大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第10回 走れ竜宮小僧 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/03/12 22:11
今回は、松平元康離反の影響に井伊が引きずり込まれる前の静けさ。次郎法師が「女城主」(本来は「女地頭」ですが)にならざるを得ない事態になる前の、最後のほんわかムードといったところでしょうか。

ではドラマスタート。前回終盤の描写により、誰もが「奥山朝利が脇差しを抜いて小野政次に斬りかかるも返り討ちにあったのだろう」と想像します。普通なら、政次の「奥山殿を斬ってしまった」というセリフも含めてミスリードであり、意外な真相が今回明かされる……と思うでしょう。

が、意外なことに前回の描写そのままです。何のひねりもありません。

政次の手当をした次郎法師は、介入を決意します。「これは竜宮小僧の務めじゃ」と、初回からスベりまくっているテーマ「竜宮小僧」たることを宣言します。竜宮小僧云々はもう忘れた方がいいと思うんですけど。つまんないし。で、何をしたかというとなつを動かして心証改善を図った、と。

一方、知らせを受けて現場検証に出向いた井伊直親は、床や壁に付いた刀傷の位置に着目。抜いたのは脚を悪くした奥山であると、政次の正当防衛説を主張します。

で、あっさり決着。

我らが竜宮小僧の暗躍は続きます。奥山が成仏していないと政次に吹き込み、写経を勧めます。普段クールな政次があからさまにキョドり、後ろを気にしながら写経する様がなかなかかわいくて笑えます。

そして井伊直平にしたように、次郎法師が意図的に流布したであろう「奥山を悼み写経をしている」といううわさが人心を改善させている様子。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第9回 桶狭間に死す 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/03/05 21:51
「視聴者を泣かせたい」という、実のない熱意が盛大に空転する第9回。ホイルスピンで生じた白煙が目にしみて、別の意味で泣けてきます。第1回ラストと同様、次回のネタバレをしちゃうのも意味不明です。ダメだこりゃ。

次郎法師と千賀が「例の井戸」で話していると、今川大敗のお知らせ。

一方、松平元康今川義元討ち死にの知らせを受け、岡崎への帰還を決意。岡崎城にいるはずの今川の城代も逃げ去り、あっさり成功。

元康「も、戻れてしまったの」

よかったね。

翌日、生死不明だった井伊直盛が首だけになって無言のご帰宅。首を持ち帰った孫一郎から直盛の最後が語られます。

直盛「どうせ死ぬなら、織田の輩の手柄ではなく、井伊の役に立ちたい。わしの首を掲げ、お前は織田のふりをし、戦場を抜けよ。そうすれば、井伊の武者の一人は助かるではないか」

う~ん……。

孫一郎「ならばならばそれがしの首を殿が掲げ……」
直盛「お前たちはまだまだこれからじゃ!」

で、重臣の息子を生かすために殿が犠牲になるという、全くもって意味不明な理由で直盛が自害したというのです。どう考えても直盛が生き延びた方が井伊にとってプラスです。そもそも、こういうときに殿を無事に落とすのが家臣の務め。おとり役になって毛利元就を逃がした渡辺通の話とか知らんのか>脚本家。大河『毛利元就』でも名場面なのですが。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第8回 赤ちゃんはまだか 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/02/26 22:01
今回は、子ができなくて破綻寸前の夫婦が次郎法師の活躍で立ち直るだけという、大河でやる必要があるの? って感じのお話です。エピソードがほとんどない人物で1年もたすのは大変だな、と思わされます。

次郎法師に、メル友瀬名から近況報告メール。竹千代(信康)が生まれているので、今は永禄2年(1559年)であることが分かります。

このメールにクスリと笑ったら、しのに「私のことお笑いになりましたか?」と因縁をつけられます。

龍潭寺から徒歩で40分以上かかる祝田にいるはずのしのがなぜこんなところをウロウロしているのか? 吉田松陰の妹のアノ変なのみたいに、地理感覚が狂っているのでしょうか。ドラマでは説明なしでしたが、ノベライズによると「子宝祈願の経をあげてもらいに来ていた」とのこと。

次郎法師は、井伊直親夫妻のために子を授かる薬とされる麝香(ムスク)の購入を決意。鼓の売却と麝香の入手を小野政次に依頼します。で、これをしのに勧めるも、受け取りを拒否られます。さらに、「子ができぬよう呪うている」と言われて激怒。被害妄想をこじらせると大変です。

直親もここに至って側女を持つことを決断。希望を聞かれ、「今度は、その……落ち着いた女子を」と言う直親。分かる、分かるぞ。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第7回 検地がやってきた 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/02/19 22:57
今回も架空のお話で、井伊の隠し里を巡って直親と政次の関係性、特に政次の心が揺り動かされます。

