大河ドラマ「真田丸」 第5回 窮地 感想
カテゴリ:真田丸
日時:2016/02/07 23:43
信長の横死によって生じた危機をどう乗り越えるか。苦悩しながら弱小領主なりの処世術を駆使する昌幸をシリアスに、伊賀越えで物理的な死に直面した家康こコミカルに、そして信繁を通して正確な情報がつかめず右往左往する一般人目線で本能寺後が描かれます。まあ、全て家康がもっていってしまいましたが。
天正10年(1582年)6月2日、本能寺の変。前回は単なる「引き」で、今回もう少し描写するのかと思いましたが、織田信長周辺については特になし。本能寺の変には飽き飽きなので不満はありません。
それより、二条城戦を描写したのは非常に珍しい。織田信忠の自害シーンなんて、滅多に見られないレアものです。ちなみに、二条城には信長の弟・長益や山内一豊の弟・康豊もいたのですが逃亡。コイツらが逃げられたくらいですから、信忠も逃げようと思えば逃げられたはず。信忠が生き残ったら歴史は大きく変わったんですがねぇ……。
そして今回の主役の1人、徳川家康が登場。家康は堺から京に向かう途中で、平八郎から本能寺の変を知らされます。平八郎の情報がまた妙に正確なんですが、一体彼はどこから情報を仕入れたのでしょう。 一方、安土城下には正確な情報がもたらされていないながらも、不穏な空気が流れています。何か変事が起きているらしいとし分からないもどかしさが伝わってきます。上杉景勝なんか、「信長、甥に殺された」とかメールしちゃってたくらいですし。
家康は緊急ミーティングを開催。
穴山梅雪「逃げましょう!」
アナ雪のもの凄い即答ぶりが笑えます。そして逃走ルート検討開始。
家康「逃げ道などどこにもないではないか」
本能寺の変を知った家康はやたらと切腹しようとしたそうですが、この家康は言いませんね。生き残ることを最優先に考えて、ついに伊賀越えを思い付きます。
というわけで、毎度お馴染みの神君伊賀越えルート。変なおまけがくっついていますが、無視してください。伊勢湾に出るまでは、この記事の通りで大丈夫です。白子とか、鈴鹿サーキットに行ったことがある人にはお馴染みの地名です。
こうして伊賀越えスタート。が、異常にのどかなBGM。徹底的にコミカルに描写するする気満々ですね。しかし家康一行と一緒にいたくないアナ雪は、杖をついてヨロヨロと家康に近づき、別行動を提案。腰痛持ち足手まといになると言い出します。家康は全く心がこもっていない別れの言葉を述べてさっさと先を急ぎます。礼儀は守ったけど、アナ雪がどうなろうと興味なしって感じで笑えます。
そんな扱いを受けたアナ雪ですが、コイツはコイツで、別れた途端にスタスタ歩き出す始末。第1回から、裏切り者アナ雪の落ち武者狩りシーンを楽しみにしていたのですが、何とナレ無双でエンド。え~、角兵衛の出番これで終わりか~。
一方、家康一行には伊賀モノの服部半蔵が合流。ルートも手配済みというから心強い。って思うよな? 思うよ。何だよこの半蔵(笑)。
お笑いシーンの後はシリアスシーン。またも真田昌幸さんの見せ場です。ただ、このあたりから脚本に少しムリが感じられます。話として面白いからいいとすべきか、リアリティに欠けると言うべきか、ちょっと悩みます。
小県の真田の郷にも、ついに本能寺の変の情報が伝わってきます。そのタイミングで、明智の使者が真田の郷に到着。この後、小県の国衆のところへも行くとのことですが、このタイミングで東国の国衆クラスにまで同心を求める余裕があったのか?
