大河ドラマ「八重の桜」 第1回 ならぬことはならぬ 感想

カテゴリ:八重の桜
日時:2013/01/06 22:24

『八重の桜』、始まり始まり~。

制作発表時は新島八重が主人公と聞いて落胆しましたが、ノベライズを読んで一安心。主人公が無理矢理歴史事件にからむ愚行がほとんど見られなかったからです。主人公八重は、少なくとも第1クールは会津で「鉄砲を教えてくれ」と頼んでいるか、覚馬あるいは川崎尚之助と鉄砲の研究をしているだけです。この脚本なら、八重が西郷隆盛の死に立ちあって「会津に済まないことをした」などと謝らせたり、満州軍の参謀会議の席に八重が座っていたりはしないでしょう。

 ここで狂言回しとして機能するのが八重の兄、覚馬。彼が江戸や京で重要人物とからみ、歴史事件(の一部)に関わっていきます。覚馬が関わるのは史実なので無理もなく、納得感があります。覚馬と八重の生涯を通して幕末の政争、会津戦争、会津の仇敵の滅びとしての西南戦争、日清・日露戦争(八重、篤志看護婦として従軍)が描けるわけで、「八重」というテーマは何げにおいしいチョイスだったような気がしてきました。

では第1回の感想をば。 ファーストシーンは南北戦争、ゲティスバーグの戦い。ノベライズでは南北戦争のくだりは10行しかなかったのですが、予想以上に尺を取ってガッツリ戦闘シーンを描写。このシーンだけで予算を使い切ってしまわないか心配になります。

ゲティスバーグの戦いの直後、「人民の人民による(以下略)」で知られるリンカーンの有名な「ゲティスバーグ演説」まで登場。同じ「ゲティスバーグ」だし戦闘の直後に演説したような感じですが、戦いは1863年7月、演説は11月。

そして1868年の会津戦争のシーンへ。今回、綾瀬はるかの八重とオダギリジョーのニイジマジョーは顔見せ程度です。若干CG臭が強すぎるきらいがありますが、大砲でボコられた鶴ヶ城はなかなか悲壮感があってよろしい。会津戦争が楽しみです。

八重が大山弥助(後の巌)を狙撃しちゃうあたりは、まぁ許容範囲かな。でも、日清・日露戦争あたりで八重と巌をからませるつもりかも。


嘉永4年(1851年)夏(ノベライズでは5月)、容保初のお国入りに沸き立つ会津藩&山本家。

江戸から戻った覚馬が試射したゲベール銃を見た八重、鉄砲が撃ちたくなります。鉄砲は重いからだめだと却下されると、

八重「八重は大ぎぐなりやす! 力持ちになりやす!」

まぁ、約60kgの米俵を持ち上げるほどの力持ちになったそうですし。

容保は西郷頼母に城下を案内されます。ちなみに、西田敏行演じる頼母は数え22歳(満20、21歳)。若殿容保(数え16歳、満14、5歳)との年齢差は6歳。容保から見た頼母は、「ちょっと年上のお兄さん」といったところ。映像的には、親子あるいは祖父と孫くらいに見えましたが。

容保&頼母は、なぜか昔から「若者&じじい」でした(福井晴敏の小説かよ)。日テレ『白虎隊』が風間杜夫&里見浩太朗。テレ東『白虎隊』が伊藤英明&北大路欣也。今回の綾野剛&西田敏行もどうなんだ、全く……。ちなみに、覚馬は頼母より2歳年上です。そうは見えませんが。登場人物の年齢については「大河ドラマ「八重の桜」 主要人物年齢年表(会津編)」をどうぞ。

そして追鳥狩。林権助が映るたびに、「あ、旧容保」。

八重が次期藩主様にお目見えしちゃうところはいかにもドラマ。その後頼母に一目置かれちゃうところはいかにも主人公補正。が、最近の大河にしては微々たるものなので、意外に気になりません。というか、ここの場面は割と好き。

木から落ちかけた八重が草履を落とし、頼母が一番鳥を逃がします。激怒する頼母に、正直に名乗り出る八重。そこに現れて取りなす容保。

容保「武士らしく名乗って出たのだ。卑怯な振る舞いはしておらぬぞ」

だが、無罪放免はならぬとして、しっぺいを申しつける頼母。

容保「それでよい」

父権八によって蔵に放り込まれた八重、覚馬に涙を見せます。

八重「私のごど、武士らしいど言わっちゃ、卑怯ではねえど仰せになった。私、お役に立ちてえ。若殿様に、御恩さ返してえ

何とけなげで愛らしい少女でしょう。お転婆で女だてらに銃を撃ちたがるのに、礼儀をわきまえています。

「私、お役に立ちてえ。若殿様に、御恩さ返してえ」の下りは、一昨年のヒロインに1万回音読させたい。真冬の蔵に正座させて。

嘉永5年(1852年)1月。八重、吉田寅次郎(松陰)および宮部鼎蔵とたこ揚げをエンジョイ。

松陰「江戸の海は、閂をかけん門も同然。早晩、異国船に破られてしまうじゃろう」

嘉永6年(1853年)6月。ペリー来航。「松陰の予言が現実のものとなった」というか、結果を基に予言させてるんだから当然ですが。

秋、江戸に上った覚馬は佐久間象山の塾へ。ここで松陰と再会、川崎尚之助、勝海舟と出会います。

嘉永7年(1854年)、ペリー再訪。幕府は溜之間詰め諸侯ミーティング開催。渋い役者がそろっていい雰囲気。綾野剛がやや浮き気味ですが、あのメンツでは仕方がないか。この井伊直弼を見ていると、桜田門外で槍で刺されて持ち上げられてしまいそうな気がするのは、多分『毛利元就』のせい。

伊吹吾郎の徳川斉昭も実に烈公的な頑固さが出ていてよいのですが……。扇子が「シュパッ」「バッチッッッッ」って。ノベライズでは
ぴしりと扇子を鳴らし
だけなんですが。音響さんがんばりすぎ?