大河ドラマ「真田丸」 第25回 別離 感想
カテゴリ:真田丸
日時:2016/06/26 22:53
今回は、「利休の祟り」をキーワードに、鶴松の危篤~死亡(現在)と利休の切腹の謎(過去)をリンクさせて行き来するという、複雑ではないが忙しい展開。薫と片桐且元の薬つくりをサイドストーリーとして展開させつつ、豊臣家の変化(秀長死亡、秀次の覚悟完了、鶴松の死)が描かれます。
場面は天正19年(1591年)8月4日あるいは日付が変わった5日の淀城。病床のお捨改め鶴松に見舞客が大挙訪問。真田信繁と平野長泰は客の選別を石田三成と大谷吉継に命じられます。そして、鶴松が「今夜が山田」状態であることを知らされます。
すると、利休の祟りではないかといううわさがあると言い出す長泰。この人、すっかりうわさ好きキャラを確立しました。というか、祟りって……ああ、切腹は2月でしたね。鉛ネタでフラグを立てておきながらスルーですか。と思ったら違いました。
そして回想スタート。三成たちは信繁が見つけた鉛の件を利休に問いただします。すると、豊臣秀吉からの信頼が厚いことを盾に、平然とする利休。そこで病身の豊臣秀長に対応を依頼します。
秀長「どうやら、これが最後のご奉公になりそうだ」 秀長さんが死ぬのはこの年の1月ですからねぇ(泣)。この人が長生きしてたら歴史が変わったなぁ。
そして秀長が秀吉に、渾身の諫言。出番は少なかったけれども、すばらしい演技。今回でおしまいとは残念ですが、仕方がありません。いい秀長を見せていただいたと感謝します。
1月22日、大和大納言秀長死亡。
場面は再び8月4、5日夜。吉継は早くも鶴松の葬儀の手配を始めます。三成よりさらにドライな吉継というのも何だか新鮮。私が知らないだけで、そういうキャラ付けの小説はあるかもしれませんが。
そして再び回想。今度は三成と吉継が大徳寺を訪問した場面です。大徳寺といえば、山門に設置された利休の木造!
「利休像をもてあましている」というのが笑えます。一体、なぜこんなモノを置くことになったのやら。
利休像を利用して策をめぐらせる吉継。ここも、三成は謀略に消極的で、吉継の方が利休の追い落としに積極的かつ陰謀を用いることに躊躇がないという体裁。このあたり、三成が主体的に動いているようなドラマや小説も多いのでちょっと新鮮です。大河だと、三成は絶対出てくるけど吉継は省略されがちであるという面もありますが。
こうして、山門の木造の件を持ち出して秀吉に讒言する吉継と三成。ここでようやく秀吉が利休に不信感を持ちます。ここでは、三成が提案した蟄居で落着。
裁定を利休に伝える三成一行。すると、吉継が「蟄居の半月ののち、切腹を申しつける」と言い出します。あれ?
吉継のセリフを聞いたときの三成と信繁の表情から見て、切腹は吉継の独断専行という筋書きのようです。このドラマの吉継は思い切ったことをするなぁ。
これで利休ネタは終わりかと思ったら、蟄居後の利休と信繁の会話シーン開始。利休ネタをえらく引っ張るなぁ。この利休は大して魅力的でもなく深みもないので、北条にも鉛を売っていた罪を問われて切腹されられちゃったね、終わり。でもよかったんだけど。
それにしても、この利休が「業が深い」と言うと妙に納得してしまいます。中の人の業がにじみ出ているからでしょうか。そしてまた、なぜあんな巨大な木造などという間抜けなモノをこしらえて山門に置いたのか。
利休「ひと言で言えば、宿命(さだめ)や」
と、チェリーのようなことを言い出します。意味深な笑いが謎を深めます。
場面は再び8月に戻ります。淀城に、真田昌幸が見舞いに参上。薫が薬草(木?)を献上し、且元と薫が煎じ薬を作ることに。こ、これはギャグシーンの予感……。
ここで場面は沼田城。真田信幸の苦労が語られます。矢沢頼綱は城主の信幸に無断で堀を拡張し、領民のために使うはずの金と人を散財。嘆く信幸ですが、うっかり触った隠し扉のせいで閉め出される始末。稲は相変わらず心を許すそぶりもなく、信幸はこうの下へ……。まあ、そうなるわな。
上田城では、ヒゲ誠が真田に帰参して岩櫃城主になることがさらっと描かれます。