明智光秀は京の掌握、近江および安土平定に忙しい時期。毛利には速攻で知らせを出していますが(そして秀吉に捕まる)、真田にまで声を掛けたのかなぁ。まぁ、メールは祐筆が書くので、光秀は命じるだけではあるのですが。
情報を先に握った者が戦いを制す。本能寺の変を知った昌幸は、明智の使者を温泉づけにして足止めし、小県の主導権掌握を狙います。いいぞ昌幸さん。
国衆へのメールを焼き捨てて情報を独占したものの、困惑は隠せません。そして、内記が退出した途端、運命の変転に激高します。
信幸「父上の本心をお聞かせください!」
昌幸「わしの本心か。でははっきり言おう。全く分からん! 源三郎、どうすればよいのかこの父に教えてくれ!」
この昌幸さんの魅力は、こういう弱さを見せるところかな、と。何でもお見通し、ピンチにも華麗に対処、はしない。できない。時にはくじで決めちゃおうとするくらい、煩悶する。息子にすら弱みを見せる。織田について真田は安泰!と思い込んじゃっていた、キレ者だがスーパーマンではない人間くささが素晴らしい。
昌幸さんが苦悩していたころ、家康もピンチの真っ最中。落ち武者狩りを目の前にして、半蔵に不安を覚える家康さん。話がついてるはずじゃなかったの? 半蔵……話を通してあるのが「ほぼ」って何だ、「ほぼ」って。それどころか、「うわああ」とかいって突撃しちゃうし。大丈夫か、この半蔵……。
こうして、落ち武者狩りを中央突破する家康一行。家康さんの顔芸はずるい。
ドラマではとってもヘタレっぽい家康さんですが、武芸は一通り修めていて剣術も一流だったんですけどね。まぁ大将なのでこんなところで武者働きを誇るタイプではなかったのですが。このあたり、剣の達人なのに逃げまくった桂小五郎に通じるところがあります。
特にやることもない真田信繁は、変事の正体を探るため京に到着。ここでついに本能寺の変を知り、父・昌幸と同じく松の危機に思い当たって安土にとって返します。時代の脇役として、ただ安土と京を往復するだけの信繁。この人は大坂の陣までいてもいなくてもいいような存在なので、まあ仕方がありません。
昌幸は小県国衆ミーティングを開催。室賀の批判をものともせず、織田を見限り上杉につくと明言。既に信尹を使者に出しているとして反対を封じます。
そして春日山城。小県は引き受けるが、織田と戦うことは拒否する上杉景勝。何かかっこいいこと言ってますが、織田と戦う余裕はなかったのでしょう。余裕そうな顔してますが、上杉は今、柴田勝よりにボコられ中ですし。この、言い訳がましい「上杉の義」的なところが慶長出羽合戦の中途半端さに通じているようで笑えます。
そして、景勝のそばに侍るのは、家康にケンカを売り、1000人の守備隊が守る長谷堂城を18倍の兵力で攻めても落とせず、上杉120万石を30万石に減らした名将の直江兼続さんじゃないですか。あなたの「大活躍」は有名ですよ!
