大河ドラマ「軍師官兵衛」 第49回 如水最後の勝負 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/12/07 22:38

今回の泣かせどころは、猛将統幸が、世話になった九郎右衛門のためにわざと討ち取られて九郎右衛門の武名を上げてやる場面。戦国時代らしい「イイ話」なのですが、われらが大河ドラマスタッフの手にかかれば、単に「的場浩司が突然出てきて死んだ」だけになってしまうのだからスゴイ。

では本編を最初から。大坂城を押さえ、切り札を握っている三成。当然これを使うよね、と誰もが思っているわけですが……。切り札秀頼の出陣を拒むバカ女淀。

淀「勝利を信じておるぞ」

とか言ってますが、勝利のめをつぶしたのはこのさげまんですけどね。嫁ぎ先を滅ぼすスキルは母親ゆずりです。

関ヶ原もう1人のキーパーソン、秀秋は東西の調略合戦にウハウハ中。手応えを感じて余裕の三成ですが、前回から突然わき出てきた吉継に諫められます。三成と吉継の関係など、ドラマでは全く描く気がないところを視聴者が脳内補完しなければなりません。戦国史に興味ない人が見たら、「何だこのマスクマンは?」って感じでしょう。 9月9日、如水出陣。豊後高田城をボコって包囲完了。ホビットの降伏勧告への返答に訪れたのは、城主竹中重利の嫡男重義と家老の不破三太夫。恭順を誓う2人をさらに892のように恫喝。

豊後浜脇浦に上陸した大友は、宗像鎮続や吉弘統幸らの旧臣が続々と集まってきてウハウハ。統幸が諫止するものの、吉統や鎮続に相手にされず。ここで統幸が「黒田の食客として過ごした」というセリフがあり、一応両者の関係性に申し訳程度に触れてますが、ドラマ的には無意味でした。

清洲城まで進んだ家康の本陣に、直政が美濃からお使い。「如水様もわれらの味方」と脳天気なおでこオクトパスですが、家康は如水の動きを警戒。結果から逆算したようなエピでしらけます。

急にオラオラ系になった如水たちは九州で大暴れ。伏兵&道の左右から挟撃ってのはいいというか成功しさえすれば最高の戦術ですが、あんな近距離から鉄砲斉射って……。味方も蜂の巣にしそうですね。大友軍とともに黒田軍も枕を並べて討ち死にです。

「百戦錬磨の如水軍」というナレも謎。はて、如水の軍は寄せ集めの農民たちだったような?

先発した九郎右衛門は、石垣原で大友軍と開戦。

戦場で邂逅する九郎右衛門と統幸。ドラマとノベライズでは、このシーンの印象が全く異なります。ノベライズは、統幸にエールを贈りつつ「降伏なされよ」と1回だけ勧めるものの、騎乗したまま一騎打ち開始。お互いに落馬し、槍を捨てて太刀で斬り合い。一進一退の攻防の後、一瞬よろけた統幸を九郎右衛門の太刀が貫く。「おぬしの家の味噌汁、うまかった」というセリフはあるものの、両者の因縁についてはあっさり。これはこれでアリなまとめ方です。

ドラマというと、九郎右衛門は戦場だというのにのんきに下馬し、槍まで捨てて全力で降伏勧告。統幸の負傷に乗じて勝負こそ決まるものの、最後まで女々しい九郎右衛門。統幸が自ら九郎右衛門の太刀を首に当てて終了という、なんだかなぁなシーンになってしまいました。何だかとっても悲しんでいる九郎右衛門ですが、視聴者的には出てきた途端に討ち死にした統幸に何の感慨も浮かばず。時代劇映えする的場浩司の声で何となく誤魔化されそうになりますが、かなり残念。

世話になった九郎右衛門に武功を挙げさせるため、統幸がわざと討ち取られたという説もあるのでドラマの描写も間違ってはいないのですが、ここを泣かせどころにするなら食客時代の統幸と九郎右衛門を盛り込んでおくとか、もっとやりようがあったでしょうに。ノベライズのあっさり描写から察するに、脚本家はここをさほど盛り上げるつもりはなかったのでしょう。脚本家のプランとドラマスタッフのプランがかみ合ってないんですねぇ。

一方、家康は美濃赤坂まで進出。大垣城に籠城する三成をおびき出すため、陽動として佐和山城攻めの動きを見せる家康。家康の陽動にあっさり引っ掛かって大垣城を出ちゃう戦下手の三成。さすが、小田原征伐の際にただ1人敵城を落とせなかった愚将だけのことはあります。

そして関ヶ原。家康本陣にやってきた毛屋主水。というわけで、有名イベント発生です。物見として敵情を正確に伝え、家康に饅頭をプレゼントされます。史実かどうかは知りませんが、有名な逸話ではあります。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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