大河ドラマ「平清盛」　第31回 伊豆の流人 感想

さあ、今回から第3部。予告通り、オープニングの映像もマイナーチェンジ。清盛の登場シーンが舞になったのですが……。まじめな顔で舞う清盛というか松山ケンイチが妙に面白くて笑いそうでした。別に松山ケンイチが悪いわけでも嫌いなわけでもないのですが。一体、何がいけないんだろう。

長寛2年（1164年）9月。蛭ヶ小島のナレ朝さんも今回から本役。ただし、流人頼朝と必ずセットで登場する安達盛長は、まだ「藤九郎」にすぎません。『義経』の盛長は特徴のないフツーの人でしたが、『草燃える』の盛長（武田鉄也）は藤九郎と同じく、当初はお調子者でした。実査愛の盛長が明るいお調子者だったかどうかは分かりませんが、ドラマ的には相方がしょんぼり流人ですから、盛長で会話を引き出すしかありません。 都では、二条天皇に11月14日、順仁親王（後の六条天皇）が誕生。後白河上皇とさらに対立を深めるネタがまた1つ。当然面白くない後白河さん。よせばいいのに鳥羽院が写経しまくったものの崇徳院との溝を埋めることができなかった『長者窮子』をリーディング。案の定、「説是我子」の個所でブチ切れます。知らんがな。

滋子を通じてアポを取った清盛、日を改めて後白河院所に参上。後白河は何と、千体の千手観音を作らせたのに、それを納めるお堂がなくて困っています。普通、入れ物箱物を事前に考慮するものですが。この無計画っぷりは後白河らしくてステキ。

そこで清盛が蓮華王院を献上します。いわゆる三十三間堂ですね。これには後白河も狂喜乱舞。パパと同じ反応です。ご褒美は、重盛の参議就任（長寛3年、1165年5月）。

重盛参議に。ここで気になったのは、藤原（近衛）基実のフケかた。長寛3年の時点では、まだ数え23歳なのに……。というか、アノ声変わりもしていないような二条帝と同年！

こうして議定に参加する一方、二条帝に挨拶に赴く重盛。誰が考えても地雷だろうという、後白河との確執を諫言し、見事に地雷を踏む重盛。

盛国「まるでお若き頃の殿のようでございましたな」

清盛「わしはあのように青臭うはなかった」

盛国「はははは、これはこれは」

盛国、視聴者を代表してツッコミありがとう。

親子和解もないまま、予定通り二条帝が病に倒れ、順仁親王への譲位宣言。順仁親王は7月7日には六条帝として即位します。まだ数え2歳（というか生後7カ月）のベビーちゃんですが。その20日あまり後、二条帝が崩御します。

二条帝の弔問の最中に鳴り響く鉦や太鼓の音。鳴り物入りというか鳴り物付きで登場する後白河さんです。さすがミュージカル担当。

が、清盛に「赤ちゃんは帰れ！」

と言われ、すごすごと出て行く後白河。

後白河「「$( ﾟ∀ﾟ)$ ｱﾊﾊﾉヽﾉヽノヽノ＼/＼」

幼帝が立ったことで基実は摂政となり、清盛に大納言昇進を伝えます。ノベライズによると、清盛の義理の息子とはいえ、摂政殿下が清盛の屋敷に昇進を伝えるためにやってきたとのこと。前回の忠通さんといい、摂関家だったら清盛ごときは呼び付けると思いますが。

病を患っていた池禅尼は、とうとう危篤状態。とっっっても若く見えますが（多少白髪は増えましたが）、池禅尼はお婆ちゃんですしね。

池禅尼「なんと満ち足りた一生か。かように大勢の子や孫に囲まれて」

残される者としては、何よりの言葉です。こんなセリフを吐いて逝きたいものですが、現代では「大勢の子」を作るのはちと厳しいな……。

池禅尼「断じて絶やしてはならぬ」

かように大勢の子や孫が出来たのに、実はあっという間に絶えちゃうんですよ。ああ、だから頼盛に言ったのか……。

清盛と池禅尼の関係は、ギスギスしているというか明らかな確執にまで及んでいるものも多いように感じます。『平清盛』では、両者の内面に葛藤はあったものの、おおむね良好な関係でした。ちと池禅尼さまの私かわいそうアピールが鼻につく面もなきにしもあらずでしたが。

大番役として、清盛の大活躍っぷりを見てきた田舎者の伊東祐親は、完全にビビってます。北条時政＆政子との運命の分かれ目ですなぁ。こうして都でビビっているパパの気も知らず、娘はスケ（ベ）殿とラブラブファイヤー。流人という不安定な立場にいる頼朝にとっては、豪族と娘を通じてつながりを持つことは必須。頼朝のことだから八重姫との関係も下心がなかったとは思えないのですが、まぁドラマでは安い悲恋に仕立て上げることでしょう。

清盛、次回はいよいよ太政大臣ですか。あれは清盛の快挙というより、公家どもに仕掛けられた位打ちで、どちらかというと「してやられた」というべきもののような。そもそも太政大臣なんて名誉職みたいなもんだし。

最後に、重衡……。アンパンマンかと思った。イケメンぞろいの平家の中で、これは一体いかなることぞ。前重盛もいるし、やりにくいだろうなぁ。