大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第19回 罪と罰 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/05/14 22:01

今回は、盗人を不当にも助命するために、直虎が権力を乱用して暴走するという、非常に見苦しいお話です。全く共感できない狂った主張を繰り返す主人公を見るのはつらい。

最初の場面は綿を巡る井伊直虎と甚兵衛のやりとりから。ドラマでは場所が不明瞭でしたが、ノベライズによると甚兵衛が直虎の館を訪ねてきた、とのこと。

綿の生産だけでなく、それを布にするところまで手掛けたい。つまり二次産業化で富の増大を図りたい、と。人手が足りないと不平をもらし、自分たちの農地を放り出して徳政を要求していた連中が。いやいや、直虎様のご尽力で人手も増え、モチベーションがアップしてイノベーションが生まれたということでございましょう。めでたいことでございます。

そんな井伊に近藤康用がアポなし訪問。井伊の者が近藤領の木を盗んだとクレームを付けます。井伊に流入した新参者の仕業であると、偏見で直虎を責める近藤。盗みを働く輩はいないと、根拠もなく反論する直虎。どっちもどっちの無内容な応酬の結果、協同で山狩りすることに決定。そして近藤と井伊両方の木が盗まれてることが判明します。

そんなこんなでついに賊が捕まるも、よりによって頭の龍雲丸。すぐに斬ろうとする近藤ですが、優先権を主張して直虎が龍雲丸を引き取ります。ここから、直虎の支離滅裂な暴走がスタート。

盗人は死罪。当たり前の処分に動揺し、助命しようとする直虎。駿府から戻ってきた政次も打ち首を主張すると、むちゃくちゃな理由で助命を命じます。政次につかまりさらに問い詰められると、理屈にもなっていな戯言を並べ立てる直虎。うぜぇ。 政次「あの男を見逃せば、井伊は盗人を打ち首にせぬところと噂が立ちましょう。さすれば次から次へと賊が入ってきましょう。そのうち民は襲われ、さらわれる者も出るやもしれませぬ」
直虎「じゃが、あの男には恩があるのじゃ」
政次「知らぬ者なら打ち首、知っておる者ならば見逃すと、そう仰せか。そこが最も間違っておると思われませぬか」

要はこれ。盗人でも生かして利用したいということではなく、龍雲丸を殺したくないといういやらしい下心が見え見えなところが気持ち悪い。為政者が私情で恣意的に法を曲げるという、最もやってはいけないパターンです。

織田領は刑罰が厳しかったが故に治安が良かったそうですが、井伊領はイケメンなら盗みを働いても許される、と。気持ち悪い話ですねぇ。

いったん引き下がった政次ですが、直虎には内密に龍雲丸を近藤に引き渡すことにします。それを知った直虎が乗り込んできて、直虎対政次第2ラウンドスタート。といっても、また直虎の主張は戯言にすぎないのですが。

直虎「戦わぬが最上!(中略)命をやり取りしてしか物事を納められぬというのは、決して上等ではないという考えじゃ!」
直虎「誰かに血を流させることを、それを力だ、それを強さだと言うならば、なんと愚かなことか、なんと無邪気なことか!」

前回の政次のセリフを逆手に取ったつもりのようでいて、全く理屈になっていない。治安維持しての刑罰の実施とは関係ないし。「戦わない」という政次の主張を適用するなら、近藤と無用の争いにせぬよう、盗みという罪に(当時としてはふさわしい)死罪をもって収めるということ。直虎のへりくつには虫ずが走る。

政次「あの男が虎松をさらったりすればどうする? 瀬戸村に押し入ればどうする? 殿が今、守らねばならぬのはなんだ?」

だよな。

が、龍雲丸が脱走して直虎の狂気の暴走も終了。

直虎「今度会ったら、のこぎり引きの刑に処してやるわ!」

なるほど、気に入っていたから助ける。気に入らないから殺すと。結局、最後の最後まで私情で法を曲げようとした下心を隠そうともしませんでしたな、このくそ領主は。

今川と武田が手切れ寸前というタイミングで、井伊直親の娘が登場して今回は終了。

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