大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 第9回 義父の涙
カテゴリ:江~姫たちの戦国~
日時:2011/03/06 22:14
今回もまた、変な脚本で勝家が貶められているのが気になったところ。主人公の義父なんだし、もっとカッコ良く描いてあげればよいのに……と思ってしまいます。「この勝家では勝てるわけないよな」感に満ちていて、鬼柴田が気の毒でなりません。
着々と対柴田作戦を進める秀吉に対し、勝家は何をやっているかといえば手芸教室を開催したり、娘たちの顔色を窺うことばかり。今回は大地さんの耐える演技が悪くなかっただけに、残念です。
今のところ、秀吉は悪役(憎まれ役?)なので、何をやってもあしざまに罵られます。市&三姉妹は、秀吉と対立している勝家側の人間ですから、そう見える(描く)のは当然のことでしょう。ここが、特に秀吉と対立する立場になかった(はず)だった第7回以前とは大きく違うところです。 作中の秀吉の行動をまとめると、
天正10年(1582年)
・10月 信長の葬儀を大徳寺で挙行
・12月 勝家に割譲した長浜城を奪還
・12月 三法師を岐阜城から安土城に移す
となります。
長浜城は、清洲会議のときに柴田家に割譲されたもの。勝家の政治的な勝利というより、秀吉による勝家懐柔策だったとも。また、勝家に冷遇されていた柴田勝豊が長浜城主になるようにしむけ、勝豊に恩を売ったなんて話も。だから、勝豊は秀吉の(大谷吉継の)調略を受けた際に秀吉方に寝返ってしまったというわけです。いずれにせよ、長浜城は柴田領から突出しているので、秀吉と事を構えたら維持は困難ですしね。
三法師を岐阜から安土に移した件は、勝家視点で許し難く見えるのはともかく、客観的には信孝の行動の是非も考慮する必要がありそうです。
まず、三法師の処遇については、
・弾正忠家の家督相続
・近江国坂田3万石の所領獲得
・安土城へ入ること
が清洲会議で決められました。勝家にとって清洲会議は不満だったでしょうが、ともかく四重臣で話し合って決めたこと。三法師が安土城に入るのは既定路線だったことになります。にもかかわらず、信孝が三法師を岐阜城にとどめ置き、さらに秀吉に対して挙兵します。これに秀吉が反撃して信孝が降伏。三法師を秀吉に引き渡すという流れです(秀吉が兵を挙げたという説もある)。
こうして、着々と地盤を固める秀吉に対して、何もしない勝家。家臣もあまり頭がよくありません。雪が降り始めてから出陣を願い出ているようでは遅すぎです。越前の最大の弱点は、雪で軍事行動が制約されること。このタイミングで兵を動かすのは、いずれにせよ難しいでしょう。
明けて天正11年(1583年)正月。数え年では、江は11歳。誕生日が来れば満10歳です。
伊勢で反秀吉勢力が挙兵(名前が出なかったけど滝川一益のこと?)したというメールを読んで、「共に立てば猿を挟み撃ちに出来た」と悔しがる勝家。いや、あんたが戦を避け続けてたからじゃないの?
勝家がなぜこうまで戦を避けるのか。「戦はイヤ」という三姉妹に戦はしないと約束したからというからお笑いです。お家の大事にかかわることを、娘の感情論に流されて決めているのだからお話になりません。この脚本家が大好きな(というか、それしか理解できない)現代的価値観に当てはめると、「パパ、会社に行かないで遊んで」という娘のために仕事を休み続けて一緒に手芸ですか? それで家族が養えるなら結構なことです。とまぁ、勝家の振る舞いは現代でも十分軽蔑に値しますね。
ま、見た目は大人、中身は子どもの三姉妹が厭戦(反戦ではないと思う)を連呼するのは別に構いません。特に茶々と初は長政の件でPTSD持ちですしね。問題は、それに勝家の行動が制約されていることです。市が娘たちを説得してましたが、そもそも説得する必要すらない。茶々が納得する必要なんてないのです。
さらにあきれたのが、茶々の「父上のお好きになされてくださいませ」というセリフ。彼女は一体何様なんでしょう。お前の許可なんかイラネーよ。
どう見ても、こんな連中が秀吉に勝てるとは思えません。
最後に、そのほかの点を適当に。
オープニングのクレジットにて、柴田家家臣が第8回の1人から3人に増えてる。賤ヶ岳に向けて戦力増強中ですね。
夜の庭にたたずむ勝家のシーンはよかった。けど、挙兵をためらう理由が「雪」や「調略の不調」といった政治的な理由でなかったのは大変残念です。
今週の純喫茶 利休は、気になるキーワードが2つ。まずは「越前がに」。ご存じの通り、これはズワイガニのブランド名ですね。ズワイガニは割と深海に生息しているので、この時代でも取れたんだろうかと疑問に思ってググったところ、1511年の三条西実隆の日記に越前がにの記述があるのだとか。勉強になりました。
「さるかに合戦」は……よく分かりませんでした。安土桃山時代には知られていたのかな?
