大河ドラマ「花燃ゆ」 第43回 萩の乱に誓う 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/10/25 22:43

今回のテーマは、意識高い系の美和さまによる未開の地グンマーの教育改革と、意識高い系の前原による「民のための」萩の乱という、実に意識高い系な人の美化です。リストラ武士の反乱を世直し義挙っぽく盛ってみたり、頑張って同情を引こうとしているところが小賢しいのですが、そこは生暖かく見守ってあげましょう。

明治9年(1876年)のグンマー、どう見ても信楽焼の狸っぽい置物のアップからスタートです。前回はスルーしてしまいまたが、ふと「信楽焼の狸」が気になったので、ちょいとリサーチ。すると、藤原銕造という人が初めて作り、「昭和天皇」の信楽町行幸(1951年)によって全国的にブレイクしたそうです。

ブレイクする以前に信楽焼の狸を導入していたなんて、グンマーもなかなかやるではありませんか。ただ早いというだけではありません。藤原銕造は1876年生まれ。そう、信楽焼の狸を初めて作った藤原銕造が「生まれた年」に、既に信楽焼の狸を持っていたのです。阿久沢商会スゲー!!! 超先進的な阿久沢商会では、せいが美和さまに製糸講座を開講。美和さまは一体何しに来ていたのか、丸で分かりませんが。そして、せいにカイコを見せられて嫌がる美和さま。まぁ、これについては普通の反応だと思います。

しかし、美和さま&カイコといえば、「あんたはカイコでも飼いなさい。私は嫌いだからやらないけど」という感じの悪い手紙を思い出してしまいます。楫取美和子って、いい印象のエピがあまり残ってないんですよねぇ。

さらに、阿久沢商会で10歳の女の子が働いていることに驚く美和さま。まぁ、あの当時なら驚くようなことじゃないのでは? 美和さまだけ現代人?

ちなみに、ここで登場する母子の名前はトメ(母)とキク(娘)。本ドラマには、別の役でトメとキクが既に存在しています。少しは名前も工夫すればいいのに。

阿久沢商会で見た割とどうでもいい事件から、グンマーの教育改革を提案する美和さま。が、未開のグンマー人には刺さりません。高い教養を誇り、相手を無知蒙昧と見下す意識高い系の美和さまの鼻持ちならなさが伝わってしまったのかもしれません。おっと、美和さまの高邁な理想が蛮族には理解できなかっただけですよね。

識字率が低いグンマー人を見下す美和さまは、せいにお手伝いさん呼ばわりされることが気に入りません。「私のことお手伝いさんて呼ぶんですよ」と、と不平タラタラで敷居をノシノシ踏みまくります。ええ、もちろん美和さまはお手伝いさんなんかじゃありませんよ。お手伝いさんなら、敷居を踏んではいけないという程度の躾は受けているでしょうから。

意識高い系の美和さまは、グンマーだけでなく萩の心配もなさいます。さすが美和さま。しかし、そんな美和さまに、前原からごめんねメール。こうして萩の乱開始です。第41回で美和さまに「力では何も動かせん」というお言葉を賜った前原ですが、結局何の役にも立たなかった、と。無駄なシーンでしたね。

萩の乱を知り、またも無策で萩に乗り込もうとする横取モトピコ君。それを必死に止める寿さん。

モトピコ「あの者たちの思いを分かっとるんは私じゃ」

それが役に立ったことはないけどな!

一方、東京では美和さまが久米次郎の参戦を押しとどめます。ここでも「さすが美和さま」なご活躍です。取るものも取りあえず東京に向かった感じの美和さまですが、移動中に情報収集でもなさったのか、政府軍の動きまで熟知しておられます。首都東京にいた久米次郎よりも詳しいのですから恐れ入ります。

納得しない久米次郎と一緒に萩に戻った美和さまですが、もちろん萩の乱はとっくに鎮圧済み。吉田小太郎は死に、玉木文之進も切腹後のことでした。はて、長女・千代が存在しないこの世界で、文之進は一体誰に介錯してもらったのでしょうか。私、気になります!

こうして、短時間のしょっぱいイメージ映像で萩の乱は終了。乱の原因や前原一誠の主張が恐らくわざと曖昧にされたためか、またも役に立たなかったモトピコ君と、今や大久保利通に代わって明治政府を独裁しているかのような木戸孝允の会話もヘンテコなことになっています。

「民のため」と口にしていた前原。あれ、萩の乱って「民」のためだっけ? そして、東京で木戸と会ったモトピコもまた「民のため」と言うのですが、木戸は「士族に厳しい政策をとらざるを得なかった」と言う。全然かみ合ってません。

そもそも前原は徴兵制に反対して山県有朋らと対立し、下野します。さらに、木戸がいう「士族に厳しい政策」つまり俸禄カット(武士のリストラ)による士族の不満が鬱積。この士族の不満のはけ口が萩の乱です。こいつら、民のことなんか考えてません。

なぜ、ここで前原とモトピコ君だけ「民のことを考えてますよ」アピールするのか? 日本の人口の中のごく一部にすぎない士族がキレて反乱を起こしただけのことなので、前原には同情できないし、前原のことを気にするモトピコ君と美和さまにも共感できません。ゆえに、史実を曲げて「民のことを考えてる意識高い系前原」をでっち上げる必要があったのでしょう。

萩での出番も終わり、なぜか萩よりも圧倒的に開けていて栄えている未開の地グンマーに戻る美和さま。その美和さまを、病身の妻を放置して出迎えるモトピコ君。何と、往来で妻の妹を抱きしめます。せめて人目がないところでやるわけにはいかんのか。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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