大河ドラマ「軍師官兵衛」 第40回 小田原の落日 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/10/05 21:40

前回のおさらいの後、「鶴松を溺愛する秀吉」というテンプレを垂れ流し、鶴松を中心におねと淀がにこやかにバトル。「淀が大坂城に住むからおねは出てってね」に笑顔で応じるおねが怖い怖い。

という話を官兵衛にチクる利休ですが、利休の方が官兵衛っぽいのが残念なところ。岡田准一も悪くはないんですが、利休のキャラ設定が官兵衛とカブってるんですよね。そのためやたらと多用される純喫茶利休でのツーショットが、半兵衛&官兵衛ではなく官兵衛&官兵衛の「二兵衛」になってしまっています。

そして小知恵ばかり働かせるヒゲが似合ってない三成が、大名の妻子を人質として上洛させるプランを策定。この余計な政策のために、あの黒田ギャルズも上洛することになってしまいます。出番が多いのにミスキャスト感を払拭できない善助と宇宙人はキャッキャウフフ。こんなどうでもいいシーンのために、私の貴重な数秒間が浪費されてしまいました。こんな付け髭した中学生と宇宙人がほほえみ合う絵なんて見たくないんだよ!

さらに、糸と長政の別れを暴露するお富。コイツは関白殿下にクレームをつけようとしたりするなど、頭がどうかしています。こういう、「やらかしちゃう侍女」役は、よほど愛嬌のある女優さんを使わないと、ただただウザいだけになってしまいます。本作の場合、ただただウザいだけの存在ですね。

で、このシーンは寒々しく退屈なまま終了。女性陣によるホームドラマシーンを入れるなとは言わないが、面白いシーンにしていただきたい。 天正17年11月。秀吉が北条に宣戦布告。このタイミングで、豊臣の調整&バランサーとして名高い小一郎/秀長が突然秀長らしい仕事を始めます。なぜか官兵衛を訪ねてきて酒を酌み交わし、官兵衛に忠勤を念押し。信繁役でいい演技をしたこの役者さんを活かして、ビリビリしたツーショットシーンにするのか? と期待が高まったところで光が闖入。お前が出張ってくるんじゃねーよ! と思っていたら、特に深掘りすることもなくこのシーン終了。何だこりゃ。

天正18年3月1日、豊臣軍出陣。徳川が北条と結託している流言にビビらされる、ヒゲが似合ってない三成。「駿府はヤベーからスルーしようぜ」という三成を一笑に付す官兵衛。そしてお互いに顔を近づけて恫喝合戦。何、この安いヤンキードラマ。

官兵衛「世の笑いものになるぞ」

このドラマの演出がな。

4月、小田原包囲完了。が、籠城線に自信満々の氏政さん。籠城側の勝利条件としては、包囲軍を崩壊させられるだけの援軍到来か、包囲側が包囲を続けられない事情の発生が必要なわけですが、氏政君には何か見通しがあるんでしょうか。単なる我慢比べに突入だと、君たちもいずれアノ城みたいにカニバる事態になるわけですが。

が、豊臣軍というか三成も無策だったことが判明。

秀吉「なにゆえ小田原城はまだ落ちぬ」

おい。囲んだだけでまだ何もしてないだろ。

三成「思ったより兵糧を蓄えていたようで」

おいおい。今ごろ何言ってんの、お前。コイツら、戦の素人か。

そこで官兵衛が、武蔵の城を落として小田原城を孤立させるプランを開陳。武蔵の城を落とす将として、三成を指名します。官兵衛、性格悪いな。こうして三成は「豊臣方で唯一城を落とせなかったヤツ」として大恥をかくため忍城へサヨウナラ。胸が熱くなるな。

そして突然、小田原征伐のテンプレである石垣山一夜城のエピも入れてきたのですが、築城している描写もなく、非常に唐突でした。

しかし、不思議なことにこの独創性もなく、テンプレ描写が多いくせに、あの有名な「関東の連れション」はやりませんでした。秀吉が家康を誘って連れションし、「北条領はユーにプレゼントするね(だから旧領はボッシュート)」とプロミスするというヤツです。理由は後に分かりました。

ついでに、小田原征伐といえば白装束政宗のエクストリーム土下座ですが、『軍師官兵衛』的には政宗を出す必要がないので、このテンプレエピはなくて当然でしょう。

石垣山城で北条をビビらせたのを機に、和睦をうったえる官兵衛。交渉役を家康に押し付けようとして、逆に押し付けられて「軍使官兵衛」に。実際は、以前から家康が和平交渉を進めていたので、ここで家康に押し付けようとしたり家康が断るのはおかしいのですが。

そして第1回のシーンへ。特に回避行動も取らずゆっくり動く官兵衛1人に、無駄玉、無駄矢を放ちまくる北条。官兵衛に当てるつもりならヘタクソすぎだし、当てるつもりがないなら浪費もいいところ。どちらにしても城兵は無能すぎる。つまり脚本・演出がひどすぎる。

今度は格さんに唾を浴びせるのかと思ったら、意外にも唾を飛ばしません。いつものようにわめかないので、それなりに説得してる感が出ました。相変わらず、あんなんで納得しちゃうの? 感もありますが。

7月5日、小田原開城。しかし、秀吉が前言を翻し氏政切腹、氏直追放、2カ国安堵もなし、だって家康にあげるんだもんという、秀吉ヒデー的な展開になります。秀吉をsageるため、もう何でもやりますって感じです。

約束を反故にして家康の関東移封を突然決定したことにするためには、関東移封が以前からの規定事項だったことを示す「関東の連れション」はできません。テンプレエピをなかったことにしてまで、秀吉の横暴っぷりを強調しますか。

三成が(史実だから仕方ないけど)余計な人質政策をやってくれたおかげで、光が意味もなく出てきて話のテンポを悪くする頻度も多くなったし、前回に引き続き今回もダメダメでした。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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