大河ドラマ「真田丸」 第42回 味方 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/10/23 23:00

新章突入。今回は、大坂城の愉快な仲間たちのキャラ立て回。まだまだ大坂の陣の序章に過ぎません。この連中をどう動かしてドラマを作り出すのか、次回以降が本当の物語になりそうです。

ではドラマスタート。真田信繁、茶々と14年ぶりの再会。戦になってしまったと表情を曇らせる茶々に、信繁は「必ずや家康の首を取ってごらんにいれまする」と決意表明します。

そこへ、織田信長の弟・織田有楽斎が登場。この有楽斎の子孫から2つの大名家が生まれ、明治に至りそれぞれ華族となって子爵を授けられることになります。

有楽斎は「真田殿が来てくだされば我らの勝利は疑いなし」などと、信繁を大歓迎。が、信繁が退出した途端冷めた顔。「まっ、これくらいおだてておけば十分でござろう」。

うわ、怖い。 そこそこ信繁に好意的だった大蔵卿局まで、「あまり真田を当てにしてはなりませぬ」と言い出す始末です。とはいえ「武将としてどれだけの器量があるか」という点を突いてくるあたり、まっとうな評価ともいえます。

有楽斎「使い方次第といったところでござろうな」

と、実戦部隊の背後もグダりそうな感じを醸し出します。司馬遼太郎の『城塞』もこのあたりはねっとり書いてますが。

それにしても井上順、声出なくなったなぁ。最初は演技かと思いましたが……。『北条時宗』のときの一条実経のように裏表のあるいやらしい役は絶品だっただけに、この衰えっぷりは残念です。

前回、信繁の兵糧ゲットプランに嫌そうな顔を見せていた大野治長ですが、手配はしたということで、やるべきとはやるキャラのようです。意図的なサボタージュで足を引っ張るつもりはなさそうで一安心。

信繁が真田大助亡き太閤について語り合っていると、後藤又兵衛と毛利勝永がやってきます。で、又兵衛と会った会わないのラリー開始。

勝永「もうよかろう。話が先に進まぬ」

が、今度は一人部屋か相部屋かで勝永と又兵衛がバトル開始。

話が先に進まぬ。

そして、信繁が一人部屋を辞退して長宗我部盛親と相部屋になります。盛親も気の毒な人でした。盛親については『戦雲の夢』(また司馬遼ですが)がお勧めです。

場面は駿府へ。徳川家康は真田が大坂城に入ったと聞きうろたえます。

家康「それは父親か、息子か」

ここは、ド定番のセリフをそのまま使ってきました。そして、本多正純の「安房守は既に死んでおります」という答えで落ち着きを取り戻すというお約束の反応。家康が畏れていたのは昌幸だったという、有名なエピソードです。

大坂攻めを早めた家康ですが、このドラマの家康はまだ豊臣家を滅ぼすつもりなないご様子。「どこか遠国に追いやってそこでおとなしく暮らしてもらうよりなかろう」というレベルです。

阿茶局はこれを「なまぬるい」と一刀両断。「姫様を取り戻したら討ち滅ぼしてしまえばよいのです」ですか。怖いおなごじゃ。

10月11日に家康が駿府から出陣すると、徳川秀忠真田信吉らを従えて江戸から出陣。

江戸に残った>真田信之は、信繁が大坂方についたというメールに驚愕。口を挟んだ河原綱家に、「うるさい!」と、丸めたメールをぶつける信之。必要以上に痛がり、ぶつけられた口元を気にする綱家。昌幸に歯を折られたシーンの再現ですね。

信之「わしが捨てた『幸』の字を拾いおった。やつは本気じゃ」

さらに、佐助は信繁の命令で堀田作兵衛をヘッドハンティング。大喜びの作兵衛は、出立の前にすえの仮祝言を挙げます。このただならぬ様子を見とがめた綱家の通報で、出立遷都する作兵衛の前に信之が立ちはだかります。

一撃で倒される与八。信之、強い!

主君を相手にしてためらいもあるでしょうが、作兵衛も信之に圧倒されます。信之強い。「わしに斬らせるな」と言う信之の悲痛な思いも伝わってきます。殺陣といい、大泉洋はがんばってるなぁ。

持病のしびれにより刀を取り落とす信之。これを信之の温情と勘違いする作兵衛。「ありがとうございます!」と去っていく作兵衛。「いや違う! 待て! いや違う!」と必死に呼び止める信之。「いい話だな~」にしてもよかったシーンを、あえて笑いにするとは、三谷はひねくれ者ですね。嫌いじゃないです。

信之「さくべ~え~」

大坂城では、豊臣秀頼自ら信繁に総大将就任を依頼されます。同室の盛親も信繁の総大将就任を歓迎します。

盛親「わしは本来戦が嫌いでな」
信繁「そうは見えませぬ」

うん、そうは見えない。

そして、総大将を選任する軍議が開かれることに。

早速、又兵衛が「昔の身分禄高しがらみなど一切なくしてもらいたい」と持論をぶち上げ始めます。『軍師官兵衛』の又兵衛は、クセのない無味無臭なつまらないキャラでしたが、本作の又兵衛は濃いのなんの。これなら黒田長政にさぞや嫌われたことでしょう。史実との整合性も含めて、妙に説得力のあるキャラ設定です。

で、総大将について「殿は真田左衛門佐殿をお望みである」という、治長の発言にも、又兵衛は「不承知!」と拒否。「秀頼の望み」を一蹴するとは大したものです。

又兵衛はというと、戦嫌いの盛親を推薦。「えー」って顔の盛親が笑えます。

が、その理由が残念。「盛親殿は四国を斬り従えた長宗我部元親殿のご嫡男。まさしく大大名である。国衆上がりの真田なんぞとは比べものにもならぬ」

君、「昔の身分禄高しがらみなど一切なくしてもらいたい」と言ってなかったか?

そして治長に裁定をゆだねます。が、治長にこの場を収める器量もなく、秀頼も口を挟めません。そこで信繁は5人の大将を置くプランを提案します。これでまとまりかけますが、5人の大将を誰にするか? 治長はまたも「いったん預かって……」と先送りにしようとし、「お主はいったん預からねば何も決められぬのか!」と又兵衛に一喝されます。

結局、再び信繁が5人の大将として信繁、勝永、盛親、全登、又兵衛にすることを提案し、やっと解決。

こうして、武将同士のマウンティング合戦、秀頼・治長の統率力不足という大坂城の欠点が浮き彫りとなります。これは最後まで解決しないので、豊臣は滅ぶべくして滅んだといえましょう。

内記「先が思いやられますな」

全くです。が、信繁はむしろ士気の高さを喜んでおられる。ポジティブシンキングですなぁ。

2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
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