信尹に対する態度など、実にいい感じで嫌なヤツなところがイメージ通りです。伊達政宗が持ってきた金を、「お前の金なんか汚らわしくて手では触れない」と扇で受け取り、投げ返したとか、コイツの逸話って凄く感じが悪いのが多いですしね。
場面は再び家康ご一行様。どんどんボロボロになっていく一行に反して、半蔵だけ小ぎれいなまま。斜面を平気でヒョイヒョイ駆け下りるなど、家康たちと違って伊賀越えにかなり余裕があるのでしょう。故に、ボロボロになっていく家康たちの苦労がイマイチ分かっていない感じです。
ここでも、「この先は明智の兵がおります」とサラリと言い出す半蔵。
家康「どうするのだ?」
半蔵「全力で押し通りまする」
家康「またか……」
またか。
一同「あああああああ!」
こんな楽しい伊賀越えは初めてです。滝田家康のシリアスな伊賀越えと比べるとおちゃらけていて、単なるギャグパートになっていますが、あの『徳川家康』と同じことをやっても仕方がありません。あえてギャグ路線に振ってきたのでしょう。
でも、『徳川家康』の悲壮感こそないものの、必死さや困難さは十分伝わってくる作りでした。『江』の伊賀越えなんか、夜はキャンプファイヤーしながら小ぎれいなカッコをした小娘と家康がのんきに語り合ってたのですから。家康がギターをつま弾き、2人で『今日の日はさようなら』を歌い出さないのが不思議なくらいだったものです。
信尹からのメールで、上杉には頼れないことを知った昌幸さん。そんなとき、ついに滝川一益から呼び出し。そして、昌幸と信幸は上野の厩橋城へ。約300年後、ここに本州の端っこの長州からしょーもないカスが県令としてやってきて、特に誇るほどの功績を挙げるでもなく、また本州の端っこに去っていくのですが、それはまた別の(語るほどの価値もない)話。
さて、一益の話とは? すると、一益には全く危機感がありません。この段田一益、いい人だなー。一益は秀吉の敵役なので、秀吉への反感がみなぎる小物っぽい描写が多いので、こういう一益は珍しい。実際、昌幸とは仲がよかったそうなので、平時はこんな感じで話していたのかもしれません。
昌幸「まだ知らせは届いていないようだな」
信幸「こちらの出方をうかがっているのでは」
油断なりませんな。
一益「今日呼んだのは他でもない。真田殿は……この近くでよい湯治場をご存じないかな」
おい。
取りあえず、草津を勧める昌幸さん。厩橋からなら伊香保温泉の方が近いじゃないか。しかも、伊香保は昌幸さんが整備したんでしょうに。
それにしても一益のこの情弱っぷりはどうしたことか。一益の出自ははっきりせず、忍者説まであるほど。織田家の重臣として情報網はそれなりに持っていたはずなのに。ただ、史実として一益が本能寺の変を知ったのは6月7日なので、ドラマのこの時点では実際問題として知らなかったのです。最後にナレが「本能寺の変から2日」と言っていること、明智軍が安土城に入っていないことから、まだ6月4日ごろなのでしょう。それだけに、昌幸たち国衆が既に知っていることがやや疑問として残るわけです。
この情報のアンバランスな偏りにより、一益は滑稽でもあり悲しくもある立ち位置に設定されます。彼の語る信長の話は、話し方が朗らかであるだけに切ない。いい人っぽいところがまた切ない。そして、信長の死を知らずに「戦のおきぬ世が近づいておる」と語る一益を、見下したりはしない昌幸たちもよかった。
昌幸「織田信長、途方もないことを考えおる」
一方、狂言回しとして右往左往していた信繁は安土に帰還。松が織田の兵によって城内に連れて行かれたと知り、安土城に向かいます。「すんなり入れたな」というとぼけた口調は堺雅人らしい。
が、この後はご都合主義のオンパレード。史実でもないので、こだわらずにチャチャっと済ませちゃおう感が伝わってきます。
まずはあっさり松と再会。他の人質も助けようとゴネる松の髪の分け目にチョップしたくなるのを堪えながら見ていると、タヌキの案内であっさり抜け穴を発見。このパートについては、もうどうでもよくなってきました。無事場外に出られてよかったね。
