大河ドラマ「真田丸」 第10回 妙手 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/03/13 22:49

今回は、数々の失敗を経た真田信繁が知将の片鱗をのぞかせる活躍(創作)を描きつつ、上杉景勝の感情面の整合性を取り、大名間で真田と沼田問題が面倒になっていくさまを分かりやすく整理しています。史実よりもタイミングが早いように見える室賀正武さんの動きも要注目です。

徳川と北条の和睦という急展開にショックを受けたのは真田昌幸のみにあらず。室賀さんも激怒。これにはさすがの昌幸もしょんぼり。

一方、真田信尹本多正信を通じて徳川に苦情を申し入れます。そこで、真田対策として昌幸を浜松城へご招待。が、急病という欠席理由あるあるを使って真田信幸を名代、信繁と信尹を随員として差し向けます。

信幸は、上杉の虚空蔵山城への備えとして海士淵に城を築いてほしいと要求。正信が妥当性を認めると、徳川家康はあっさり受け入れます。将来の婿殿の言にイラつく本多忠勝がかわいい。 が、家康にとってもこの場は交渉の好機。海士淵に城を築く代わりに沼田を北条に引き渡すことを要求します。上田合戦、ひいては小田原征伐のフラグが立ちまくりです。沼田問題への対応をミスったために、徳川も北条もイタい目に遭うことになるわけですが、それはまた後のお話。

信幸「お断り申し上げる。沼田を北条に渡すなど理不尽至極!」

お兄ちゃん、毅然と拒否して家康を一喝。カッコいい!

殺気立つ忠勝。間に入る信繁。さすが主人公、見せ場を作ってもらいました。

そして、絶妙なタイミングで「この件は持ち帰る」と、適当に引いて見せる老獪な信尹。息の合った役者による交渉シーンは緊迫感が漂っていて(時々間の抜けたBGMが入るけど)、見ていて楽しいなぁ。『軍師官兵衛』もホントはこうならなきゃいけなかったはずなのに、アレは交渉ではなく官兵衛が唾をはきながら叫くだけだったなあ。脚本と演出がダメだとどうにもなりませんな。

で、ぐったりした信幸さんでひと笑い。お兄ちゃん、いっぱいっぱいになって頑張ったんだね。また寿命が削られてしまいましたね。

特に信幸のライフを削ったのが、将来の舅殿。

信幸「わしはああいうやつが一番苦手じゃ」

信幸と忠勝の第一印象は最悪だったご様子。が、アノ忠勝は一度信幸を気に入ったらとことん味方してくれそう。関ヶ原後の、「信之」による助命嘆願を全力でバックアップする忠勝さんが早く見たい。

家康は、さらなる真田対策として木曽義昌から譲り受けたとりを真田に返還。恩を売りつつ、沼田の件でさらにプレシャーを掛けます。

信幸らから報告を聞いた昌幸は「沼田のことはひとまず忘れることにしよう」という表現で沼田を手放す覚悟をしますが、そうはいかないのが矢沢の叔父上。織田には快く渡すことに同意したのに、今回は沼田城の引き渡しを断固拒否します。まぁ、矢沢頼綱の無双っぷりが見られるので私としては本望ですが。

困った昌幸は、徳川に対して時間稼ぎ。それを聞いて家康が匙を投げたことで、北条が直接乗り出してきます。が、頼綱さんが北条の使者を殺してしまって決裂。

激怒する北条氏政氏直。まぁ、そうなりますわな。

こうして北条による沼田城攻め開始。頼綱叔父さん、なにげに嬉しそう。

一方、昌幸は海士淵の城(後の上田城)の築城開始。内記と碁を打っていましたが、劣勢になったご様子。どさくさに紛れて太刀のモフモフ鞘で碁石をメチャメチャに。さすが表裏比興の者です。さすがの「AlphaGo」もこれには対応できまい。

沼田城に援軍を出すわけにもいかない昌幸は、上杉を利用するため、信繁に上杉に行けと言い出します。

昌幸「もう一度、上杉と手を結ぶ」
信繁「上杉が『うん』と言うでしょうか」
昌幸「言わんだろうな。あれだけはっきり裏切ってしまったからな。よって策を用いる」
信繁「どのような?」
昌幸「知らん」

そして信繁に丸投げ。昌幸の適当トークですが、信繁は信頼されたと大喜びで、梅にご報告。そして、梅からも懐妊のお知らせ。はて、前回の深夜帰宅からもうそんなに時間がたったのかな。

こうして、再び春日山城にやってきた信繁。あんな裏切り方したからには、春日山城の敷居はさぞかし高かったことでしょう。おー、「敷居が高い」って、正しく使う機会って何年ぶりだろう(「難易度が高い」「初心者向きじゃない」的な使い方は間違いです)。

真田が来たと聞いて激怒する直江兼続。まぁ、そうなりますわな。

正体を明かす信繁。

さらにキレる兼続。まぁ、そうなりますわな。

前回、あれだけ怒っていながらさっさと殺さない上杉景勝さん、マジすごい。それどころか言い分をちゃんと聞いてやるとか、景勝いい人すぎ。

虚空蔵山城で戦芝居をしてほしい。真田が虚空蔵山城を攻め、上杉が撃退する。さらに、勢いに乗った上杉が上野に攻め入ると噂を流す。この信繁の策に載ってやる景勝。信繁が気に入ってしまったようです。あんな裏切り方をしておいてどうする気なのかと心配していましたが、これで人質になった信繁を景勝がかわいがったという史実にうまくつなげてきました。

景勝「此度もだまされるなら、わしの器がそこまでだということじゃ」

この景勝もやたらと器が大きくてかっこいいな。いい人は長生きできない『真田丸』ですが、景勝は真田視点ではいい人のまま、信繁の死後まで生き続けます。

そして、約定に基づき虚空蔵山城に攻め入る信幸、信繁。

単騎門前に近づく信繁。無言で見つめ合う兼続と信繁。余計なセリフを入れないところがすばらしい。

そして真田撤退。真田の「敗戦」の知らせを受け、上田城の完成を急がせる家康。上杉が来ると、流言コマンドを実行する佐助。上杉が来ると聞いて兵を引く氏政。信繁の策の通りに徳川と北条が踊る踊る。

北条は沼田問題の解決を家康に要求しますが、家康の頭は既に西の勢力図でいっぱい。この後、賤ヶ岳の戦い、そして家康が当事者になる小牧・長久手の戦いが控えており、特に羽柴秀吉の動向が気になるはずです。

というわけで真田&沼田問題がどうでもよくなる家康ですが、西に集中するためにも東の憂いは取り除くべきと主張するのは正信。

正信「真田安房守、そろそろ死んでいただきましょう」

そんなことになっているとはつゆ知らず、梅にプロポーズする信繁。

梅「その言葉、お待ち申しておりました」

きりには身分違いで考えたこともないと言っていたのに……梅、恐ろしい娘!(白目)

その夜、室賀正武さんは家康にご招待されていたのでした。昌幸にいろいろと騙されていたことを知っちゃうんでしょうねぇ。そして……。

でも正武が死ぬのは天正12年。もう少し何やかんやが入るのかな。

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