大河ドラマ「八重の桜」 第27回 包囲網を突破せよ 感想

カテゴリ:八重の桜
日時:2013/07/07 22:21

籠城初日の慶応4年(1868年)8月23日夜、夜襲に出陣した八重は、幼少時に父が鳥を撃って銃をことの意味を諭したことを思い出します。で、銃を撃つことをためらった八重を救ったのが黒河内先生。おかげで八重は離脱できましたが、黒河内先生は……。

その後、誰も黒河内先生を案じたり胸を痛めるそぶりなし。せめて八重はちょっと思い出してもいいんじゃないかな。

籠城2日目の8月24日。女性陣は兵糧炊きと負傷者の介抱について確認し合いますが、二葉は一人息子の寅千代(後の景清)とはぐれてアンダー。探しに行くことも母に禁じられ、気丈に振る舞います。『江』だったら、ここで二葉が泣き崩れ、周囲の女性たちがああ二葉様お気の毒ともらい泣きするという、幼稚な展開になったことでしょう。 竹子率いる薙刀女子会は、越後街道高久の陣所で萱野に参陣を願います。照姫は鶴ヶ城にとどまっているのに、照姫が坂下にいると勝手に思い込んで入城せず明後日の方向にフラフラ向かい、ようやく勘違いに気づいて城に戻りたい、だから萱野に連れて行け、というわけです。萱野に断られると、自害するといって一斉に脇差しに手をかける始末。

現代劇にも出てきますね、気に入らないことがあると「死んでやる」とか言い出す女性。が、「そこまで思い詰めでいっか。許す!」と言ってあげる萱野は大人だなぁ。若輩者の健次郎の言を容れて硝石入手のために動いてくれたり、負けたり文句を言うしかできない家老に比べ、実に使える家老です。それだけに、彼のあの最後は不憫です。

城では家老&尚之助がミーティング。尚之助が指摘した小田山の戦術的価値(会津的には弱点)が課題に。小田山を防御できるほどの手勢がないため、天寧寺で防ぐ策を立てる梶原、海老名、原田の家老たち。

頼母「ご一同、考えが甘い」
梶原「他に打つ手があっかし! 兵も大砲も何もかも足んねえのです!」
頼母「何もかも足んねえ。んだげんじょ! 会津を救う策は立てねばなんねえ!」

相変わらずの頼母安定の無能っぷり炸裂です。「会津を救う策は立てねばなんねえ!」というご指摘は実に正しい。そして、その策を懸命に建てている梶原たちに向かって、自分は対案出さず、「考えが甘い」ときた。だから、君も策を立てなさいよ、た・の・も・く・ん。

梶原「策があんなら白河の戦で打っておくべきでした。指揮は頼母様が執っておられたのだ」

梶原、よく言った。

がんばって策を立てた家老たち(頼母を除く)の努力もむなしく、小田山に新政府軍が侵攻した知らせが入り、動揺する家老&容保。さあ、た・の・も・く・んの出番です。

頼母「この上は、開城のご決断を」

激怒する佐川、梶原。

佐川「頼母様は腰抜けだ-!」
梶原「白河の敗北以来、負けることばっかりいいたておられる」
容保「ことここに至っては、開城恭順の道など、ない」

ここはさすがに頼母君が気の毒な面もありますが、こうも孤立するのはこれまでの経緯ゆえですから仕方がありません。

8月25日朝、竹子は胸を撃たれて死亡。確か、頭を撃たれたはずですが……。また、母あるいは妹に介錯されたとされていますが、ドラマでは首が付いたままの遺体を放置プレイ。雪は新政府軍(史実通りなら大垣藩兵)に捕まって緊縛プレイ。大垣藩兵に酷いことをされたという説もありますが、ドラマではどうとでもとれる描写です。

そこに、吉松速之助キター! 伝承通り、雪の求めに応じて脇差しを与え、自刃させてやります。身元を明かさない雪に「三途の川を渡るときは、堂々と名乗りや」と言わせる脚本グッジョブ。

で、あらためて吉松について調べてみたら、西南戦争時の乃木希典と関係してたんですね。『八重の桜』でも西南戦争はやるでしょうが、乃木がらみの余談まではやらないでしょうし、吉松の出番はここだけかな。

8月26日、城下近くまで帰還してきた大蔵ですが、新政府軍の包囲下にある鶴ヶ城に入城するのは難問。そして、有名な彼岸獅子無血入城。

場内にも聞こえてきた、彼岸獅子のお囃子。彼岸獅子を先頭に更新する大蔵隊。で、敵中を突破して無血入城成功。

ここ、演出が淡泊すぎるような。城内の期待や喜び、平気な顔をしつつ、内心緊張している大蔵隊、不審に思ったり楽しんだりする新政府軍。これらが全部中途半端。で、入城に成功したときの城内の歓喜と、「やられた!」という新政府軍が対比されてこそのカタルシスでは。このシーン、悪くはなかったけど良くもなかった。名場面だけに、期待外れでした。残念。

ちなみに、大蔵の無血入城に協力した小松彼岸獅子は、後に容保からこのときの功績に対して提灯に会津葵のご紋の使用を許されています。

2013年 大河ドラマ「八重の桜」キャスト(配役)
大河ドラマ「八重の桜」 主要人物年齢年表(会津編)
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