大河ドラマ「真田丸」 第7回 奪回 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/02/21 23:04

天正壬午の乱が始まったのはいいのですが、前半の真田信繁による人質奪還作戦はきりのウザさにイラつかされただけで、減点。このバカ女が信繁とドラマの足を引っ張る一方、とりが武家の女性を見事に体現しているのが救いです。

ではドラマ開始。ついに天正壬午の乱開始です。5万強の兵力で上野に侵攻してきた北条を、2万弱の兵力でいったんは撃退する滝川一益ですが、神流川の戦いに敗れます。ドラマではこれを「6月18日」としていましたが、18日は戦闘が始まった日。一益がいったんは北条氏直を敗走させるも、最終的に負けて退却したのは19日でした。

一益が倉賀野城、厩橋城を経て箕輪城に入ったのが20日。小諸城に入ったのが21日でした。

ドラマでは、一益が箕輪城に入ったタイミングで真田昌幸が沼田城と岩櫃城を奪還。しかし沼田城にとりがいなかったため、昌幸は信繁を連れて箕輪城に乗り込みます。つまり、史実に即すなら、20日の出来事ということになります。 昌幸に裏切られているとも知らず、大歓迎する一益。別れの杯を交わそうとまで言い出す始末。昌幸さん、胸が痛まないか? ちなみに、一益は20日夜に箕輪城でお別れパーティーを開催しており、微妙に史実を取り込んでいる感じです。

超いい人オーラを発揮する一益ですが、人質は信濃を抜けるまで返さないよ、とリアリストの一面もちゃんと持ち合わせています。昌幸の母が木曽義昌に引き渡されるのは史実なので、ここで返してもらっては困ります。

さて、人質はいずこ。今回でウザキャラの地位を確立しちゃったきりは、生意気な態度で見張りの兵に水くみさせます。そこへ、ドラマのようなタイミングで信繁が登場。前回もそうですが、信繁を動かそうとすると突然ドラマの質が下がるなあ。なぜか成功しちゃって、ひたすら絶賛されるというクソ展開にならないのが救いですが。

信繁「ばば様はどこにいる」
きり「知らない」
信繁「知らないわけがないだろう」

の会話はちょっと笑いましたが。状況を省みずつまらない返答をするきりにはイラっとしました。

そのころ、昌幸は一益とサシ飲み。ここで、一益が岩櫃と沼田を真田に返すと言い出します。いい人だ。

一益「この先、どの大名に頼るのか、おぬしたちで好きに決められるがよい」

いい人だ。昌幸さん、胸が痛まないか?

これでウソがバレたらマズイと危惧する昌幸さん。もちろん、沼田と岩櫃を真田が奪ったことを知って一益は激怒します。箕輪城を出る前に知ったので、この時点ではまだ6月20日。

翌21日、一益は松枝城を経由して小諸城(城主は道家正栄)に入ります。ここにすんなり潜入する信繁と三十郎。道家の小諸城兵と滝川兵が混在し、見知らぬ者がいても目立たないという理屈は筋が通っていて納得です。

小諸の兵には滝川家臣のフリ、滝川兵には小諸の兵を装って人質部屋に到達。が、脱出の段になってきりが忘れ物を取りに戻ってしまいます。

誰か、この女を斬り捨ててしまえ。

忘れ物は、信繁が贈った櫛(ただしチープ)。この後、しおらしくしていればけなげと思えなくもなかったのに、好感度爆サゲだもんなぁ。前回まではギリ許せたのに。

で、案の定、先ほどの城兵と滝川兵に鉢合わせ。「勘違いを利用して取り繕う信繁」シーンは実に三谷らしいのですが、まぁどうでもいいシーンでもあります。で、誤魔化しが破綻したタイミングで一益登場。普通に身元バレして捕まります。

すると、「何しにきたんだ」と信繁を延々となじるきり。信繁や梅と3人のラブコメシーンで現代っ子するのは許せますが、とりに叱責されても黙らないとか、ないわー。全然ないわー。武家の娘としての身分意識とか礼儀とか、梅にはない一面は残しておいてほしかった。本当に、ただの何の変哲もないウザキャラにすぎなかった。

昌幸さんは、一益は小諸城を一泊するだけと見ましたが、義昌が木曽谷を封じたため一益は足止めされます。結局、一益が小諸城を出たのは27日。一益が義昌に直談判したのはドラマオリジナルだと思いますが、とにかく28日に木曽谷を通過して美濃に去ります。このとき、佐久と小県の国衆の人質を義昌に引き渡しています。

