大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第29回 女たちの挽歌 感想
カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/07/23 20:41
今回は、かなり重要なシーンやセリフがバッサバッサとカットされていました。かといって無駄なシーンも特になく、尺に収めるのは大変だったことでしょう。
ではドラマスタート。遠江の弱小国人にすぎない井伊直虎が、調子に乗って大名同士の外交戦に介入を図るものの、永禄11年(1568年)3月の寿桂尼様の死亡で事態は急転。
井伊に松下常慶がやってきて、大井川を境界として今川領の東西を徳川と武田で分割する協定が結ばれたことを知らされます。で、井伊はどうするの? と。
徳川に味方すると答える直虎ですが、徳川家康に送ったメールが今川家臣としての立場から書かれていたものだったため足元を見られ、虎松の母を人質に要求されてしまいます。
ノベライズには、家康と瀬名が直虎に提案された上杉同盟案について検討するくだりがあります。武田に加勢して今川に攻め入った場合の展開、織田への不信感、上杉と結んだ場合のメリットなど、徳川の立場をうまく表現した場面になるはずでしたが、サクっとカットされていました。
その後、三河からの返事がなくて気をもむ直虎たちの描写もカット。
武田との今川領分割案を推す酒井忠次と上杉との同盟に傾いていた家康の応酬も大幅にカット。
そして常慶との交渉時のセリフもカットされています。特に、人質を要求された直後。 直虎「なぜ、なぜ、人質を渡さねばならぬ!(以下、カットセリフ)むしろ、調略を受けたほうに褒美を約束したり――」
常慶「(カットセリフ)あの書状がなければ、さようになったと存じます」
(カット地の文)直虎がハッとなる。またしても、われの書状が裏目に――。
常慶「(カットセリフ)書状のことのみならず、井伊は今川から離れぬのではないかとも見られておるのでございます。近頃、気賀を預かられたりということもございましたし」
この有様ですから、井伊を取り巻く状況も、井伊と徳川の微妙な関係も描写されず、あのメールがあだになったことも不明瞭になっています(メールについては、後にしのが指摘していますが)。
そして、常慶が提示したのは、常慶の兄にしのを嫁がせる案。これは史実で、井伊直親の妻だった奥山親朝の娘は、常慶の兄松下清景に嫁ぎます。松下清景は後に中野直之の子を養子にするなど、井伊とは縁の深い人物となります。
人質の件をしのに自分で伝えるという直虎。
直虎「直親は草葉の陰で怒っておろうな」
(少なくともこのドラマの)バカ直親に怒る資格はあるだろうか……。交渉相手が本当に家康かどうかも確かめずに寿桂尼の罠にはまった、本ドラマトップクラスの間抜けなんですが。
さて、あのしのがどう反応するかと思ったら、割とまともな反応。
・殿が大それたことをやったせいで、人質にという話になった
・なぜ、かような小さな国衆が戦の去就を動かせるなどと思うのか
・思い上がりにも程がある
・気賀が手に入り、図に乗られたのではないか
・揚げ句の果てに人質を求められるなど、失策にも程がある
しの殿、すっかり賢くなられて……。全てあなたの仰る通りにございます。
とはいえ、人質になる件については文句もなくあっさりと受け入れます。ちゃんと戦国の妻してますねえ。
しかし母と分かれたくない虎松は、母を人質に取られないプランを画策します。そして紆余曲折の果てにたどり着いたのが、あやめを身代わりにする案。
あやめ「私もこのままでは嫁がずに終わってしまいますし」
乗り気かよ!