再び淀城。大蔵卿局から、茶々が利休の祟りを心配していると聞かされる信繁。
そしてまた回想シーンに突入。今回は忙しいな。
利休を父のように慕う茶々が、小さな利休像を要求。それに応じた利休ですが、発注ミスで等身大のような間抜けな巨像が納品された、と。どう間違ったらそうなるんだ。単位を一桁間違えたという感じでしょうか。
こんな巨像はいらないという茶々。困惑する利休。そして、茶々が「大徳寺に置いてはどうか」と提案した、と。ああ、茶々のせいだったのか。
これを聞いたきりが、ナチュラルに人を不幸にする茶々が怖いと言い出します。お市譲りのサゲマンっぷりを見事に言い当てています。
その後も見舞客が次々にやってきます。今度は加藤清正と福島正則が登場。鶴松の病平癒祈願の水ごりにつきあえと三成を誘いますが、三成はあっさり拒否。以前、「お前にはハートがねぇんだよ」と三成にブチ切れていた清正ですが、誘いに来るあたり、まだ決定的な決裂には至っていないようです。けど三成が断っちゃって、また清正のアンチ三成ポイントが加算されてしまいました。
が、清正たちが水ごりしていると、三成がやってきて参戦。今回も、三成と清正の関係はギリギリ保てた模様です。両者の微妙な関係は意外に面白い。仲良し過ぎないのがまたいい。が、結局は決裂してしまうことに。三谷は一体いつ何を使って関係を悪化させるのでしょうか。
さらに、徳川家康が見舞いに参上。関係者に夜食を差し入れます。家康はこの後、淀城内で冷徹に豊臣を観察します。
三成は、豊臣ミーティングを開催。水ごりの後だけに、ちゃんと髪が乱れていたりします。豊臣秀次、豊臣秀勝、豊臣秀保、宇喜多秀家(秀吉の養子)、豊臣秀俊(小早川秀秋)の5人。秀勝と秀保は顔を覚えるいとまもなし。秀家は知ってるぞ。男闘呼組の人だ。岡本健一も出るけど、ドラマ上での対面はあるのか……。チャンスがあるのは関ヶ原前後くらい。後は、秀家に「八丈島より泳いでまいった」してもらうしかなさそうです。
浅利陽介は既に秀秋専用役者なので、特に混乱はありません。
鶴松の容体を知らされ、後継者としての覚悟が芽生えてきた秀次さん。きりに「この先ずっと私のそばにいてはくれぬか」と告ります。次期関白の側室という、当時考え得る最高の玉の輿話です。もっとも、三条河原での処刑付きという死亡フラグですが。
あっさり断らず、「このような場でお話すべきことでは」と保留にするあたり、ちょっと揺れちゃう女心、というところでしょうか。ちっともヤキモキしませんが。
そして今回のサイドストーリーである薫と且元の薬作りエピも回収のときを迎えます。且元が煮出し汁を捨ててしまったため、わずかに残った薬草でこさえた煎じ薬が完成。ミョウバンの結晶のような妙なシロモノですが、そこは気にしないことにします。
それを昌幸がひょいと味見。「あっ!」て顔の且元と薫。
薫「殿……。今食べたのが全てでございっます」
昌幸「えっ?」
薫「いろいろございまして」
昌幸「わしが元気になってどうするんじゃ!」
全くだ。
一方、鶴松は容態が急変。ふらりと立ち上がった秀吉は、病室を離れて鶴松のプレイルームでおもちゃを呆然と眺めます。ああ、子を持つ親として、ここは何か分かります。
ネガティブになった秀吉に、「今はよいことだけを考えましょう」と、未来の話を始めます。鶴松の元服後の名前はどうするか。「やはり藤吉郎ですか」って、それは通称だから元服前に名乗ってもいいんだが。「元服後の名前」なら、普通は諱だろ。
鶴松が決して手に入れることができない将来の展望を語る秀吉が切ない。
そして8月5日未明、鶴松死亡。鶴松の遺体にでんでん太鼓を聞かせる秀吉が切ない。2歳(数え3歳)。かわいい盛りです。「楽しい思いをさせたかった」と思うよね。と、感情移入してしまうひとときでした。
茶々は、感情を封印しているかのように無表情で廊下にさまよい出ます。そんな茶々を抱きしめる北政所。このドラマの北政所も非常に魅力的で、こんな聖母のような北政所と茶々の関係がどう変化していくのか、実に興味深いところです。
