NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」 第1回 少年の国
カテゴリ:坂の上の雲
日時:2009/11/30 23:28
坂の上の雲の映像化。期待と不安に身を焦がしながら待ち続けた日が、ついにやってきた。そして、第1回は「期待通り」の出来で不安を一掃してくれた。
原作を非常に大切にした丁寧な作りで、関係者の「いいものを作ろう」という想いが伝わってきた。強いて辛口な批評をするなら、「期待通り」であって「期待以上」ではなかったところか。どのシーンも良くて名場面の連続と評してよいが、心に響くほどの場面となると、なかったような気がする。といいつつ、何度か泣きそうになったわけだが。
そもそも冒頭の渡辺謙のナレーションからヤバい。「ついに始まった!」という想いと相まって涙腺がゆるむ。NHKのドラマ・ガイドによると、第1回以外は同じ文章なのに、録音の使い回しではなく毎回取り直しているのだそうだ。俺に、その違いを受信する能力があるだろうか? 「豆腐ほどのお金をこさえてあげる」とか、師範学校をめぐる県庁での父と好古のやりとりとか、母に「おまえもお死に」と迫られる真之とか、原作の好きな場面が生かされていたのもうれしい。上京した好古のエピソードが丸々カットされていたのは残念だったが。好古の「あしは騎兵にしますらい」ってセリフも好きなんだけどな。何かとぼけてて。
さて、明治16年(1883年)に上京した真之が、共立学校(現開成高校!)で高橋是清に英語を習うわけだが……。西田敏行の抑えた演技がよかった。やはり西田敏行はうまいねぇ。ただ、この時期にしては是清がフケ過ぎてないか? という気がする。高橋是清って、真之と14しか歳が離れてないんだが。しかも好古より5歳上なだけで、1883年だと29歳。日露戦争の戦費調達をやっていたころならともかく、少し若作りメイクした方がいいんじゃないか? にしやん。余談だが、明治16年といえば天璋院が死んだ年だね。
真之がいささかフケた是清たちと見に行った巡洋艦筑紫もかっこよかったねぇ。メイキングでもやっていたが、あのクオリティのCGなら三笠や日本海海戦も期待できるかな? 筑紫は、後に加藤友三郎(日本海海戦時の参謀長)も艦長を務めた艦だね。この時点の新鋭艦も、日ロ戦争時には老朽艦。兵器のライフサイクルが短い時代だ。
この場面、途中までしか行けなかった子規と、桟橋の先まで行った真之が2人の将来の暗示のように思えて泣ける。日露戦争時の2人の立場そのままじゃないか。
ナレーションが多すぎるという意見もあるが、司馬遼太郎の小説の雰囲気をよく表していたし、あの「余談だが」が面白かったりする。司馬遼作品を映像化したら、ああならざるを得ない気がする。また、あのナレーションとともに映る古写真がたまらない。西南戦争のくだりに映し出された武士たちの写真に、また何かがこみ上げてきた。
この調子だと、再来年はZ旗が掲げられただけで目から汁が吹き出て画面が見えなくなりそうだ。
ちなみに、坂の上の雲を見るならBS hiがオススメ。サラウンド放送はこれだけだ。我が家のホームシアターセットは安物だけど、渡辺謙のナレーションに包まれてる感じとか、心地よいよ。好古が馬で帰宅するシーンでは、ちゃんと後ろから馬の足音が聞こえてきたり。日本海海戦は音響も期待できそうだ。
キャスト
主人公と家族
秋山好古(1859-1930):田中祥平→染谷将太→阿部寛
秋山真之(1868-1918):小林廉→本木雅弘
正岡子規(1867-1902):ささの貴斗→香川照之
秋山久敬(1822-1890):伊東四朗
秋山貞(1827-1905):竹下景子
秋山鹿太郎(1853-1916):松村剛雄
秋山寛二郎(1856-1917):高橋平
秋山善四朗(1861-1903):森久保大河
佐久間多美:松たか子
よし:佐々木すみ江
正岡八重(1845-1927):原田美枝子
正岡律(1870-1941):吉田里琴→菅野美穂
大原観山:真実一路
子規関係者
高浜虚子(1874-1959):ささの友間
