大河ドラマ「平清盛」 第3回 源平の御曹司

カテゴリ:平清盛
日時:2012/01/22 23:10

今回も、厨二病真っ盛りの清盛が繰り広げるイタいエピソードの数々。本人には一応イタい主張があるわけですが、周りの大人(一部年下)にフルボッコされるという展開は「風林火山」序盤の山本勘助を思い起こさせます。次回以降も当面は「ダメな子」状態が続くのですが、後半にちゃんと成長が見られるのであれば、これもまたよいでしょう。

では本題。今回は長承元年(1132年)平次(家盛)元服からスタート。この子はイイ子ですから、普通の元服式でした。

一方、3年前に「屈強なガチムチ男に押さえつけられて力ずくで大人にされた青盛清盛はというと、西海で海賊退治稼業。数え15歳のガキ+4人にボコられる海賊って、どうなんでしょ。昔は農民だって気が荒いし多少の自衛力くらいありましたからねぇ。悪ガキ5人衆で勝てるくらいなら農民が自力で撃退しちゃいそう。 「平家一門のおかげで」検非違使から放免された青盛。ここで唐突に義朝登場。出てくるなり「俺と勝負せい」です。青盛から見たらこの義朝は相当キモいでしょ。絶対かかわっちゃいけないタイプです。目を合わせたり話をしちゃダメというか。

青盛「誰なんだ、お前は」
義朝「八幡太郎義家の(中略)、ダメ義が嫡男・義朝」
青盛「知らぬ!」

青盛の反応は当然ですな。

このとき、義朝は数え10歳(満8~9歳)。対する青盛は15歳(同13~14歳)。役者との年齢ギャップはどうでもいいのですが、年齢と言動のギャップは多少気になるところ。少年時代の5歳差は圧倒的で、まさに「越えられない壁」。この壁を意にせず勝負を挑む義朝は大したヤツかも(脚本が年齢を考慮してないだけでしょうが)。

孫の頼朝にもdisられる残念なダメ義さんは、義朝を北面の武士へ推挙してくれるよう家成に懇願。が、家成は鳥羽院に青盛を推挙します。しかし、普通(?)にしゃべる役の佐藤二朗って新鮮だなぁ。でも微妙に味があるので、意外性のある家成ができるかもしれません。

北面に誰を取り立てるかを決める鳥羽院は、璋ちゃんとフリートーク。璋ちゃんの天然炸裂に激怒します。璋ちゃんの天然爆弾は、後に出てくる得ちゃんにも炸裂することになります。悪意を一切持たない、心がほぼ空に近い璋ちゃんに悪意や感情を向けても、素通りするか跳ね返されるだけ。なかなかやっかいな人物です。今後ある人物が璋ちゃんに感情を持たせるわけですが、この「感情」に戸惑うあたりを演じるのは大変そうだ。

鳥羽院は璋ちゃんにブチ切れて退出してしまい、義朝目通りをドタキャン。ダメ義さんショーック。さらに、家成から北面には青盛が取り立てられると知らされ、義朝ショーック。

市中で再び青盛にくってかかる俺さま義朝さま。「北面にならぬとはどういうことだ」っていきなりつかみかかられてもねぇ。

青盛「何なのだ」

いやまったく、その通り。苦情ストーカー状態です。

第3回のタイトルやストーカー義朝のセリフの「御曹司」には違和感がありますが、まぁ現代語の「いいとこの坊ちゃん」程度の意味で使っていると脳内補完しましょう。

「平家の公達(きんだち)」「源氏の御曹司」のように源平で用語を使い分けたりしますが、「公達」は本来、王や摂家・清華家の子弟を指す言葉なので、平家に使う場合は清盛が太政大臣になった後の、清盛の子や孫に使うべきでしょう。この時点では忠盛は昇殿も許されぬ下級貴族で、清盛は公達と呼ばれるような身分ではありません。

一方の「御曹司」は、本来嫡男以外の部屋住みに使う言葉。義経などに使うのは違和感がないのですが、嫡男義朝を御曹司と呼ぶのは、実はちと変のような……。

国松らの青盛郎党の一件が平家に対する検非違使の疑いを招いたことから、「1人でできるもん」的なイタい青盛がフルボッコ。実は平家一門に守られていたことを思い知らされ涙します。宗子の「青盛は私の子です」もよかったですね。

いたたまれなくなり屋敷を飛び出した青盛は、5歳も年下の俺さま義朝さまと乗馬で勝負し落馬。年下にまでボコられヘコみまくる青盛。中学生が小学生に負けたら、そりゃヘコみますな。

こうして、少し成長した青盛は北面になることを受け入れ、鳥羽院の御前に参上します。う~ん、北面になっても何かキタないな。

以上、3回まで見てきて感じたのは、脚本的には嫌いではないな、ということです。話題の「王家」呼称や院の前での舞子殺しなどいろいろと変なところはありますが、平安末期をドラマ用にデフォルメ&単純化によるものとしては受け入れ可能なレベル(個人的には)。

一方、演出は嫌い。基本的にはもうコーンスターチについては云々しないつもりですが、何を表現したいのか全く不明で、評価できません。カメラワークも嫌い。人物のアップ多用はまあいいのですが、手ブレが酷い。動きのある場面では臨場感がでるのかもしれませんが、静止している人物のアップがブルブル震えるってどうなの? カメラも満足に保持できないアル中ジジイがカメラマンやってるんですか? 意図的なのかヘタくそなのかもよく分からないピンボケ多用も見にくいだけ。忠盛にかみつく青盛のシーンなんか、画面がボケっぱなしで青盛の顔にピンが合ったのはほんの一瞬だけ。何がしたいの?

まぁ、ちゃんと理由や意図がある演出を私が理解できないだけなのかもしれませんが。

大河ドラマ「平清盛」キャスト(配役)
大河ドラマ「平清盛」 主要人物年齢年表
も第3回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。