大河ドラマ「八重の桜」 第30回 再起への道 感想

カテゴリ:八重の桜
日時:2013/07/28 21:38

さあ、今回から明治編の始まりです。話は明治2年(1869年)2月から。忘れたころにやってくる、ニイジマジョーが登場。まぁ、顔見せ以上の意味はなさげです。

八重、佐久、うら、みねの4人は米沢藩士 内藤新一郎の屋敷の離れに居候。八重とみねは反物の行商、佐久は賃仕事の洗い張り(解いた着物にのりを付けて板に張って乾かすこと)、うらは染色がお仕事です。

一方、会津戦争の戦後処理も進行中。まずは、責任者の処分。容保親子は死一等を減じられ、代わりに家老の首を差し出すことに。こうして、飯野藩下屋敷にて萱野権兵衛の斬首(実際は自刃)になります。享年40あるいは42。おや、覚馬と同世代で秋月より年下、頼母より年上でしたか。

刑の執行に先立ち訪れた大蔵、梶原と萱野のシーンはなかなかよかった。私は、柳沢慎吾の演技は特に気になりませんでした。まあ、「ここは泣かせどころ」という前提で見てますしね。 萱野「ご主君をお守りするのは武士の誉れだ。このお役目、にしゃらには譲れぬわ」

と語る萱野に、容保メールを差し出す大蔵。

容保メール「そなたの忠義、終生忘れぬ」

ノベライズだと「権兵衛、すまぬ」が続くのですが、ドラマでは「忘れぬ」で終わりでした。続いて照姫メールなのですが、ドラマでは和歌のみになっていました。ノベライズだと、

照姫メール「気の毒、言語に絶し……惜しきことに存じ候」

とあり、最後に添えられた一首は涙で読めず大蔵が代読するという流れでした。

夢うつつ 思ひも分ず 惜しむぞよ まことある名は 世に残れども

日テレ『白虎隊』の萱野とは異なり、ある種さっぱりとした潔いシーンでしたが、「日テレ『白虎隊』の萱野」は次のシーンに活かされていました。

抗戦を続けていた五稜郭の旧幕府軍も、萱野が処刑された日に無条件降伏。戊辰戦争の終結です。榎本武揚と頼母は、出頭に先立ち酒を酌み交わします。

榎本の「さあ、降るか!」が妙に明るくて爽快ですらあるわけですが……その前の「敗軍の我らは、この後、泥水をすすって生きることになろう」というセリフには、思わず「いや、君はそんなことないから」とツッコミたくなります。もっとも、榎本が助命されてさらに政府高官になったのは、酔っ払って大砲で民間人を射殺したり、酔っ払って妻を惨殺した疑いがかけられたり、酔っ払って木戸孝允に簀巻きにされたけど内閣総理大臣になった人が助命に奔走したからですが。

この時点では死を覚悟していた榎本を見送った頼母さんは、千恵の辞世を取り出し、生きることを誓います。

頼母「千恵、わしは生ぎっつおう……。会津を踏みつぶしていったやつらがどんな世の中つくんのか、この目で見届けてやる」(ノベライズ「会津を踏みにじった者だぢが、なじょな世を作んのが、この目で見届げるまで」)

何となく聞き覚えのあるセリフです。そう、日テレ『白虎隊』の萱野の最後のセリフにそっくり。

日テレ『白虎隊』萱野「薩長の奴らがどんな国つくるのか見てやる」

日テレ『白虎隊』の萱野は西田敏行がやってましたねぇ。

こうした犠牲の甲斐もあり、松平家はお家再興が許されます。梶原、大蔵、広沢がうちそろい、藩士たちに大発表。が、陸奥下北に3万石という条件に藩士ブチ切れ。藩名「斗南」と大蔵の大参事(大惨事じゃないよ)就任発表でようやく落ち着きます。

10月、米沢の八重の下に、大蔵が訪問。会津の再興を知らされた佐久は、こづゆをこさえます。食べたことはありませんが、こんな感じの料理らしいですね。

で、大蔵は斗南に八重を誘います。まぁ自然な流れですね。藩士の家族も斗南に同行してますし、尚之助が斗南に行くことも八重に伝えています。もちろん八重も行くよね?

八重「死んだ皆の無念は晴らしてぇ。だげんじょ、恨みを支えにしていては後ろを向くばかりで前には進めねえのだし」
八重「さっきのこづゆがあんまりおいしくて。みんなで頂けるのがうれしくて。もうしばらくこうして生きていってはなんねえべか?」

ドラマではここで八重の断りは終わりですが、ノベライズには続きがあります。

八重「今、斗南に行ったら、私はまだ恨みに縛られ、がんじがらめになる……。おっかさまど、姉さまど、みねど始めだ暮らしを、もうちっと続げでみでえ。恨みだげでは、生ぎでいげねえがら」

なかなか苦しいですね。猪苗代に行こうとした(史実)が、斗南には行かなかった(史実)八重の行動に整合性を持たせようとしても、どうしても違和感が残ります。

というわけで、「八重さんの故郷をもう一度作りたい」と言う尚之助を1人斗南に行かせ、八重は「待っています」でスルー。それくらいなら一緒に行って支えろよ、とツッコミたいところ。

次回予告では、尚之助が登場。「私の一存で……」。ああ、無免許で手術しちゃったんでしたっけ。

2013年 大河ドラマ「八重の桜」キャスト(配役)
大河ドラマ「八重の桜」 主要人物年齢年表(会津編)
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