何だか、一益退場って感じでしたが、もう出ないのでしょうか。一応、賤ヶ岳の戦いや小牧・長久手の戦いといった天下の趨勢を左右する戦いに絡んでいるのですが……真田は絡んでないからなぁ。

こうして、武田の遺臣に遺恨がありそうな義昌に引き渡されたとり以下一同。悪役感満載で吠える義昌に、さらに危機が高まった感じですが……。人質の中にとりを見つけ、なぜか動揺する義昌。さらに、態度を一変させて人質部屋の様子をうかがう義昌。ここのコント展開は予想外。まさかこうくるとは。

義昌を宗太郎(義昌の幼名)呼ばわりし、叱責してビンタを食らわすとり。まさかこうくるとは。

こうして信繁解放決定。ついでに、「やかましゅうてうっとうしいから」きりも解放。とりさんとは気が合いそうだ。

このシーン自体はちとコミカル風味ではありましたが、それ以前の落ち着きっぷりなども含めて、このドラマでまともな女性はとりさんだけ。『風林火山』の忍芽(清水美砂)の老後かと思うと感慨深い。他の男の足を引っ張るだけの女どもと異なり、とりさんのかっこよさはどうしたことか。もう、とりさんがヒロインでいいんじゃね?

とり救出はならず、またしてもミッション失敗で信繁しょんぼり。そんな信繁につっかかり、憎まれ口の応酬という形で元気づけるきり。反発しあっているようで、端から見たら(三十郎から見たら)キャッキャウフフ。という役回りなのは分かるのですが、ダメだ今回はウザすぎる。

信繁が真田に戻ったとき、昌幸は上杉景勝を家庭訪問。「真田は上杉の兵でござる。力を合わせて北条から信濃を守りましょうぞ」と、美辞麗句を駆使して景勝を説得。昌幸の言葉に景勝も感銘を受けたようです。「強きをくじき、弱気を助ける」などとほざいていた景勝ですが、信長死亡のどさくさに紛れて火事場泥棒的に北信濃に侵攻しています。別に悪いというわけではなく、上野を攻めた北条、甲斐を奪った徳川と同レベルってことです。

景勝対策を終えて真田に戻ってきた昌幸は、失敗続きの信繁を叱責。そして昌幸さんの熱いトークが炸裂します。

昌幸「お前がなぜしくじるか分かるか? 己の勘に頼り過ぎるからじゃ。わしも勘だけで生きておる。だが、わしの勘は場数を踏んで手に入れた勘じゃ」

昌幸「それでもたまには間違える

ツ、ツッコミどころ?

昌幸「お前の兄は、勘には頼らない。おのずと間違いも少なくなる。どちらが正しい生き方か分かるか?」
信繁「兄上です」
昌幸「違う。源三郎と源次郎、合わせて1つじゃ。源三郎は間違いは少ないがくそまじめで面白くない。お前は過ちは犯すが面白い」

昌幸さん、子どもたちのことちゃんとみてるのね。が、この2人で1人の兄弟が別れることになると思うとなかなか切ない。

失敗を叱った後、ちゃんと挽回のチャンスとばかりに次の仕事を信繁に与える昌幸さん。しかし、次のミッションは海津城の春日信達調略。数え16歳の少年には相当ハードルが高い。ちょっと信繁に同情してしまいます。

ちなみに、春日信達(高坂昌元)は春日虎綱(高坂昌信)の次男。高坂昌信といえば、武勲もさることながら武田信玄の衆道の相手としても有名。『風林火山』では初登場時、半ズボンをはいていて大ウケしたものです。

ここで、昌幸さんが景勝に語ったことはウソで、海津城を手土産に北条に下るつもりであることが明かされます。しかし、まだ何かやらかすつもりの昌幸さん。史実でこの後の展開はおおよそ予想がつきますが、取りあえずそれは忘れてドラマを楽しむことにします。

2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。

今週の戦国史:頑張れ武田家


中国地方と四国の平定もほぼ終わり、残すは九州のみ。もう武田に逆らえる勢力はありません。直轄軍の大半を中国方面軍と四国方面軍に与え、中国方面軍は長門から豊前、筑前などの北九州へ、四国方面軍は伊予から豊後、日向に侵攻させる予定。残りはコンピュータが操作する軍団に任せ、武田家当主の義信は山城で督戦といきましょうか。

そんな中、真田家にも信繁が登場。武力10はゲーム最強クラスです。