聞こえてくる井伊直親の笛の音。続いて、しのの鼓の音。直親の隣に次郎法師の居場所はないと思い知らされます。

一方、新野は今川義元に直親の帰参と家督相続を願い出ます。結果、それはスルーだけど検地するよ、ということに。国衆の賦役見直しの一環とのことなので、特に井伊だけ締め付けようとか、家督相続を願い出たからというわけではなさげです。

が、隠し里を川名に持つ井伊直平が拒否反応。隠し里が井伊の民が逃げ込む最後の砦だと知り、直親は隠し里を隠し通す決意を固めます。

政次の出方が気になる次郎法師。

直親「政次は俺と同じように思うておるところがあるような気がするのじゃ。決して己の父親のようにはならぬと」

そして、小野家を訪ねる直親。直親が差し出した川名の指出をざっとあらため、サクっと隠し里の分が欠けていることを見抜く政次さすが。まあ、隠し里のことを知っているからには、それをどう扱うつもりなのか? という目線で見るでしょうから気づいて当然かもしれません。

そしてここから、聖人君子のいい子ちゃんだった直親の、見方によっては結構黒いトークが始まります。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第6回 初恋の別れ道 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/02/12 22:22
今回は、次郎法師と直親が夫婦になることを諦めるというだけのお話。直親の退屈なキャラ造形に対し、複雑な思いをちらつかせる政次が興味深い。一応、今川が尾張侵攻を進めている話も出てきて、桶狭間が近づいていることもにおわせていますが。

亀之丞、元服して直親となる。以後、みんな「直親様」「直親様」と諱を連呼します。まあ、気にしないことにしてはいるのですが。

直親のいい子っぷりに大人たちも大盛り上がりですが、直親が次郎法師の還俗問題を持ち出して微妙な空気に。

微妙な立場に揺れる次郎法師に、南渓が昔話を始めます。道威が中と伯に2個ずつまんじゅうを与えた。中は1つ食べてもう1つを子どもにやった。伯は1つ食べ、もう1つは持ち続けてカビさせた。そして道威は伯を残した。それはなぜか? 次郎法師が自分なりの答えを出すのが今回のテーマです。

一方、直親は小野家を家庭訪問。聖人君子でもあるまいに、小野に一物あると思っている小野兄弟はビックリ。そして、直親の聖人君子っぷりに微妙な表情の政次さん。高橋一生はこういう屈折した役がうまいね。こういうとき、すごい複雑な表情をするので見入ってしまいます。

駿府の様子を探りに行った新野が戻り、やはり直親の帰参&相続と次郎法師の還俗の二兎を追うのは断念。それをあっさり受け入れる直親。と思いきや、

直親「ここはもう死ぬしかないと思うのだ。死んで一緒になるしかない」
次郎法師「ばかなことを申すな! やっと戻ってこられたというのに何を」
直親「俺は死なぬぞ。死ぬのはおとわだけだ」

というわけで、自害を偽装して別人となることを提案。まあ、そう悪いアイデアではありません。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第5回 亀之丞帰る 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/02/05 22:00
「亀之丞帰る」と題した第5回。内容は、本当に「亀之丞が帰ってきた」だけという、実に見せ場のないお話。他は、政次の末路を暗示する政直のセリフくらいか。それ以外はカットしてしまってもいいようなシーンばかりです。ノベライズだと数分で読めるのでまあ楽しめますが、これを40分に引き延ばされるとやはり退屈です。

天文23年(1554年)。今川は三河平定を順調に進め、勢いは増すばかり。亀之丞を呼び戻すのは諦めて、小野政次と奥山朝利の娘を縁組みさせてその子に継がせるプランが浮上。評定は大もめになるものの、小野政直は余裕の表情。

小野を巡ってみんなが激高、小野は平静。このパターンの繰り返しで、井伊の評定シーンは本当に退屈。脚本も演出も、少し工夫できないものでしょうか。

演出がちょっと良かったのは瀬名メール。「ほうび せなひめをわがつまに たつおう」の書き付けを反故にされた乙ちゃん瀬名の目が怖いのなんの。

政直の調伏祈祷をしろという井伊直平に不審を持った次郎法師は、井伊直盛に直平が政直を嫌う理由を問います。その真偽を確かめるため、次郎法師は政直に直接インタビューを敢行。女性主人公だとなぜか、過去の因縁を知り当事者に確かめに行く、という行動パターンが多くなります。そういえば、ウザイ三姉妹の三女が築山殿事件(おお、瀬名がらみだ)についてインタビューして回るという、実にくだらないドラマもありました。吉田松陰の妹も似たようなことしてましたが、まあどうでもいいや。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第4回 女子(おなご)にこそあれ次郎法師 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/01/29 22:28
今回はとわの出家と小野政直暗殺を軸に、とわと井伊直盛が己の方向性を見いだすというお話。こうして1行にまとめるとテーマが確立していてよさげですが、イマイチ面白くないのが残念です。直盛の年齢を考慮に入れると結構すごい展開なのですが……。

