凄みは、まさに神演技。加藤剛だと上品すぎ&大物すぎな伊藤博文であるが、それでもよかった。國村隼もね、「悪人じゃないけど黒い」って役がハマりすぎである。それに比べ、大杉漣。誰だよ、キャスティングしたの。この2人と一緒にしたら、大杉漣のヘタさが目立ってかわいそうだろ。何か、付け髭が浮いてるし。

大杉漣もカミソリ陸奥宗光って感じじゃなかったが、それより酷いのが、メタボ山縣有朋。配役を見たときから違和感があったが、実際に映像を見てますますダメだと思った。山縣はもっと、痩せてポキポキした感じの人じゃないと。江守徹って顔でかすぎだし。

狆との結婚のあたりは、最近の大河ドラマにありがちな恋愛風味になってしまっていたなぁ。見合い時の好古、目の動きが「結婚できない男」っぽかったぞ。狆が松山に行って貞と会っていたとか、不自然なエピソードが追加されてるし、何だかなぁ。

結婚式(というより祝言って感じ?)での、長岡外史らによる「一期生、全滅」は笑った。トーキー風の演出も面白かった。「狙いすぎ」って意見もあるようだけど。

目黒の兵舎に入る際、笑顔でサラっと子どもの名前を言い残す好古もよかった。気負っていない覚悟がよく表現されていた。その夫に、旧旗本の姫さまが、しかも往来で「生きて帰ってきて」というのは不自然だし、「そう思っているけど言葉にできない」感じの方が、より深い場面になったんじゃないかなぁ。そういう演技、松たか子じゃムリなのかな? それに対して、何も言わず見つめ返すだけだった好古に救われたが。

ただ、阿部ちゃんだと朝鮮というよりシベリアに出兵しちゃいそうな感じだ。

最後は、東郷平八郎が起こした高陞号撃沈事件。アレだと、国際法に則って行った合法的な攻撃だってことが伝わらない世なぁ。今回は単なる引きで、次回にちゃんと説明するのかな?

キャスト

主人公と家族
秋山好古(1859-1930):阿部寛
秋山真之(1868-1918):本木雅弘
正岡子規(1867-1902):香川照之

秋山久敬(1822-1890):伊東四朗
秋山貞(1827-1905):竹下景子
秋山多美:松たか子

正岡八重(1845-1927):原田美枝子
正岡律(1870-1941):菅野美穂

子規関係者
陸羯南(1857-1907):佐野史郎
夏目漱石(1867-1916):小澤征悦

海軍関係者
東郷平八郎(1847-1934):渡哲也

陸軍関係者
山縣有朋(1838-1922):江守徹
川上操六(1848-1899):國村隼

児玉源太郎(1852-1906):高橋英樹
井口省吾(1854-1924):堤大二郎
長岡外史(1858-1937):的場浩司

政府関係者
伊藤博文(1841-1909):加藤剛
陸奥宗光(1844-1897):大杉漣

松山関係者
園田:徳井優
水練の師範:坂本長利

ロシア関係者
ニコライ2世(1868-1918):ヒョードロフ・ティモフィー

外国人
丁汝昌(1836-1895):徐文彬

そのほか
津田三蔵(1855-1891):岡けんじ