大河ドラマ「平清盛」 第34回 白河院の伝言 感想
カテゴリ:平清盛
日時:2012/09/02 21:53
今回の見所は、新撮の白河院と舞子による清盛エピソード0。伊東四郎の存在感はさすがです。危篤状態の清盛が見る夢(エピソード0)と、清盛の危篤によって揺さぶられる現実の各陣営が交互に語られる構造になっており、一歩間違えると『花の乱』第1回のようなとっちらかった感じになるところでしたが、ギリギリで踏みとどまった感じです。まぁ、『花の乱』の場合は登場人物が確立していない第1回でやらかしたのが分かりにくさの原因ですが。
また、危篤状態の主人公の夢に故人が現れる話なので、『毛利元就』悪夢の最終回(霊界コント)再びかと思いましたが、杞憂でした。よかったよかった。
清盛の危篤で揺さぶられた各陣営の思惑が明瞭化していくところは、なかなか面白い。後半に向けてこのギスギスっぷりが生かされるなら期待が持てます。 というわけで、物語は前回のラスト(仁安3年)の直後から。寸白(条虫や回虫などの寄生虫)により危篤状態の清盛。ここでも登場の万能薬「宋の薬」。盛国の手元にあるものではダメなので博多から取り寄せねばならないとのこと。劇中でやたらと期待が高いものの、一度として誰かを助けたことがない「宋の薬」。
そして、時子が重盛に棟梁代行指名。フカキョン、キャスト発表時は「フカキョンが二位尼かよ!」と絶望したものの、予想よりも頑張ってる気がします。ここは、微妙な表情のムネムネがよろしい。
が、トラブルメーカー時忠がまたも動きます。ムネムネに、イザとなったらそなたが棟梁となれとたきつけます。それを聞きつけたしなめる時子。微妙な空気が流れる中、それに気付きつつムネムネに再度命令を下す重盛。生母が異なる重盛と宗盛の間のわずかな溝が、ついに具象化してしまった瞬間。この、互いに意識しないようにしていた溝がどうてんかいするのか。重盛が早死にしなかったら、結構面白いことになったのですがねぇ。
平家サイドのエピとしては、時子が一門の女に下していた訓令もありました。ドラマでは唐突感がありましたが、ノベライズによるとあのエピは盛子の見舞いに発しているようです。清盛の容態を聞き動揺する盛子に、
時子「嘆いておるときではない。そなたは亡き基実様の妻として、その膨大な摂関家領を預かる者。何があってもその責務をまっとうせよ」
と語り、その続きとして
時子「我ら平家一門の女には、大きなつとめが課せられている。(略)」
というドラマで使われたセリフが続くのです。カットにより、盛子の重要性が視聴者に伝わらなくなってしまいましたね。
ノベライズのみにあるエピとしては、時忠にそそのかされた宗盛が、重盛の下知に従わず、
宗盛「兄上(重盛)はただの先妻の子。正妻である母上の子である私こそが棟梁」
という、決定的なセリフを吐いちゃったりしてます。これを言ったらもうお終い、という感じですが、このセリフがあったればこそ、ラストの重盛の「なにごともなく」が生きるとも言えます。
朝廷サイドでは、基房と八条院、以仁王が結託。利害が一致してうれしそうな3人ですが、兼実は微妙な表情で無言。必ずしも3人とは思惑が一致していない感じなところが興味深い。
後白河上皇サイドでは、後白河の背中に謎のできもの。形が何かに似ていると言い出す滋子ですが……そう? その後、サイコロに似ているってことになりますが……そう?