家康もボロボロになりながら岡崎に生還。よかったね。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
コンピュータが操作する軍団に任せていた出羽・陸奥の平定は完了。この軍団をそのまま北陸に盤踞する本願寺攻め投入しました。出羽・陸奥の平定で所領切り取り次第としたため、軍団の所領は200万石を超え、経済・軍事力は他の大名を既にはるかに凌駕しています。この軍団により、越中、能登、飛騨、加賀、越前はあっさり平定完了。さらに若狭へ侵攻を開始。
一方、武田勝頼を軍団長とする軍団を新たに編成し、紀伊の攻略を任せます。
私が直接操作する直轄軍は、伊勢、近江、伊賀、山城、大和を平定し、河内、摂津、丹波への侵攻を開始。北陸軍団が若狭を平定したら、若狭の敵に備えて近江に駐屯させていた兵力を摂津に回せるようになるでしょう。
勝頼軍団は、紀伊の平定が終わったら和泉、淡路を攻撃させ、四国方面軍にする予定。
天正10年(1582年)6月2日、本能寺の変。前回は単なる「引き」で、今回もう少し描写するのかと思いましたが、織田信長周辺については特になし。本能寺の変には飽き飽きなので不満はありません。
それより、二条城戦を描写したのは非常に珍しい。織田信忠の自害シーンなんて、滅多に見られないレアものです。ちなみに、二条城には信長の弟・長益や山内一豊の弟・康豊もいたのですが逃亡。コイツらが逃げられたくらいですから、信忠も逃げようと思えば逃げられたはず。信忠が生き残ったら歴史は大きく変わったんですがねぇ……。
そして今回の主役の1人、徳川家康が登場。家康は堺から京に向かう途中で、平八郎から本能寺の変を知らされます。平八郎の情報がまた妙に正確なんですが、一体彼はどこから情報を仕入れたのでしょう。 一方、安土城下には正確な情報がもたらされていないながらも、不穏な空気が流れています。何か変事が起きているらしいとし分からないもどかしさが伝わってきます。上杉景勝なんか、「信長、甥に殺された」とかメールしちゃってたくらいですし。
家康は緊急ミーティングを開催。
穴山梅雪「逃げましょう!」
アナ雪のもの凄い即答ぶりが笑えます。そして逃走ルート検討開始。
家康「逃げ道などどこにもないではないか」
本能寺の変を知った家康はやたらと切腹しようとしたそうですが、この家康は言いませんね。生き残ることを最優先に考えて、ついに伊賀越えを思い付きます。
というわけで、毎度お馴染みの神君伊賀越えルート。変なおまけがくっついていますが、無視してください。伊勢湾に出るまでは、この記事の通りで大丈夫です。白子とか、鈴鹿サーキットに行ったことがある人にはお馴染みの地名です。
こうして伊賀越えスタート。が、異常にのどかなBGM。徹底的にコミカルに描写するする気満々ですね。しかし家康一行と一緒にいたくないアナ雪は、杖をついてヨロヨロと家康に近づき、別行動を提案。腰痛持ち足手まといになると言い出します。家康は全く心がこもっていない別れの言葉を述べてさっさと先を急ぎます。礼儀は守ったけど、アナ雪がどうなろうと興味なしって感じで笑えます。
そんな扱いを受けたアナ雪ですが、コイツはコイツで、別れた途端にスタスタ歩き出す始末。第1回から、裏切り者アナ雪の落ち武者狩りシーンを楽しみにしていたのですが、何とナレ無双でエンド。え~、角兵衛の出番これで終わりか~。
一方、家康一行には伊賀モノの服部半蔵が合流。ルートも手配済みというから心強い。って思うよな? 思うよ。何だよこの半蔵(笑)。
お笑いシーンの後はシリアスシーン。またも真田昌幸さんの見せ場です。ただ、このあたりから脚本に少しムリが感じられます。話として面白いからいいとすべきか、リアリティに欠けると言うべきか、ちょっと悩みます。
小県の真田の郷にも、ついに本能寺の変の情報が伝わってきます。そのタイミングで、明智の使者が真田の郷に到着。この後、小県の国衆のところへも行くとのことですが、このタイミングで東国の国衆クラスにまで同心を求める余裕があったのか?
