大河ドラマ「真田丸」 第19回 恋路 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/05/15 22:37

今回は、茶々が秀吉の側室になるというお話。が、秀吉の口説き文句や茶々の感情、茶々と信繁の関係は、最終回を暗示しているという結構重い内容です。第19回のエピソードがどう決着するのかは、最終回まで分からないのです。

ではドラマスタート。前回の、真田信繁豊臣秀吉に直訴する機会を作ったアシスト料として、茶々に連れ出される信繁。行き先は、秀吉が立ち入りを禁じた蔵。一体そこには何があるのでしょう?

開けてみると、何の変哲もない武具蔵。茶々は、戦国の世ではありふれた不幸話を始めます。確かに十分不幸な生い立ちですが……茶々が嫌いな私としては、それでも殺されたり遊女に落とされたりせず、衣食住何の不自由もなく暮らせてよかったね、と思ってしまうのでした。

一方、秀吉。

秀吉「茶々に惚れてしもうた」
寧「誰の膝の上か分かってますか?」

お寧に膝枕されながらこんなこと言っちゃうところが秀吉らしい。それどころか、「かかならどうする?」と茶々の攻略方法を聞く始末。イラっとするのを通り越してあきれつつも相手をしてやるお寧様、さすがです。

駿府城では、徳川家康が策謀を練り始めます。真田を信じ切れない家康は、真田の動きを逐一報告する間者を送り込むことに。その間者として、本多忠勝の娘稲を要求します。 真田信幸と稲の縁組みは、諸説あって意外にハッキリしません。俗説の1つに、忠勝が信幸の武勇を見込んだというものがあります。また、ドラマで語られたような意図がどれほどあったかはともかく、徳川と真田の関係を深めるために家康が主導したというもの。さらに、秀吉の仲介によるものという説もあります。婚約や輿入れの時期も明確でないなど、有名武将同士の縁組みでありながら想像の余地が多い婚姻です。

実は、沼田城に入ろうとした真田昌幸・信繁親子を追い返したという小松姫(稲)最大のエピソードも史実性は怪しかったり(普通なら、正室である小松姫は大坂にいるはず)して、ドラマがこの小松姫の見せ場をどう料理するのか楽しみです。

史実はともかく、家康の決定に従わざるを得ない忠勝は、信幸を見掛けて接近。信幸が用を足している背後でにらみつけます。顔が怖い。

そして、家康から正式に縁組みの申し出が昌幸・信幸に伝えられます。困惑する2人と、特に信幸を超にらむ忠勝。顔が超怖い。

場面は再び大坂城。信繁と茶々の関係がうわさになってしまいました。平野長泰は流布に積極的です。

このうわさが秀吉の耳にもついに届き、信繁呼び出し。が、信繁の否定により一件落着。さらに、信繁の異動願いも却下するなど、全幅の信頼を示す秀吉。

戻ってきた信繁に、「災難だったな」と声を掛ける長泰。いやいやいや、お前のせいだろ。

問題は、うわさを信じて信繁を監視し続ける加藤清正。これをどうにかするため、豊臣秀次の助力を願うことにした信繁ときり。秀次を待つ間、きりが信繁の真意を質します。

きり「源次郎様にも落ち度があったんだと思う。隙があったんだと思うな」
信繁「ない」

秀次はうわさを信じていた様子ですが、信繁の否定で一応誤解は解けた模様。が、

秀次「だとしたらお前に隙があったのだ」
信繁「不徳の致すところです」

そして本題。清正の誤解を解いてほしいとお願いします。

秀次「無理だな」

それでも、石田三成にメールを書いてくれる秀次。気さくないいやつです。知らない役者さんでしたが何気にいい味出してるし、この秀次はもう少し見てみたい。そのうちたっぷり出番があるはずですが、さて秀次事件をどう描くのか。『江』の北村有起哉の素晴らしい秀次を超えられるか?

そして三成の下へ。
三成「おぬしに隙があったからこういうことになったのだ」
信繁「はいそうです。私に隙がございました」

まぁ、結構頑張って茶々を拒否ってはいましたけどね。

三成は、清正を九州征伐に投入して信繁に構っている暇をなくすという策に出ます。といっても、清正の九州行きは決まっていたから恩に着る必要はないという大谷吉継。ここで、既に唐入りが計画されていることが判明。清正の九州征伐担当も、唐入りの前線基地となる九州を見せておくため、と。

そんなこんなを経て、聚楽第に移った一同。が、蔵と聞いて、「また行きましょう」と口を滑らせる茶々。やっちまったな!

これを聞きとがめ、怖いモードにチェンジする秀吉。三成がさっさと席を立つと、大蔵卿局を下がらせる秀吉。どさくさに紛れて大蔵卿局と一緒に下がろうとする信繁。

秀吉「何でお前も行こうとしているんだ」

この流れから、正面切ってのくどきに入る秀吉さん、さすがです。場面のメインは完全に秀吉と茶々なのに、フォーカスが合っているのは2人ではなく傍観者の信繁。この構図で、信繁の部外者感がうまく表現されていました。

で、茶々が側室になることを大喜びで寧に報告しちゃうところが秀吉らしい。本作の秀吉は、とにかく寧には一切隠し事をせず、感情をそのまま見せられる相手として描いています。

茶々は、側室になることを承諾したことを責める大蔵卿局に真意を吐露します。

茶々「あの方は私が死ぬときに『日の本一幸せな女子でした』と言わせると約束してくれました。言ってみたいと私は思いました」

茶々嫌いな私ですが、このとき初めてちょっと胸が痛みました。このドラマの茶々というか淀は、最後に何と言うのでしょうか。信繁が死に、自身も豊臣秀頼と共に死ぬ日に。

そして、ちょっとやり過ぎな感は否めませんが、予言めいたことを言い出す茶々。

茶々「私と源次郎は不思議な糸で結ばれている気がするのです。離ればなれになっても、あなたはいつかまた戻ってくる。そして私たちは同じ日に死ぬの」

ドラマでは、同じ日に死んだことにするのでしょうか。どらまちっくですなぁ。ちなみに史実では、信繁が討たれたのは慶長20年5月7日。淀と秀頼が自刃したのは翌8日でした。水を差すようですが。

そして、清正監視下での逢い引き時に摘んだ花で作った押し花を信繁に渡します。最終回、この押し花を抱いて最後の突撃を敢行するのだろうか。最終回にまで及ぶキーアイテム登場か? などと思っていたら、きりが食べちゃうし。この女、いちいち予想を超えてくるぜ。

こうして、茶々が正式に秀吉の側室になります。「寧がいるから正室にはできない」とも語らせたり、ちゃんと側室扱いで安心しました。時々、「側室じゃなくて妻」とか、意味不明なことを言い出す頭のおかしいドラマもあるので困ります。まぁ、そんなクソドラマを作ったクソプロデューサーが今年も指揮を執ってたりしますが。

側室となった茶々を見送った三成と信繁。ここで三成が意外なことを言い出します。

三成「茶々様を側室に迎えるということは、殿下が信長公をのみ込み超えるということ。この先殿下はどこに向かわれるのか……」

この先、ドラマはどこに向かうのか……。三成が、茶々が、信繁が、他の連中が、どんな思いで死んでいくのか、予想がつきません。歴史ドラマという、究極のネタバレ劇でも、ちゃんと描けば先が見えないドラマになるんですね。

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