しかし却下する直虎。あやめの立場は……。
直虎が改めてしのに詫びを入れに行くと、デコを抑えられてしまいます。しの殿、すっかり成長されて、見事な戦国女性っぷりです。所作も美しいし、貫地谷しほりお見事です。
そして虎松に優しく言い含めるしの。「子ができれば、そなたのきょうだいが増えます」って、まだ子ども産む気? と一瞬思いましたが、考えてみたらあのアホの直親が犬死にしてからまだ5年しかたっていないのでした。
数日後、常慶と再交渉開始。「あれほどよくできたお方様を失うのだ」。しのを人質として差し出す代わりに、強気で条件を付ける直虎さん。徳川に城を明け渡す代わりに兵は出さないと言います。
しのが引間に旅立つ日、音を出すのも難儀な笛を、何とか鳴らせるようになった虎松。その笛の音に涙するしの。この場面はよかった。
そのころ駿府では、武田からの遠江割譲要求に今川氏真またまた激おこ。毎回武田にひどいことされて、いい加減気の毒になってきます。「上杉と結ばれておるらしいとのこと。しかしながら、遠江を渡してくれれば忘れてもよい」とはひどい言いようです。ここに朝比奈泰勝が怒鳴り込んできて交渉決裂。
ここに至り、対武田戦を決断する氏真。そして、寿桂尼が残した対井伊作戦が発動されます。
2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
もご利用ください。
ではドラマスタート。遠江の弱小国人にすぎない井伊直虎が、調子に乗って大名同士の外交戦に介入を図るものの、永禄11年(1568年)3月の寿桂尼様の死亡で事態は急転。
井伊に松下常慶がやってきて、大井川を境界として今川領の東西を徳川と武田で分割する協定が結ばれたことを知らされます。で、井伊はどうするの? と。
徳川に味方すると答える直虎ですが、徳川家康に送ったメールが今川家臣としての立場から書かれていたものだったため足元を見られ、虎松の母を人質に要求されてしまいます。
ノベライズには、家康と瀬名が直虎に提案された上杉同盟案について検討するくだりがあります。武田に加勢して今川に攻め入った場合の展開、織田への不信感、上杉と結んだ場合のメリットなど、徳川の立場をうまく表現した場面になるはずでしたが、サクっとカットされていました。
その後、三河からの返事がなくて気をもむ直虎たちの描写もカット。
武田との今川領分割案を推す酒井忠次と上杉との同盟に傾いていた家康の応酬も大幅にカット。
そして常慶との交渉時のセリフもカットされています。特に、人質を要求された直後。 直虎「なぜ、なぜ、人質を渡さねばならぬ!(以下、カットセリフ)むしろ、調略を受けたほうに褒美を約束したり――」
常慶「(カットセリフ)あの書状がなければ、さようになったと存じます」
(カット地の文)直虎がハッとなる。またしても、われの書状が裏目に――。
常慶「(カットセリフ)書状のことのみならず、井伊は今川から離れぬのではないかとも見られておるのでございます。近頃、気賀を預かられたりということもございましたし」
この有様ですから、井伊を取り巻く状況も、井伊と徳川の微妙な関係も描写されず、あのメールがあだになったことも不明瞭になっています(メールについては、後にしのが指摘していますが)。
そして、常慶が提示したのは、常慶の兄にしのを嫁がせる案。これは史実で、井伊直親の妻だった奥山親朝の娘は、常慶の兄松下清景に嫁ぎます。松下清景は後に中野直之の子を養子にするなど、井伊とは縁の深い人物となります。
人質の件をしのに自分で伝えるという直虎。
直虎「直親は草葉の陰で怒っておろうな」
(少なくともこのドラマの)バカ直親に怒る資格はあるだろうか……。交渉相手が本当に家康かどうかも確かめずに寿桂尼の罠にはまった、本ドラマトップクラスの間抜けなんですが。
さて、あのしのがどう反応するかと思ったら、割とまともな反応。
・殿が大それたことをやったせいで、人質にという話になった
・なぜ、かような小さな国衆が戦の去就を動かせるなどと思うのか
・思い上がりにも程がある
・気賀が手に入り、図に乗られたのではないか
・揚げ句の果てに人質を求められるなど、失策にも程がある
しの殿、すっかり賢くなられて……。全てあなたの仰る通りにございます。
とはいえ、人質になる件については文句もなくあっさりと受け入れます。ちゃんと戦国の妻してますねえ。
しかし母と分かれたくない虎松は、母を人質に取られないプランを画策します。そして紆余曲折の果てにたどり着いたのが、あやめを身代わりにする案。
あやめ「私もこのままでは嫁がずに終わってしまいますし」
乗り気かよ!
しかし却下する直虎。あやめの立場は……。
直虎が改めてしのに詫びを入れに行くと、デコを抑えられてしまいます。しの殿、すっかり成長されて、見事な戦国女性っぷりです。所作も美しいし、貫地谷しほりお見事です。
そして虎松に優しく言い含めるしの。「子ができれば、そなたのきょうだいが増えます」って、まだ子ども産む気? と一瞬思いましたが、考えてみたらあのアホの直親が犬死にしてからまだ5年しかたっていないのでした。
数日後、常慶と再交渉開始。「あれほどよくできたお方様を失うのだ」。しのを人質として差し出す代わりに、強気で条件を付ける直虎さん。徳川に城を明け渡す代わりに兵は出さないと言います。
しのが引間に旅立つ日、音を出すのも難儀な笛を、何とか鳴らせるようになった虎松。その笛の音に涙するしの。この場面はよかった。
そのころ駿府では、武田からの遠江割譲要求に今川氏真またまた激おこ。毎回武田にひどいことされて、いい加減気の毒になってきます。「上杉と結ばれておるらしいとのこと。しかしながら、遠江を渡してくれれば忘れてもよい」とはひどい言いようです。ここに朝比奈泰勝が怒鳴り込んできて交渉決裂。
ここに至り、対武田戦を決断する氏真。そして、寿桂尼が残した対井伊作戦が発動されます。
2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
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