明智光秀は京の掌握、近江および安土平定に忙しい時期。毛利には速攻で知らせを出していますが(そして秀吉に捕まる)、真田にまで声を掛けたのかなぁ。まぁ、メールは祐筆が書くので、光秀は命じるだけではあるのですが。
情報を先に握った者が戦いを制す。本能寺の変を知った昌幸は、明智の使者を温泉づけにして足止めし、小県の主導権掌握を狙います。いいぞ昌幸さん。
国衆へのメールを焼き捨てて情報を独占したものの、困惑は隠せません。そして、内記が退出した途端、運命の変転に激高します。
信幸「父上の本心をお聞かせください!」
昌幸「わしの本心か。でははっきり言おう。全く分からん! 源三郎、どうすればよいのかこの父に教えてくれ!」
この昌幸さんの魅力は、こういう弱さを見せるところかな、と。何でもお見通し、ピンチにも華麗に対処、はしない。できない。時にはくじで決めちゃおうとするくらい、煩悶する。息子にすら弱みを見せる。織田について真田は安泰!と思い込んじゃっていた、キレ者だがスーパーマンではない人間くささが素晴らしい。
昌幸さんが苦悩していたころ、家康もピンチの真っ最中。落ち武者狩りを目の前にして、半蔵に不安を覚える家康さん。話がついてるはずじゃなかったの? 半蔵……話を通してあるのが「ほぼ」って何だ、「ほぼ」って。それどころか、「うわああ」とかいって突撃しちゃうし。大丈夫か、この半蔵……。
こうして、落ち武者狩りを中央突破する家康一行。家康さんの顔芸はずるい。
ドラマではとってもヘタレっぽい家康さんですが、武芸は一通り修めていて剣術も一流だったんですけどね。まぁ大将なのでこんなところで武者働きを誇るタイプではなかったのですが。このあたり、剣の達人なのに逃げまくった桂小五郎に通じるところがあります。
特にやることもない真田信繁は、変事の正体を探るため京に到着。ここでついに本能寺の変を知り、父・昌幸と同じく松の危機に思い当たって安土にとって返します。時代の脇役として、ただ安土と京を往復するだけの信繁。この人は大坂の陣までいてもいなくてもいいような存在なので、まあ仕方がありません。
昌幸は小県国衆ミーティングを開催。室賀の批判をものともせず、織田を見限り上杉につくと明言。既に信尹を使者に出しているとして反対を封じます。
そして春日山城。小県は引き受けるが、織田と戦うことは拒否する上杉景勝。何かかっこいいこと言ってますが、織田と戦う余裕はなかったのでしょう。余裕そうな顔してますが、上杉は今、柴田勝よりにボコられ中ですし。この、言い訳がましい「上杉の義」的なところが慶長出羽合戦の中途半端さに通じているようで笑えます。
そして、景勝のそばに侍るのは、家康にケンカを売り、1000人の守備隊が守る長谷堂城を18倍の兵力で攻めても落とせず、上杉120万石を30万石に減らした名将の直江兼続さんじゃないですか。あなたの「大活躍」は有名ですよ!
信尹に対する態度など、実にいい感じで嫌なヤツなところがイメージ通りです。伊達政宗が持ってきた金を、「お前の金なんか汚らわしくて手では触れない」と扇で受け取り、投げ返したとか、コイツの逸話って凄く感じが悪いのが多いですしね。
場面は再び家康ご一行様。どんどんボロボロになっていく一行に反して、半蔵だけ小ぎれいなまま。斜面を平気でヒョイヒョイ駆け下りるなど、家康たちと違って伊賀越えにかなり余裕があるのでしょう。故に、ボロボロになっていく家康たちの苦労がイマイチ分かっていない感じです。
ここでも、「この先は明智の兵がおります」とサラリと言い出す半蔵。
家康「どうするのだ?」
半蔵「全力で押し通りまする」
家康「またか……」
またか。
一同「あああああああ!」
こんな楽しい伊賀越えは初めてです。滝田家康のシリアスな伊賀越えと比べるとおちゃらけていて、単なるギャグパートになっていますが、あの『徳川家康』と同じことをやっても仕方がありません。あえてギャグ路線に振ってきたのでしょう。
