大河ドラマ「義経」 第35回 決戦・ 壇ノ浦

カテゴリ:義経
日時:2005/09/04 22:14

ついに壇ノ浦である。先週の、「哀戦士」が流れてもおかしくない予告に期待全開だったわけだが。

戦前日は雨で視界劣悪。範頼が狼煙を上げていても見えないだろう、と。見えれば、明日の天気を教えてもらえたかもしれないのにな。

そして、決戦前に「もめることになっている」軍議シーン。梶原景時の「先陣キボン」キター。本来なら、ここでヨッシーが「先陣は自分だ」と主張してバカ大将っぷりを発揮するわけだが、ドラマでは「この辺りの海に慣れている三浦義澄に」という実にまっとうな理由付けになっていた。

このシーンでのヨッシーの言い分にはツッコミの余地ナシ。これはこれでアリだと思うけど、何だかなぁ。ちと捏造クサイが、ともかくこの改変脚本はグッジョブだと思う。単に、自分が知っている話と違うことに抵抗感があるだけ。 兵を前に演説する阿部知盛、かっこいー。「どんとこい源氏」って感じだ。それに比べて、鶴見宗盛はオーラがないねぇ。序盤で超キャラ立ちしていたころの宗盛は(ある意味)輝いていたのに。いまはすっかりどんとこい知盛が平家の主役である。

さて、注目の漕ぎ手射殺戦法。村人を説得して退去させてから放火するという、ひどい捏造をやらかしたスタッフのこと、今回もヘンテコな正当化をやりそうだ。と思ったが、フツーにやってたな。ドラマでは、進退窮まった末の苦肉の策って感じだったけど。それなら、はじめから戦術として織り込み済みとした方が、ヨッシーの戦術能力を強調できたんじゃないのか?

ワナを仕掛けたのに護衛が固くてバレバレな御座船を発見しちゃうヨッシー。しかし能子(廊御方)の「おまじない」に「射つなー」と。完全に「戦いの中で戦いを忘れて」ますがな。

そして不思議な光景が広がる。矢を射ることもなく近づいてくる知盛船。それを矢も射ずに待ち構えるヨッシー船。お前ら、その手に持っている矢を射ろって。戦なんだから。

今回の大河の「阿部知盛」は、「知盛」ではなくて「知盛+教経(教盛子)」なんだよなぁ。だから悪くはないのだがビミョウーに違和感を感じる。阿部ちゃんの演技は実によかったと思う。表情なんか、とても伊集院忍少尉とは思えん。

んが、突然船の掃除を始めるクールな知盛、「罪を作るな」を「大将を狙えということか」と解釈するポジティブシンキングな豪傑教経。2人いるからこそ際立つ両者の魅力が薄まってしまったのはやはり残念。もちろん、ドラマとしては多すぎるキャラをうまく整理したと思うけど(キャラ被りまくりの三郎と次郎も1人で十分な気がするが)。

予告の金粉ショーには不安を覚えたが、なるほど、そういうことか。ヘンな演出(桜多すぎ、月でかすぎなど)がことごとく裏目に出て失笑を買っていたが、今回はまぁアリかな。

が、重い鎧を着けたまま、ヨッシー跳びすぎ。跳ぶというより飛んでるし。しかも、知盛の周りをムダにピョンピョン跳ね回ってるみたいでバカっぽい。俺が知盛なら、こういったね。

「何もしないから、取りあえず落ち着け」

対知盛戦はメチャメチャ消化不良でいつの間にか終わってるし。ここはもの凄いガッカリポイントである。阿部ちゃんがよかっただけに、もう少し殺陣を見たかったところだ。

バカっぽいといえば、時子である。このオバハンは何考えてるんだ? 「心細い」とかいって、せっかく分乗させた天皇と親王を合流させてるし。う~ん、「海の下」の話は飛び込む寸前の方がよかったな。あと、「清盛が云々」はイラネ。

そしてついに、「平家だらけの水泳大会」開始。このシーンはやはり切ないねぇ。不覚にも泣きそうになったのは内緒だ。ヨッシーに気づいた時子が、微笑みつつ入水するのもよかった。ああ、これがホントの愛の水中花。清盛の遺言を捏造するなど、事態を悪化させることばかりしでかした時子。最後は親王をその手にかけるという極悪人っぷりである。史実?では天皇殺しだから、さらに性質が悪いんだが。

今回、最も期待どおりだったのは、宗盛であろうか。AA職人の兵が差し出した棒に自ら捕まってるし。もうちょっと見苦しくてもよかった気もするが、まぁよかろう。

知盛はイマイチ知盛っぽくなかったが、最後に「見るべきものは見つ」といってくれたから、それでOK。阿部ちゃん、お疲れ。

しかし、平家の面々ががんばった一方で、ヨッシーがやったのは

・押し出せーとわめく
・知盛の周りを跳ね回る
・成りませぬーとわめく

くらいか。

確かに、これまでの35回の中でトップクラスの面白さだったのだが、ちょっと期待はずれだったのも事実。よいシーンもたくさんあったが、名場面をブツブツにつないだだけというか、ちょっと編集が雑に感じた。