NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」 第2回 青雲

カテゴリ:坂の上の雲
日時:2009/12/07 00:13

今回もまた、原作のエピソードを一部は忠実に、一部はうまくアレンジして取り入れており、安心して見ることができた。

ただ、個人的には真之と律のからみはちと冗長に感じた。菅野美穂の演技は非常にすばらしく、第1回の子供っぽさや今回の少し落ち着いた感じなど、うまく演じ分けていた。が、もう少し簡潔でもよかったかな。

さて、今回は明治17年(1884年)の大学予備門入試から。原作にもあるくだりである。小説なら問題のない「幇間-法官」という分かりにくい間違いを映像でどう表現するのやらと思ったが、うまく処理していて楽しめた。外国人の幇間はスターリン岡田真澄かと思った。

多美による合格祝いエピはドラマオリジナル部分。真之の「返してきましょうか」という言い方と動きに笑った。モッくん、いい味出すなぁ。 メッケル登場シーンは、モーゼルワインを条件とした来日のエピソードに児玉源太郎をうまくからめていた。ちなみに、児玉源太郎は時に34歳。俺より年下。非常にオッサンに見えたが、まだ30代前半なんだと自分に言い聞かせながら見る必要があった。まぁ、高橋是清だって今すぐ2・26事件が起こっても不思議じゃないようなフケかただったしね。

そういえば、メッケルも来日時は43歳だったハズ。あまりにもジイさんくさかったので、うっかりモルトケが来てしまったのかと思った。が、どうやら来日時からハゲ&ヒゲだったそうなので、アレでちょうどよいのかも。

メッケルの講義は……怖ぇよ。俺が生徒なら泣いちゃうな。通訳はいい仕事しすぎ。この講義のくだり、ドラマ・ガイドでは「一個師団三千」となっており変だと思っていたが、ドラマでは「一個師団一万」と言っていたので安心した。やはり1個師団が3000ってことはないよなぁ。長岡外史はさすがにまだヒゲ伸ばしてなかったね。後半であのヘンテコなヒゲを生やすんだろうか。的場浩司、かわいそうに……。

寄席や野球、無銭旅行のエピソードは予備門生の青春って感じで普通によかった。また、真之が出て行った部屋での子規のシーンは泣けた。香川照之はこういう演技がうまいから困る。

藤野漸(宝田明)に久松定謨のお供を仰せつかる好古も、無言の中に苦悩がにじみ出ていてよかった。藤野の依頼の仕方が原作よりもマイルドになっていたところが救いか。原作だと、フランス行きが好古にどう影響するかなんて、久松家はまったく考慮していない感じだったからねぇ。が、その後の好古の描写が少々物足りなかった。ナレーションで唐突に「官費留学にきりかえる」と入れられても、それまで私費留学だったこと、そのために好古が困窮していたことなど、原作を読んでいない人にはまったく伝わらなかっただろう。律のエピソードをもう少し削って、「あれではあまりにも哀れ」と軍部内から声が出たほどの好古の困窮っぷりを入れたらよかったのに。

にしても、好古。馬の名前、松風っすか。笑ってしまったじゃないか。

2009/12/10追記:
「秋山家家系図」「秋山 系図」などのキーワードで検索されている方が多いので、秋山氏(伊予松山藩士)なるページを作りました。よろしければどうぞ。

キャスト

主人公と家族
秋山好古(1859-1930):阿部寛
秋山真之(1868-1918):本木雅弘
正岡子規(1867-1902):香川照之

秋山久敬(1822-1890):伊東四朗
秋山貞(1827-1905):竹下景子
佐久間多美:松たか子
よし:佐々木すみ江

正岡八重(1845-1927):原田美枝子
正岡律(1870-1941):吉田里琴→菅野美穂

子規関係者
夏目漱石(1867-1916):小澤征悦

海軍関係者
広瀬武夫(1868-1904):藤本隆宏

陸軍関係者
児玉源太郎(1852-1906):高橋英樹
井口省吾(1854-1924):堤大二郎
藤井茂太(1860-1945):宮内敦士
長岡外史(1858-1937):的場浩司

松山関係者
藤野漸:宝田明
園田:徳井優

外国人
メッケル(1842-1906):ノーベルト・ゴート

そのほか
竹本都:水野貴以
山田美妙(1868-1910):中野雄一