でも、『徳川家康』の悲壮感こそないものの、必死さや困難さは十分伝わってくる作りでした。『江』の伊賀越えなんか、夜はキャンプファイヤーしながら小ぎれいなカッコをした小娘と家康がのんきに語り合ってたのですから。家康がギターをつま弾き、2人で『今日の日はさようなら』を歌い出さないのが不思議なくらいだったものです。
信尹からのメールで、上杉には頼れないことを知った昌幸さん。そんなとき、ついに滝川一益から呼び出し。そして、昌幸と信幸は上野の厩橋城へ。約300年後、ここに本州の端っこの長州からしょーもないカスが県令としてやってきて、特に誇るほどの功績を挙げるでもなく、また本州の端っこに去っていくのですが、それはまた別の(語るほどの価値もない)話。
さて、一益の話とは? すると、一益には全く危機感がありません。この段田一益、いい人だなー。一益は秀吉の敵役なので、秀吉への反感がみなぎる小物っぽい描写が多いので、こういう一益は珍しい。実際、昌幸とは仲がよかったそうなので、平時はこんな感じで話していたのかもしれません。
昌幸「まだ知らせは届いていないようだな」
信幸「こちらの出方をうかがっているのでは」
油断なりませんな。
一益「今日呼んだのは他でもない。真田殿は……この近くでよい湯治場をご存じないかな」
おい。
取りあえず、草津を勧める昌幸さん。厩橋からなら伊香保温泉の方が近いじゃないか。しかも、伊香保は昌幸さんが整備したんでしょうに。
それにしても一益のこの情弱っぷりはどうしたことか。一益の出自ははっきりせず、忍者説まであるほど。織田家の重臣として情報網はそれなりに持っていたはずなのに。ただ、史実として一益が本能寺の変を知ったのは6月7日なので、ドラマのこの時点では実際問題として知らなかったのです。最後にナレが「本能寺の変から2日」と言っていること、明智軍が安土城に入っていないことから、まだ6月4日ごろなのでしょう。それだけに、昌幸たち国衆が既に知っていることがやや疑問として残るわけです。
この情報のアンバランスな偏りにより、一益は滑稽でもあり悲しくもある立ち位置に設定されます。彼の語る信長の話は、話し方が朗らかであるだけに切ない。いい人っぽいところがまた切ない。そして、信長の死を知らずに「戦のおきぬ世が近づいておる」と語る一益を、見下したりはしない昌幸たちもよかった。
昌幸「織田信長、途方もないことを考えおる」
一方、狂言回しとして右往左往していた信繁は安土に帰還。松が織田の兵によって城内に連れて行かれたと知り、安土城に向かいます。「すんなり入れたな」というとぼけた口調は堺雅人らしい。
が、この後はご都合主義のオンパレード。史実でもないので、こだわらずにチャチャっと済ませちゃおう感が伝わってきます。
まずはあっさり松と再会。他の人質も助けようとゴネる松の髪の分け目にチョップしたくなるのを堪えながら見ていると、タヌキの案内であっさり抜け穴を発見。このパートについては、もうどうでもよくなってきました。無事場外に出られてよかったね。
家康もボロボロになりながら岡崎に生還。よかったね。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
今週の戦国史:頑張れ武田家
コンピュータが操作する軍団に任せていた出羽・陸奥の平定は完了。この軍団をそのまま北陸に盤踞する本願寺攻め投入しました。出羽・陸奥の平定で所領切り取り次第としたため、軍団の所領は200万石を超え、経済・軍事力は他の大名を既にはるかに凌駕しています。この軍団により、越中、能登、飛騨、加賀、越前はあっさり平定完了。さらに若狭へ侵攻を開始。
一方、武田勝頼を軍団長とする軍団を新たに編成し、紀伊の攻略を任せます。
私が直接操作する直轄軍は、伊勢、近江、伊賀、山城、大和を平定し、河内、摂津、丹波への侵攻を開始。北陸軍団が若狭を平定したら、若狭の敵に備えて近江に駐屯させていた兵力を摂津に回せるようになるでしょう。
勝頼軍団は、紀伊の平定が終わったら和泉、淡路を攻撃させ、四国方面軍にする予定。