さて、次回は朝鮮出兵&名護屋コスプレパーティーのようですね。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
場面は天正19年(1591年)8月4日あるいは日付が変わった5日の淀城。病床のお捨改め鶴松に見舞客が大挙訪問。真田信繁と平野長泰は客の選別を石田三成と大谷吉継に命じられます。そして、鶴松が「今夜が山田」状態であることを知らされます。
すると、利休の祟りではないかといううわさがあると言い出す長泰。この人、すっかりうわさ好きキャラを確立しました。というか、祟りって……ああ、切腹は2月でしたね。鉛ネタでフラグを立てておきながらスルーですか。と思ったら違いました。
そして回想スタート。三成たちは信繁が見つけた鉛の件を利休に問いただします。すると、豊臣秀吉からの信頼が厚いことを盾に、平然とする利休。そこで病身の豊臣秀長に対応を依頼します。
秀長「どうやら、これが最後のご奉公になりそうだ」 秀長さんが死ぬのはこの年の1月ですからねぇ(泣)。この人が長生きしてたら歴史が変わったなぁ。
そして秀長が秀吉に、渾身の諫言。出番は少なかったけれども、すばらしい演技。今回でおしまいとは残念ですが、仕方がありません。いい秀長を見せていただいたと感謝します。
1月22日、大和大納言秀長死亡。
場面は再び8月4、5日夜。吉継は早くも鶴松の葬儀の手配を始めます。三成よりさらにドライな吉継というのも何だか新鮮。私が知らないだけで、そういうキャラ付けの小説はあるかもしれませんが。
そして再び回想。今度は三成と吉継が大徳寺を訪問した場面です。大徳寺といえば、山門に設置された利休の木造!
「利休像をもてあましている」というのが笑えます。一体、なぜこんなモノを置くことになったのやら。
利休像を利用して策をめぐらせる吉継。ここも、三成は謀略に消極的で、吉継の方が利休の追い落としに積極的かつ陰謀を用いることに躊躇がないという体裁。このあたり、三成が主体的に動いているようなドラマや小説も多いのでちょっと新鮮です。大河だと、三成は絶対出てくるけど吉継は省略されがちであるという面もありますが。
こうして、山門の木造の件を持ち出して秀吉に讒言する吉継と三成。ここでようやく秀吉が利休に不信感を持ちます。ここでは、三成が提案した蟄居で落着。
裁定を利休に伝える三成一行。すると、吉継が「蟄居の半月ののち、切腹を申しつける」と言い出します。あれ?
吉継のセリフを聞いたときの三成と信繁の表情から見て、切腹は吉継の独断専行という筋書きのようです。このドラマの吉継は思い切ったことをするなぁ。
これで利休ネタは終わりかと思ったら、蟄居後の利休と信繁の会話シーン開始。利休ネタをえらく引っ張るなぁ。この利休は大して魅力的でもなく深みもないので、北条にも鉛を売っていた罪を問われて切腹されられちゃったね、終わり。でもよかったんだけど。
それにしても、この利休が「業が深い」と言うと妙に納得してしまいます。中の人の業がにじみ出ているからでしょうか。そしてまた、なぜあんな巨大な木造などという間抜けなモノをこしらえて山門に置いたのか。
利休「ひと言で言えば、宿命(さだめ)や」
と、チェリーのようなことを言い出します。意味深な笑いが謎を深めます。
場面は再び8月に戻ります。淀城に、真田昌幸が見舞いに参上。薫が薬草(木?)を献上し、且元と薫が煎じ薬を作ることに。こ、これはギャグシーンの予感……。
ここで場面は沼田城。真田信幸の苦労が語られます。矢沢頼綱は城主の信幸に無断で堀を拡張し、領民のために使うはずの金と人を散財。嘆く信幸ですが、うっかり触った隠し扉のせいで閉め出される始末。稲は相変わらず心を許すそぶりもなく、信幸はこうの下へ……。まあ、そうなるわな。
上田城では、ヒゲ誠が真田に帰参して岩櫃城主になることがさらっと描かれます。
再び淀城。大蔵卿局から、茶々が利休の祟りを心配していると聞かされる信繁。
そしてまた回想シーンに突入。今回は忙しいな。
利休を父のように慕う茶々が、小さな利休像を要求。それに応じた利休ですが、発注ミスで等身大のような間抜けな巨像が納品された、と。どう間違ったらそうなるんだ。単位を一桁間違えたという感じでしょうか。