で、清盛の容体を聞き動揺する後白河。なんだかんだ言って、好きなのね。
この状況が面白くない西光。
西光「成り上がりの無頼者一匹、死のうが生きようがこの国の先行きに何のかかわりがあろうか」「亡きわが主信西のような志高き政ができるとは到底思えませぬ」
と、すっかりアンチ清盛化。信西の下での同僚から頼朝の処遇を巡る不満まで、丁寧にアンチ化の過程を描いているので納得感はあります。
その西光に異を唱える成親。
成親「志などなくとも政はできましょう。政になにより欠かせぬは財力。今や摂関家をしのぐ財をお持ちになる清盛様は、やはり国を動かす器をお持ちと言わざるを得ますまい」
ここで終わらないところが成親の深さ。
成親「今死なれては、何のためにわが妹を重盛様の妻としたか分かりませぬ」
黒い! 素晴らしい。いいぞ、成親。
院近臣の間でも異なる思惑がうごめいているところが面白い。ただ、鹿ヶ谷に向けては成親にはもうワンステップ必要な感じです。西光は今すぐでも陰謀に荷担する要素満載ですが。
源氏サイドにも波紋が波及。頼政は、平家からの離反に含みを持たせる発言。
頼政「平家の繁栄は相国清盛様あってのこと。万一、身罷られることあらば……。そこに隙が生じよう。そのときには……」
で、以仁王の令旨に乗るわけですね。言動一致、結構なことです。
前回、「ナレがうつになりまして」状態だったナレ朝さんはというと、まだ鬱りっぱなし。
各陣営のエピが語られる合間に挿入される、清盛の夢。最初期は永久5年(1117年)の夏の光景。白河院に身ごもったことを伝える舞子。
白河院「わしの子を身ごもるとは。青墓の白拍子ふぜいが、なかなかよい目を出したものじゃな」
続く場面は元永元年(1118年)。舞子に青墓に帰ろうと諭す祇園女御。ドラマでは、それに答える舞子のセリフがカットされていました。
舞子「私はただの白拍子としてこの一生を終える気はござりませぬ。もっともっと、違う景色を見てみたい。そう思うだけで、体がうずうずとして参ります」
妊娠報告のときの表情にも垣間見えましたが、意外に野心家の一面もあったようです。
そして、たまちゃんの病から一転。「よい目」を出したはずが、「禍の種」へ。そして第1回へ。舞子の死の場面で忠盛から清盛にチェンジ。白河院との直接対話にスムーズにつなげていてお見事。
清盛が目覚めると、手の中には2つのサイコロ。後白河の背にあったサイコロに似たできもの(似てた?)は消滅。
う……ん……。
というわけで、清盛復活。ま、彼が死ぬのは(数え)64歳ですからね。50歳で死にゃしません。
キタない政子は……どうでもいいや。第1回の、あのイッパイイッパイでムリムリな発声、男みたいな跪き方とか、この政子には何にも期待してません。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第34回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
また、危篤状態の主人公の夢に故人が現れる話なので、『毛利元就』悪夢の最終回(霊界コント)再びかと思いましたが、杞憂でした。よかったよかった。
清盛の危篤で揺さぶられた各陣営の思惑が明瞭化していくところは、なかなか面白い。後半に向けてこのギスギスっぷりが生かされるなら期待が持てます。 というわけで、物語は前回のラスト(仁安3年)の直後から。寸白(条虫や回虫などの寄生虫)により危篤状態の清盛。ここでも登場の万能薬「宋の薬」。盛国の手元にあるものではダメなので博多から取り寄せねばならないとのこと。劇中でやたらと期待が高いものの、一度として誰かを助けたことがない「宋の薬」。
そして、時子が重盛に棟梁代行指名。フカキョン、キャスト発表時は「フカキョンが二位尼かよ!」と絶望したものの、予想よりも頑張ってる気がします。ここは、微妙な表情のムネムネがよろしい。
が、トラブルメーカー時忠がまたも動きます。ムネムネに、イザとなったらそなたが棟梁となれとたきつけます。それを聞きつけたしなめる時子。微妙な空気が流れる中、それに気付きつつムネムネに再度命令を下す重盛。生母が異なる重盛と宗盛の間のわずかな溝が、ついに具象化してしまった瞬間。この、互いに意識しないようにしていた溝がどうてんかいするのか。重盛が早死にしなかったら、結構面白いことになったのですがねぇ。
