大河ドラマ「花燃ゆ」 第42回 世界に賭ける糸 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/10/18 22:19

今回は、寿が渡米する新井に松陰の形見の短刀を渡すという有名な史実エピ回です。横取モトピコは安定の役立たずっぷり。特に気持ち悪い称賛がなかったのはいいのですが、つまらなさも安定。ついでに、前橋市の気持ち悪さもご紹介しましょう。

前回、町中でも馬車を襲撃する追いはぎが跋扈していること、拳銃を持った男(複数)よりも唐傘を持った老婆の方が強いという、恐るべき秘境であることが判明したグンマー県。一体、美和さまたちはどうなってしまうのでしょう!

三田佳子に「ウチの馬車に乗らないからだ」と言われますが、阿久沢の馬車に乗っていたら、「このタヌキ野郎」と罵られながら汚物をぶっかれられるという、なかなか上級者向けなプレイを堪能することになりそうでちょっとイヤです。

三田佳子に安っぽく助けられた美和さまたちは、そのまま県令の屋敷に馬車で向かいます。すると、屋敷には先ほど出会った三田佳子がいるではありませんか。えーと、私は頭が悪くてよく飲み込めないのですが、三田佳子は美和さまたちの馬車を救った後、馬車よりも速く移動して屋敷に先回りしていたってことですか。

さすが、かかあ天下のグンマー。馬車よりも速く駆ける老婆がいるとは恐ろしい。

「おまえのようなババアがいるか」(ケンシロウ談)

その後、奥さん軍団登場とか、なんやかんやありますが特にコメントするような話ではないのでトイレタイム。江守衰えたなぁとか、よそ者を歓迎しない田舎者とか、ステレオタイプな展開だなぁって感じですかね。 県令屋敷では、美和さまがまたもや隙あらば姉の夫とツーショットトーク。それを心配そうに見つめる寿。寿さん、この2人はずっとこの調子であなたに隠れて逢い引きしてたんですよ。

隙あらば妻の妹と親密トークに持ち込む横取モトピコ君は、富岡製糸場を社会科見学。そこで星野長太郎と出会います。オリキャラまみれのグンマーで、久しぶりに実在の人物の登場です。

さて、富岡製糸場では、かつて久坂玄瑞のクズ野郎が切腹に追い込んだ長井雅楽の娘が働いているはずですが、果たしてドラマには登場するのでしょうか。『八重の桜』では、史実をねじ曲げて薩摩女相手に八重を土下座させるという馬鹿げたエピをぶち込み、新島八重を貶めました。バランス的には、ポンコツ玄瑞の妻である美和さまが長井の娘に土下座するべきですが、この気持ちが悪いドラマに期待してもムダでしょうね。

続いて、第2の実在の人物、新井領一郎が登場。アメリカに行って学びたいという新井に、モトピコ君は助力を約束します。

そんなとき、敏三郎の病の知らせが届き、美和さまは長州へリターン。杉家に到着し、病床の敏三郎を見舞うと、会話というか手話を交わして敏三郎が息を引き取ります。何とタイムリーな展開です。ああどらまちっくだな。

このころ、民治は山口県権典事になっているはずなのですが、相変わらず貧しそうです。

敏三郎の死により、視聴者に1つだけいいことがありました。今が明治9年(1876年)であることが確定したのです。はて、県庁はこの時点では高崎にあるはずなのですが、モトピコ君たちは前橋で何やってるんですかね。

また、敏三郎が持っていたという、吉田松陰の脇差しが美和さまに託されます。史実エピにからむキーアイテムの登場です。これが、美和さまから寿へという迂遠かつ冗長なルートをたどります。

ドラマと異なり史実の松陰と寿は仲が良かったそうなので、あの脇差しは松陰から寿へ、ダイレクトに渡ったのでは(勝手な想像ですが)。

新井にアメリカ渡航への助力を安請け合いしたものの、阿久沢の息がかかった県庁職員の反応は芳しくありません。ここは「先見の明がある意識高い系のモトピコ君 vs. 保守的で頭の硬い田舎者」という図式ですねと、お粗末先生が描きたかったことは分かります。

が、残念ながらお粗末先生の脚本はお粗末過ぎました。この場面は、「個人に支援するより他にやるべきことがあるのではないか」と、常識的かつ論理的な指摘をするグンマー県庁職員と、具体的な費用対効果を出すこともできず、「協力してほしい」と繰り返すだけの無能なモトピコ君にしか見えません。「県の予算を個人の夢に投資しよう」という、かなりヌルい提案なのですから、納得のいくロードマップやビジネスプランをプレゼンするのが筋でしょう。何度も指摘した通り、モトピコ君みたいなヤツが会社にいても、彼の絶対意見は通りません。抽象的な感情論をはいてるだけなのですから。

新井の渡航費用捻出のため、阿久沢に助力を依頼する横取モトピコ君。相変わらず、協力してくれと繰り返すだけです。そこへ、香典返しのために偶然にも美和さまがやってきます。すげーどらまちっくだな。

阿久沢の揚げ足を取り、「長州では男に二言はありません」と詰め寄る美和さま。本当なら「ヒロインによる痛快な反撃」となるべきシーンなのに、なぜかイラっとします。社交辞令を盾に取るとは卑しい女だな、

そこへ、三田佳子が現れて阿久沢が凹まされると。ああ、長州と上州の女性の勝利、男はダメだねーってことですね。どらまちっくだな。

こうして、横取モトピコはまた何の役にも立たず、三田佳子と阿久沢のおかげで新井の渡米費用捻出が決定。よかったね。

こうして、有名な史実エピ、寿から新井へ、松陰の形見の脇差し贈呈式です。

寿「アメリカに兄を連れて行ってあげてください」

史実通り、寿と松陰のきずなをちゃんとやっていたら、結構泣けるセリフになるはずなのに、ちょっとここまでのプロセスがダメダメすぎましたね。

ちなみに、前橋市はこの贈呈式のシーンを銅像にするため寄付金を募集しています。ところで、皆さんはこのシーンの主役は誰だと思いましたか? 私は、「寿と新井領一郎と短刀」だと思いました。しかし、前橋市はそうは思わなかったようです。銅像のタイトルは、何と「楫取素彦と松陰の短刀」。

はあ?

銅像のイメージは、前橋市のWebページの通り。ぜひご覧ください。笑えますよ。

楫取素彦、お前関係ないじゃん。お前キメぇよ。この4人の中で、楫取素彦だけイラない。

寿が松陰の短刀を新井に渡す場面で、なぜ「楫取素彦のその功績を顕彰し後世に伝えるため」という発想になるんだ。我が出身地ながら、頭がおかしい。前橋市には、絶対ふるさと納税なんかしないぞ。こんなとこ、ふるさとじゃねぇ。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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