出陣準備を進める(妙にグラグラ揺れる前立を磨いている)勝家に、天下布武の印章を渡す市。それって、信長アボーン時にバキっと割れたヤツでは……。縁起が悪いような気がするのですが、これも死亡フラグ?
以上。
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第9回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
着々と対柴田作戦を進める秀吉に対し、勝家は何をやっているかといえば手芸教室を開催したり、娘たちの顔色を窺うことばかり。今回は大地さんの耐える演技が悪くなかっただけに、残念です。
今のところ、秀吉は悪役(憎まれ役?)なので、何をやってもあしざまに罵られます。市&三姉妹は、秀吉と対立している勝家側の人間ですから、そう見える(描く)のは当然のことでしょう。ここが、特に秀吉と対立する立場になかった(はず)だった第7回以前とは大きく違うところです。 作中の秀吉の行動をまとめると、
天正10年(1582年)
・10月 信長の葬儀を大徳寺で挙行
・12月 勝家に割譲した長浜城を奪還
・12月 三法師を岐阜城から安土城に移す
となります。
長浜城は、清洲会議のときに柴田家に割譲されたもの。勝家の政治的な勝利というより、秀吉による勝家懐柔策だったとも。また、勝家に冷遇されていた柴田勝豊が長浜城主になるようにしむけ、勝豊に恩を売ったなんて話も。だから、勝豊は秀吉の(大谷吉継の)調略を受けた際に秀吉方に寝返ってしまったというわけです。いずれにせよ、長浜城は柴田領から突出しているので、秀吉と事を構えたら維持は困難ですしね。
三法師を岐阜から安土に移した件は、勝家視点で許し難く見えるのはともかく、客観的には信孝の行動の是非も考慮する必要がありそうです。
まず、三法師の処遇については、
・弾正忠家の家督相続
・近江国坂田3万石の所領獲得
・安土城へ入ること
が清洲会議で決められました。勝家にとって清洲会議は不満だったでしょうが、ともかく四重臣で話し合って決めたこと。三法師が安土城に入るのは既定路線だったことになります。にもかかわらず、信孝が三法師を岐阜城にとどめ置き、さらに秀吉に対して挙兵します。これに秀吉が反撃して信孝が降伏。三法師を秀吉に引き渡すという流れです(秀吉が兵を挙げたという説もある)。
こうして、着々と地盤を固める秀吉に対して、何もしない勝家。家臣もあまり頭がよくありません。雪が降り始めてから出陣を願い出ているようでは遅すぎです。越前の最大の弱点は、雪で軍事行動が制約されること。このタイミングで兵を動かすのは、いずれにせよ難しいでしょう。
明けて天正11年(1583年)正月。数え年では、江は11歳。誕生日が来れば満10歳です。
伊勢で反秀吉勢力が挙兵(名前が出なかったけど滝川一益のこと?)したというメールを読んで、「共に立てば猿を挟み撃ちに出来た」と悔しがる勝家。いや、あんたが戦を避け続けてたからじゃないの?
勝家がなぜこうまで戦を避けるのか。「戦はイヤ」という三姉妹に戦はしないと約束したからというからお笑いです。お家の大事にかかわることを、娘の感情論に流されて決めているのだからお話になりません。この脚本家が大好きな(というか、それしか理解できない)現代的価値観に当てはめると、「パパ、会社に行かないで遊んで」という娘のために仕事を休み続けて一緒に手芸ですか? それで家族が養えるなら結構なことです。とまぁ、勝家の振る舞いは現代でも十分軽蔑に値しますね。
ま、見た目は大人、中身は子どもの三姉妹が厭戦(反戦ではないと思う)を連呼するのは別に構いません。特に茶々と初は長政の件でPTSD持ちですしね。問題は、それに勝家の行動が制約されていることです。市が娘たちを説得してましたが、そもそも説得する必要すらない。茶々が納得する必要なんてないのです。
さらにあきれたのが、茶々の「父上のお好きになされてくださいませ」というセリフ。彼女は一体何様なんでしょう。お前の許可なんかイラネーよ。
どう見ても、こんな連中が秀吉に勝てるとは思えません。
最後に、そのほかの点を適当に。
オープニングのクレジットにて、柴田家家臣が第8回の1人から3人に増えてる。賤ヶ岳に向けて戦力増強中ですね。
夜の庭にたたずむ勝家のシーンはよかった。けど、挙兵をためらう理由が「雪」や「調略の不調」といった政治的な理由でなかったのは大変残念です。
今週の純喫茶 利休は、気になるキーワードが2つ。まずは「越前がに」。ご存じの通り、これはズワイガニのブランド名ですね。ズワイガニは割と深海に生息しているので、この時代でも取れたんだろうかと疑問に思ってググったところ、1511年の三条西実隆の日記に越前がにの記述があるのだとか。勉強になりました。
「さるかに合戦」は……よく分かりませんでした。安土桃山時代には知られていたのかな?
出陣準備を進める(妙にグラグラ揺れる前立を磨いている)勝家に、天下布武の印章を渡す市。それって、信長アボーン時にバキっと割れたヤツでは……。縁起が悪いような気がするのですが、これも死亡フラグ?
以上。
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第9回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。