大河ドラマ「軍師官兵衛」 第35回 秀吉のたくらみ 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/08/31 22:15

予想通り、何の障害もなくサクサクと終わった九州平定。さすが豊臣軍、最強! 当然のことながら、仙石秀久がやらかして長宗我部信親らが討ち死に・大敗した戸次川の戦いなどはスルーです。もっとも戸次川の戦いは、長宗我部元親視点では大事件な戦いですが戦略レベルでは単なる局地戦の1つにすぎないので、スルーはまぁ妥当なところでしょう。いつか、『夏草の賦』『戦雲の夢』あたりで大河をやるときは、戸次川の戦いもじっくりとやっていただきたいところですが。

で、今回は官兵衛の陣における調略の部署割りからスタート。又兵衛も見習いとして仕事を与えられたのに、長政は仕事がなくて無駄に槍を振り回します。

善助「若はいずれ大将になるお方。動きまわるのは又兵衛の役目。それを本陣で待ち、指図するのが若のお役目」

長政も調略能力をアップしとく必要があるのでは……。経験も積まずに、突然関ヶ原で調略開眼ですか? で、キモいくらい家康シンパになった薄っぺらい長政の語りで、前回あっさり目だった秀吉・家康ご対面の裏側を復習。家康拝謁のテンプレである、拝謁前日の秀吉アポなし訪問、陣羽織おねだりエピをここで挿入。今さらやらんでもいいような、手垢つきまくりのエピですが、これまた頭蓋骨が空洞な長政と、裏を読んじゃう「さすがは官兵衛」につなげますか。

大坂城では、秀吉がゴールデンテールームでティータイムをエンジョイ。そこに右近が出立のご挨拶。コエリョがバテレン追放令フラグを立てまくっていることを察知する右近さん。

一方、官兵衛の下に満州軍第3軍参謀長もとい宇都宮鎮房が唐突に登場。ノベライズによると、天正15年(1587年)2月。もう少し自然に登場させることはできないのか?

本領安堵を確認、念押しする鎮房に、

官兵衛「それがしが確かに承った」

と確約し、後の有名な事件のフラグを立てる官兵衛。というか、あの事件から逆算したかのような、予定調和的「本領安堵の確約」。そのために鎮房が突然出てくるという唐突感。

3月1日、秀吉出陣。無駄に長い茶々がらみエピ。よってスルー。

播磨での、無理やり光の出番を作ったような場面も、糸の育ちの悪さと、その糸の侍女らしい卑しさががほとばしっているお富、「秀吉、お前変わっちまったな」感だけの、どうでもいいシーンでした。

3月28日、秀吉が小倉城到着。さらに荒平山の陣で九州大小名とご対面。クレジットまで出ながら、オープニングではキャスティングを明示してもらえなかった龍造寺政家に続き、宇都宮鎮房が秀吉に拝謁。

で、あっという間に薩摩に入った豊臣軍。蛮族のような島津はあっという間に降伏。この島津の処分を巡って三成と官兵衛が対立します。冷静な三成に対して顔を近づけて恫喝する官兵衛。君、普通に弁舌で説得することはできないの?

初代エクストリーム土下座マスター義久は頭を丸めて秀吉に平伏。秀吉は官兵衛プランを採用して一件落着。天正15年5月、九州平定完了。

6月7日、博多近くの箱崎宮でティーパーティー。ここで博多復興プロジェクト立ち上げです。楽しそうに博多の復興案を考える官兵衛、「殿下は変わってはおられぬ」などとのんきなことを言っています。もうずっと前から官兵衛は秀吉が隔意を抱いていることに気付いていると思っていたのですが……。軍師とかいって調子こいてる割には周りが見えてません。もっと空気読まないと。

空気読めない人がもう1人。コエリョの軽率な発言を愉快そうに、実はムカつきながら聞いている秀吉。バテレン追放令フラグがまたも立ちまくっています。

というわけで、当然の帰結としてバテレン追放令。右近も棄教を命じられます。利休の「信心はひとまず心の中におさめ、殿下と折り合いをつけたらいかがか?」という穏便な案も、「今度こそ正しい道を進むのみ」と拒否する右近。こういう、かたくななところがキモいってのに。秀吉に一向一揆と同一視されて禁じられるのも仕方がありませんね。

で、いまだに秀吉の信任を得ていると思い込んじゃってるイタい官兵衛は、またも秀吉に直言。芸もなく、またも主君を怒鳴りつけます。能がないという以前に無礼です。

普段は冷静なのに、ここぞというときにだけ怒鳴るなら、「この官兵衛が怒鳴るとはよほどのことだ」と思えるのですが、毎回怒鳴り続けているので、単に人格に問題があるだけにしか見えません。主君にまで怒鳴るのは明らかに異常。

ここで持ち出された、豊前6郡の加増。ドラマではカットされていましたが、豊前一国ではなく6郡なのは、右近を庇ったため2郡マイナスだそうで。主君を怒鳴りつける無礼者に加増してやるなんて、秀吉は何て度量が大きいのでしょうか。秀吉の大きさと官兵衛の卑小さが際だった場面でした。この脚本家、くどいくらい官兵衛を口先ではアゲてるけど、実は官兵衛のこと嫌いなんですか?

こうして、鎮房に約した本領安堵は反故にされて国替えに。あの鎮房が納得するはずもなく、次回は俺たちの官兵衛さんをどのように無理矢理美化するのか(しないのか)で大注目の有名イベント発生です。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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