こんな巨像はいらないという茶々。困惑する利休。そして、茶々が「大徳寺に置いてはどうか」と提案した、と。ああ、茶々のせいだったのか。
これを聞いたきりが、ナチュラルに人を不幸にする茶々が怖いと言い出します。お市譲りのサゲマンっぷりを見事に言い当てています。
その後も見舞客が次々にやってきます。今度は加藤清正と福島正則が登場。鶴松の病平癒祈願の水ごりにつきあえと三成を誘いますが、三成はあっさり拒否。以前、「お前にはハートがねぇんだよ」と三成にブチ切れていた清正ですが、誘いに来るあたり、まだ決定的な決裂には至っていないようです。けど三成が断っちゃって、また清正のアンチ三成ポイントが加算されてしまいました。
が、清正たちが水ごりしていると、三成がやってきて参戦。今回も、三成と清正の関係はギリギリ保てた模様です。両者の微妙な関係は意外に面白い。仲良し過ぎないのがまたいい。が、結局は決裂してしまうことに。三谷は一体いつ何を使って関係を悪化させるのでしょうか。
さらに、徳川家康が見舞いに参上。関係者に夜食を差し入れます。家康はこの後、淀城内で冷徹に豊臣を観察します。
三成は、豊臣ミーティングを開催。水ごりの後だけに、ちゃんと髪が乱れていたりします。豊臣秀次、豊臣秀勝、豊臣秀保、宇喜多秀家(秀吉の養子)、豊臣秀俊(小早川秀秋)の5人。秀勝と秀保は顔を覚えるいとまもなし。秀家は知ってるぞ。男闘呼組の人だ。岡本健一も出るけど、ドラマ上での対面はあるのか……。チャンスがあるのは関ヶ原前後くらい。後は、秀家に「八丈島より泳いでまいった」してもらうしかなさそうです。
浅利陽介は既に秀秋専用役者なので、特に混乱はありません。
鶴松の容体を知らされ、後継者としての覚悟が芽生えてきた秀次さん。きりに「この先ずっと私のそばにいてはくれぬか」と告ります。次期関白の側室という、当時考え得る最高の玉の輿話です。もっとも、三条河原での処刑付きという死亡フラグですが。
あっさり断らず、「このような場でお話すべきことでは」と保留にするあたり、ちょっと揺れちゃう女心、というところでしょうか。ちっともヤキモキしませんが。
そして今回のサイドストーリーである薫と且元の薬作りエピも回収のときを迎えます。且元が煮出し汁を捨ててしまったため、わずかに残った薬草でこさえた煎じ薬が完成。ミョウバンの結晶のような妙なシロモノですが、そこは気にしないことにします。
それを昌幸がひょいと味見。「あっ!」て顔の且元と薫。
薫「殿……。今食べたのが全てでございっます」
昌幸「えっ?」
薫「いろいろございまして」
昌幸「わしが元気になってどうするんじゃ!」
全くだ。
一方、鶴松は容態が急変。ふらりと立ち上がった秀吉は、病室を離れて鶴松のプレイルームでおもちゃを呆然と眺めます。ああ、子を持つ親として、ここは何か分かります。
ネガティブになった秀吉に、「今はよいことだけを考えましょう」と、未来の話を始めます。鶴松の元服後の名前はどうするか。「やはり藤吉郎ですか」って、それは通称だから元服前に名乗ってもいいんだが。「元服後の名前」なら、普通は諱だろ。
鶴松が決して手に入れることができない将来の展望を語る秀吉が切ない。
そして8月5日未明、鶴松死亡。鶴松の遺体にでんでん太鼓を聞かせる秀吉が切ない。2歳(数え3歳)。かわいい盛りです。「楽しい思いをさせたかった」と思うよね。と、感情移入してしまうひとときでした。
茶々は、感情を封印しているかのように無表情で廊下にさまよい出ます。そんな茶々を抱きしめる北政所。このドラマの北政所も非常に魅力的で、こんな聖母のような北政所と茶々の関係がどう変化していくのか、実に興味深いところです。
さて、次回は朝鮮出兵&名護屋コスプレパーティーのようですね。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
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