大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第1回 井伊谷の少女 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/01/08 22:55

ノベライズではサクサクと展開するのですが、ドラマは演出が悪いのかちょっと間延びした印象を受けました。子役シーンが多かったからかもしれません。ノベライズは案外面白いので、演出次第でもうちょっとどうにかなりそうな気がするのですが……。

天文13年(1544年)。これから苛酷な運命をたどる3人の子供たちが、そんなことは夢にも思わず天真爛漫に駆け回るという、割とテンプレなシーンからスタート。このとわが成長して柴咲コウになるとは思えないけど、鶴丸役の子は高橋一生っぽくて感心しました。

で、知恵者的なキャラ立てをしつつ鶴に追い詰められたとわ。ノベライズは「川岸の岩の上」「淵」としか表現されていませんでしたが、ドラマのロケーションはイメージ以上に高っ! が、とわは躊躇することなくダイブ。水面に現れたら義経になっていた、ということはもちろんありません。

龍潭寺でお勉強した後、井伊家発祥の井戸で井戸端会議。ノベライズでは「論語を暗唱」となっていましたが、ドラマでは「春色無高下」「応無処住而生其心」「掬水月在手」などと言っていました。論語じゃなくて禅語ですね。もちろん、私ごときに禅のたしなみなどありません。こちらで学ばせていただきました。 井戸端では、とわが体験した川の中で聞こえた声や、馬の飼い葉の件について。忍びに見張られていると主張するとわ。ドラマではカットされていましたが、ノベライズには、

鶴「それはただの親切ですね」

とツッコむくだりがあります。

ここで南渓和尚が登場。2016年に発見された位牌により養子説が浮上しましたが、本ドラマでは井伊直平の実子となっています。まぁ、養子説を採ったところでドラマが面白くなるわけではありませんが。

そして井伊氏初代共保の出生伝説が語られます。赤子だった共保がいたのは井戸の中なのか井戸端なのか、中ならなぜ生きていたのかと、割とどうでもいいことをディスカッション。

ここで亀之丞が倒れ、亀之丞の病弱っぷりの描写と小野家が嫌われているという説明へ展開。そこに直盛がやってきて、とわと亀の婚約発表。流れるような説明描写は見事ですが、井戸に普通に小石を落としていた直後にグッタリする唐突感は否めません。

とわは、家督相続を反故にされて父井伊直盛にプンスカ。が、千賀に「それにどのみち同じことだと思いませんか? もし、仮によしんばあなたがご領主様になったとしても、誰かと夫婦になることは変わりませぬ。跡継ぎをもうけねばならぬのですからね」という豪快なすり替えにあっさり丸め込まれます。

とは「そうですね! 確かにおっしゃるとおりでございます」

この子、アホだ(笑)。

続いて、思わせぶりなシーンが続きます。ノベライズを読むと、こんな調子で史実を知っていても次の展開が読めない工夫があり、意外に楽しめます。

井伊直満家に謎の山伏が出現、謎のメールが託されます。小野政直は何やら企んでいる様子。「あやつはきっと何か勇み足を踏みよるぞ。 勇んで身を滅ぼさんとよいがの。まことに心配でならんわ(笑)」。

龍潭寺で鶴と亀が語らっていると、たけととわの声が聞こえてきます。はっきり文字で書かれているノベライズと違い、ドラマは「遠くから聞こえてくる声」ということもあり聞き取りにくい。たけは、「また! 足はハの字。ああっまたお裾が」と言っています。

そして登場したとわは、小袖を着ていて女子っぽくなったものの、仁王立ちしていて女子力はアップせず。

たけのセリフが聞き取りにくかったため、とわの「では、われはハの字で歩けるようになるから見ていてくれ!」というセリフも分かりにくかったのですが、要は内またでそそとおなごらしく歩けるようにする、というわけです。

場面は父たちのミーティングシーンへ。駿府に呼び出しを受けた直満は、不自然に動揺して「何かあるな」と予感させます。

竜宮小僧を探すとわ、鶴、亀。律儀に付き合ってやる亀とうんざりしている鶴でキャラ立てしつつ、謎の穴を発見。物音から隠されていた穴発見の流れがイマイチ自然ではないことと、今後も頻出する「竜宮小僧」というキーワードが、少なくとも第1クールの間は空回りしている点が気になります。

なお、ノベライズには「洞窟」とありますが、ドラマでは階段めいたものが整備されていたりします。そして、死体発見。

何と、『スタンド・バイ・ミー』。

発見した死体は、直満家に出入りしていた山伏のもの。懐の銭入れはそのままで、物盗りの仕業にしては不自然。そして井伊の館に戻ってみると、ただならぬ様子。

直盛の前には、あれがちょうど収まりそうな、いい感じの大きさの箱が置かれています。そして、直満の死を亀に伝える直盛。

ここで春風亭昇太の今川義元が登場。思ったよりもビジュアルは悪くないけど、義元はこんな小物じゃなくて、存在感のある大物を使ってほしかったところです。直満誅殺を命じる手の動きもセコセコしていて小物臭が抜けきれません。実に残念。

ちょうどいい大きさの箱というか桶に近づく亀。ノベライズでは、従者がふたを開けて亀が桶の中を見つめるのですが、ドラマでは包みを解いたのみでふたは開けず。この流れでふたを開けないのはちょっと不自然かな。桶の中を見せずとも、ふたをあけて亀が父と対面する場面は描写できたでしょうに。

一方、屋敷に戻った鶴は父の様子から、父の関与を確信します。

今川に亀の首を要求された井伊家は、亀を逃亡させて一族総出で時間稼ぎ。井戸で亀の無事を祈っていたとわは、亀の笛を発見。

今川の追っ手についに捕らえられてしまった亀。しかし、その正体はとわだった、というところで終了。

ちなみに、物語の舞台は↓な感じです。井伊谷は遠江の西端。直満は、ここから駿河の駿府に行って殺されたというわけです。桶狭間の後、家康は三河の岡崎城で自立することになり、井伊谷は今川と徳川に挟まれる形となるのです。



2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
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