井伊谷に戻ったとわは、庭で鶴丸と再会。そして、出家したらと夫婦になれないことに初めて気付きます。さらに、とわの出家が本領安堵の条件となったため、還俗もままならないということに。

大人の事情など知ったことではないとわは、出家したくないと言い出します。そこで母の出番。

千賀「母はあなたを誇りに思います。己の身を挺し井伊を救うなど誰にでもできることではありません。まさに三国一の姫!」

これであっさりその気になるとわ。基本アホな娘です。

そしてとわの得度式開催。剃髪し、南渓により「次郎法師」と命名されます。

で、地球寺へ。

とわ「昊天。来たぞ!」

うわ、入門者の態度じゃないぞ。

案の定、傑山に放り出されるとわ。超ニッコニコの傑山が何ともいえない。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第3回 おとわ危機一髪 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/01/22 22:37
今回も、史実ではない創作エピソードなので、今川家の顔見せ回だと思って見ればいいでしょう。

ドラマは前回ラストシーンからスタート。髪の毛をそぎ落とし、出家すれば誰の嫁にならなくてもよいと主張するとわ。とわなりの名案というわけですが、小野はヘソを曲げて駿府に言いつけに行く始末。さらに事態は悪化します。

そして今川からメールが到着。とわを人質に差し出せと要求します。南渓は、いっそとわの出家を認めさせるというプランを開陳。太原雪斎にそれを認めさせれば、というあたりに勝算を見いだしている様子です。確かに、「雪斎様を口説き落とせればもう勝ったも同然」(南渓談)でしょう。

そしてとわたちが駿府に出立。と思ったら鶴丸が何者かに拉致られます。首謀者はすぐに井伊直平と判明。愉快なじいさまです。

駿府に到着したとわたちが入った屋敷は、関口家。佐名の嫁ぎ先です。今回登場の佐名は井伊と徳川をつなぐキーパーソンです。

佐名は直平の娘で南渓の妹。人質として今川に差し出され、今川義元のお手つきとなった後、関口親永に嫁ぎます。いわゆるお手つきの下げ渡しというやつです。そして佐名が産んだのが瀬名。徳川家康の正室、築山殿です。とわとお友達になって今後も登場するので、瀬名はその死までドラマで描かれることでしょう。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第2回 崖っぷちの姫 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/01/15 21:59
今回は、ビックリするほど話が進みません。後に絡んでくるらしいムロツヨシとの出会いと、とわが出家を思い付くに到る葛藤だけです。それならそれで、もうちょい工夫できないものでしょうか。

井伊の館で子供たちの面通しをしていると、連行されてくる亀之丞。といっても、その正体がとわであることは前回ラスト&アバンでバラし済み。視聴者は、茶番であると知らされた上で茶番劇を見せられるというわけです。落胆したり驚愕したりする登場人物を、冷めた目でボケーと眺めるしかありません。

ノベライズでは、井伊の館で子供が顔を上げ、井伊直盛が「とわ!」と仰天するまで読者には明かされません。なぜドラマはあんなつまらない演出にしたのやら。

で、とわによる種明かし編。亀ととわが衣装チェンジしましたよ、と。ノベライズは「かすかに人の足音や馬の蹄の音が聞こえてくる」という表現で、まだ追っ手との距離がありそうな表現。ところがドラマでは話し声が結構聞こえていて、「このタイミングで衣装替え!?」って感じです。ここもまた演出がダメで素直に見ていられません。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第1回 井伊谷の少女 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/01/08 22:55
ノベライズではサクサクと展開するのですが、ドラマは演出が悪いのかちょっと間延びした印象を受けました。子役シーンが多かったからかもしれません。ノベライズは案外面白いので、演出次第でもうちょっとどうにかなりそうな気がするのですが……。

天文13年(1544年)。これから苛酷な運命をたどる3人の子供たちが、そんなことは夢にも思わず天真爛漫に駆け回るという、割とテンプレなシーンからスタート。このとわが成長して柴咲コウになるとは思えないけど、鶴丸役の子は高橋一生っぽくて感心しました。

で、知恵者的なキャラ立てをしつつ鶴に追い詰められたとわ。ノベライズは「川岸の岩の上」「淵」としか表現されていませんでしたが、ドラマのロケーションはイメージ以上に高っ! が、とわは躊躇することなくダイブ。水面に現れたら義経になっていた、ということはもちろんありません。

龍潭寺でお勉強した後、井伊家発祥の井戸で井戸端会議。ノベライズでは「論語を暗唱」となっていましたが、ドラマでは「春色無高下」「応無処住而生其心」「掬水月在手」などと言っていました。論語じゃなくて禅語ですね。もちろん、私ごときに禅のたしなみなどありません。こちらで学ばせていただきました。

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