平家サイドのエピとしては、時子が一門の女に下していた訓令もありました。ドラマでは唐突感がありましたが、ノベライズによるとあのエピは盛子の見舞いに発しているようです。清盛の容態を聞き動揺する盛子に、
時子「嘆いておるときではない。そなたは亡き基実様の妻として、その膨大な摂関家領を預かる者。何があってもその責務をまっとうせよ」
と語り、その続きとして
時子「我ら平家一門の女には、大きなつとめが課せられている。(略)」
というドラマで使われたセリフが続くのです。カットにより、盛子の重要性が視聴者に伝わらなくなってしまいましたね。
ノベライズのみにあるエピとしては、時忠にそそのかされた宗盛が、重盛の下知に従わず、
宗盛「兄上(重盛)はただの先妻の子。正妻である母上の子である私こそが棟梁」
という、決定的なセリフを吐いちゃったりしてます。これを言ったらもうお終い、という感じですが、このセリフがあったればこそ、ラストの重盛の「なにごともなく」が生きるとも言えます。
朝廷サイドでは、基房と八条院、以仁王が結託。利害が一致してうれしそうな3人ですが、兼実は微妙な表情で無言。必ずしも3人とは思惑が一致していない感じなところが興味深い。
で、清盛の容体を聞き動揺する後白河。なんだかんだ言って、好きなのね。
この状況が面白くない西光。
西光「成り上がりの無頼者一匹、死のうが生きようがこの国の先行きに何のかかわりがあろうか」「亡きわが主信西のような志高き政ができるとは到底思えませぬ」
と、すっかりアンチ清盛化。信西の下での同僚から頼朝の処遇を巡る不満まで、丁寧にアンチ化の過程を描いているので納得感はあります。
その西光に異を唱える成親。
成親「志などなくとも政はできましょう。政になにより欠かせぬは財力。今や摂関家をしのぐ財をお持ちになる清盛様は、やはり国を動かす器をお持ちと言わざるを得ますまい」
ここで終わらないところが成親の深さ。
成親「今死なれては、何のためにわが妹を重盛様の妻としたか分かりませぬ」
黒い! 素晴らしい。いいぞ、成親。
院近臣の間でも異なる思惑がうごめいているところが面白い。ただ、鹿ヶ谷に向けては成親にはもうワンステップ必要な感じです。西光は今すぐでも陰謀に荷担する要素満載ですが。
源氏サイドにも波紋が波及。頼政は、平家からの離反に含みを持たせる発言。
頼政「平家の繁栄は相国清盛様あってのこと。万一、身罷られることあらば……。そこに隙が生じよう。そのときには……」
で、以仁王の令旨に乗るわけですね。言動一致、結構なことです。
前回、「ナレがうつになりまして」状態だったナレ朝さんはというと、まだ鬱りっぱなし。
各陣営のエピが語られる合間に挿入される、清盛の夢。最初期は永久5年(1117年)の夏の光景。白河院に身ごもったことを伝える舞子。
白河院「わしの子を身ごもるとは。青墓の白拍子ふぜいが、なかなかよい目を出したものじゃな」
続く場面は元永元年(1118年)。舞子に青墓に帰ろうと諭す祇園女御。ドラマでは、それに答える舞子のセリフがカットされていました。
舞子「私はただの白拍子としてこの一生を終える気はござりませぬ。もっともっと、違う景色を見てみたい。そう思うだけで、体がうずうずとして参ります」
妊娠報告のときの表情にも垣間見えましたが、意外に野心家の一面もあったようです。
そして、たまちゃんの病から一転。「よい目」を出したはずが、「禍の種」へ。そして第1回へ。舞子の死の場面で忠盛から清盛にチェンジ。白河院との直接対話にスムーズにつなげていてお見事。
清盛が目覚めると、手の中には2つのサイコロ。後白河の背にあったサイコロに似たできもの(似てた?)は消滅。
う……ん……。
というわけで、清盛復活。ま、彼が死ぬのは(数え)64歳ですからね。50歳で死にゃしません。
キタない政子は……どうでもいいや。第1回の、あのイッパイイッパイでムリムリな発声、男みたいな跪き方とか、この政子には何にも期待してません。
・大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
・大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第34回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。