河東碧梧桐(1873-1937):松川尚瑠輝
政府関係者
高橋是清(1854-1936):西田敏行
松山関係者
園田:徳井優
戒田:上田耕一
富田:笑福亭松之助
原作を非常に大切にした丁寧な作りで、関係者の「いいものを作ろう」という想いが伝わってきた。強いて辛口な批評をするなら、「期待通り」であって「期待以上」ではなかったところか。どのシーンも良くて名場面の連続と評してよいが、心に響くほどの場面となると、なかったような気がする。といいつつ、何度か泣きそうになったわけだが。
そもそも冒頭の渡辺謙のナレーションからヤバい。「ついに始まった!」という想いと相まって涙腺がゆるむ。NHKのドラマ・ガイドによると、第1回以外は同じ文章なのに、録音の使い回しではなく毎回取り直しているのだそうだ。俺に、その違いを受信する能力があるだろうか? 「豆腐ほどのお金をこさえてあげる」とか、師範学校をめぐる県庁での父と好古のやりとりとか、母に「おまえもお死に」と迫られる真之とか、原作の好きな場面が生かされていたのもうれしい。上京した好古のエピソードが丸々カットされていたのは残念だったが。好古の「あしは騎兵にしますらい」ってセリフも好きなんだけどな。何かとぼけてて。
さて、明治16年(1883年)に上京した真之が、共立学校(現開成高校!)で高橋是清に英語を習うわけだが……。西田敏行の抑えた演技がよかった。やはり西田敏行はうまいねぇ。ただ、この時期にしては是清がフケ過ぎてないか? という気がする。高橋是清って、真之と14しか歳が離れてないんだが。しかも好古より5歳上なだけで、1883年だと29歳。日露戦争の戦費調達をやっていたころならともかく、少し若作りメイクした方がいいんじゃないか? にしやん。余談だが、明治16年といえば天璋院が死んだ年だね。
真之がいささかフケた是清たちと見に行った巡洋艦筑紫もかっこよかったねぇ。メイキングでもやっていたが、あのクオリティのCGなら三笠や日本海海戦も期待できるかな? 筑紫は、後に加藤友三郎(日本海海戦時の参謀長)も艦長を務めた艦だね。この時点の新鋭艦も、日ロ戦争時には老朽艦。兵器のライフサイクルが短い時代だ。
この場面、途中までしか行けなかった子規と、桟橋の先まで行った真之が2人の将来の暗示のように思えて泣ける。日露戦争時の2人の立場そのままじゃないか。
ナレーションが多すぎるという意見もあるが、司馬遼太郎の小説の雰囲気をよく表していたし、あの「余談だが」が面白かったりする。司馬遼作品を映像化したら、ああならざるを得ない気がする。また、あのナレーションとともに映る古写真がたまらない。西南戦争のくだりに映し出された武士たちの写真に、また何かがこみ上げてきた。
この調子だと、再来年はZ旗が掲げられただけで目から汁が吹き出て画面が見えなくなりそうだ。
ちなみに、坂の上の雲を見るならBS hiがオススメ。サラウンド放送はこれだけだ。我が家のホームシアターセットは安物だけど、渡辺謙のナレーションに包まれてる感じとか、心地よいよ。好古が馬で帰宅するシーンでは、ちゃんと後ろから馬の足音が聞こえてきたり。日本海海戦は音響も期待できそうだ。
キャスト
主人公と家族
秋山好古(1859-1930):田中祥平→染谷将太→阿部寛
秋山真之(1868-1918):小林廉→本木雅弘
正岡子規(1867-1902):ささの貴斗→香川照之
秋山久敬(1822-1890):伊東四朗
秋山貞(1827-1905):竹下景子
秋山鹿太郎(1853-1916):松村剛雄
秋山寛二郎(1856-1917):高橋平
秋山善四朗(1861-1903):森久保大河
佐久間多美:松たか子
よし:佐々木すみ江
正岡八重(1845-1927):原田美枝子
正岡律(1870-1941):吉田里琴→菅野美穂
大原観山:真実一路
子規関係者
高浜虚子(1874-1959):ささの友間
河東碧梧桐(1873-1937):松川尚瑠輝
政府関係者
高橋是清(1854-1936):西田敏行
松山関係者
園田:徳井優
戒田:上田耕一
富田:笑福亭松之助