大河ドラマ「真田丸」 第1回 船出 感想
カテゴリ:真田丸
日時:2016/01/10 22:45
さあ、なぜか1年間放送されなかった大河ドラマが今年から再スタートです。最近落ち目の三谷幸喜脚本に不安がありましたが、第1回は取りあえず大いに楽しめました。真田昌幸のキャラも面白いし、予想していなかった人の名演技も見ることができて大満足です。
では物語スタート。天正10年(1582年)2月。場面は矢沢三十郎頼幸(なぜコイツの役名だけ通称+諱なんだろう?)と真田信繁が物見に出ているところから。
信繁「みつからなければいいことですぞ」
信繁の第一声はいきなりのコント演技。不安がよぎります。くじけるな、俺。 見えるは葵の紋。ということで徳川の陣。滑落してあっさり見つかるも、ちゃっかり主人公補正で危機を華麗に回避し、馬を奪って逃亡。あの状況下で16歳の初陣も果たしていないような若造を取り逃がすとは、徳川残念すぎ。まあ、序盤の掴み用の捨てシーンなのでまじめに突っ込んでも仕方がありませんが。
そして場面は諏訪の上原城。早速、話題の勢力図が登場。確かに『信長の野望』そのものです。大河はもっとこういう説明シーンを入れた方がいいですね。もっとも、脚本がインチキすぎて入れるに入れられない場合もあるでしょうが。県庁、沼田市、富岡製糸場、船津伝次平の畑の位置関係をマップで明示しちゃうと、女性が行動する範囲じゃないことも一目瞭然になっちゃいますしね。
武田の評定シーンは実に大河ドラマチックで非常にうれしい。穴山梅雪、小山田信茂、跡部勝資、真田昌幸など、いるべき人間だけで構成された、実にまっとうなシーンです。特に功績のないザコが出しゃばって何の役にも立たないことをドヤ顔で言い出すこともない。ちゃんとした役者さんばかりなのもいい。
そのころ、新府の真田屋敷に信繁が帰還。ここから、会話が異常に状況説明チックになって苦笑。現代語でキャッキャウフフする松・小山田茂誠夫妻に精神的ダメージを受けるなど、ちょっと我慢が必要な数分間です。
また、大泉洋と堺雅人のツーショットにも慣れる必要があると感じました。それぞれ好きな役者さんではありますが、他のドラマやバラエティーの印象が強すぎて、まだ真田信幸と信繁に見えません。堺雅人は半沢でも古美門でもなく、強いて言うなら最近日テレでやってた精神科医に近い感じか。信繁がまだ16歳の青年期だということもあり、キャラが確立していない感じです。堺雅人のことなので、加齢に応じて演じ分けると思いますが。
そこへ昌幸が戻り、ホームドラマが続きます。それにしても、草刈正雄が昌幸とは胸が熱くなるな。
昌幸「新府城はこの真田昌幸が知恵の限りを尽くして築いた天下に聞こえた名城じゃ。この新府こそが最も安全な場所じゃ」
昌幸「この真田安房守がいる限り武田が滅びることは決してない」
昌幸の力強い言葉に、いい感じで家族会議終了。
昌幸「武田は滅びるぞ」
えっ
昌幸「わしはこの城を捨てることにした」
信幸「はあ!? しかし、ここは天下に聞こえた名城と!」
昌幸「誰が言ったんだ?」
昌幸のキャラが面白すぎる。会話中の適当な表情といい、草刈正雄が良すぎて困る。
平岳大の武田勝頼も素晴らしい。こんな切ない勝頼見たことがない。先の軍議といい、持仏堂での昌幸、梅雪とのスリーショットといい、悲壮感が痛々しい。
昌幸「富士や浅間が火を噴かぬ限り武田のお家は安泰でございます」
2月14日、浅間山噴火。
あ然とする昌幸。昌幸のキャラが面白すぎる。
そして2月25日、穴山梅雪が離反し、動揺する武田家中。籠城を主張する跡部、討ち死にを説く信茂に対し、勝頼を真田の岩櫃城に招待して捲土重来を訴える昌幸。
いったんは岩櫃行きを決断する勝頼ですが、信茂と跡部が勝頼に讒言。さらに信玄の名を持ちだして岩殿入りを勧めます。父を持ち出されたとき一瞬眉を動かすなど、非常に細かく表情をコントロールする平岳大。
そして、密かに真田屋敷を訪問する勝頼。昌幸の家族を武田の人質から免ずる証文を渡し、行動の自由を保証。
いいお屋形様じゃないか。なんだなんだ、この異様な勝頼押しは。
3月3日、勝頼、岩殿城へ出発。松と茂誠だけあいかわらず現代語なのが若干気になりますが、全編現代語で押し通した名作『草燃える』もありますしね。あれの「いやだわ、お姉様ったら」の破壊力は忘れられません。
松とキャッキャウフフするときは現代語を話す茂誠ですが、馬にはちゃんと右から乗ったので安心しました。現代では、自転車と同じく馬も左側から乗りますが、維新前は右から乗っていました。時代考証が行き届いているかどうかチェックするときのポイントの1つですね。
真田家も新府城から退去する支度で大わらわ。あせる信幸ですが、信繁の姿はなし。信繁は、外で勝頼のお見送り。当然、主人公補正で遠くからでも勝頼は信繁の存在に気付きます。平伏する信繁を見てうなずく勝頼。陳腐だけどいいシーンでした。
さあ、そろそろデビルマン信茂が本領を発揮するときがやってきました。準備をするといって勝頼に先行した信茂は、岩殿城の手前の笹子峠の関に入るや木戸を閉じるように命じます。
勝頼が笹子峠の関に到着すると、木戸が閉じられ茂誠が泣きながら織田に寝返ったと宣言。それを悲しげに見上げる勝頼。何だ、この切ない勝頼は。
というわけで、第1回は楽しく見ることができました。草刈正雄は予想通り、丹波哲郎とはまた違った味わいで名演技を見せてくれました。既に脚本の昌幸を掴んでいる感じで、とぼけているときのインチキくさい目の泳ぎ方が非常に楽しい。
予想外だったのが、平岳大。こんなに応援したくなる勝頼は初めてです。丁寧に演じているのが伝わってきて、大変素晴らしかった。あっという間に退場なのが実に残念です。
そして、最後に周辺大名が顔見せ。上杉景勝と織田信長は可もなく不可もなく。北条氏政が汁を飯にかけたのは、「2度かけ」エピの暗示でしょう。ということはおバカさんキャラか。高嶋政伸には『太平記』最終回の神演技を期待したいところです。徳川家康は……爪の噛み方がヘンじゃね?
今後はどうなるでしょう。物語開始の天正10年(1582年)といえば、本能寺の変。戦国時代が大きく動く年なので、序盤は史実べったりで描いても普通に面白いはずです。終盤は信繁の人生のクライマックスなので、これまた普通にやるだけで盛り上がります。残る不安要素は中だるみ。九度山時代を信繁目線でどう描くのか……。
大河ドラマ・ストーリーは購入したのですが、当面はあらすじは読まずに楽しみたいと思います。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。
では物語スタート。天正10年(1582年)2月。場面は矢沢三十郎頼幸(なぜコイツの役名だけ通称+諱なんだろう?)と真田信繁が物見に出ているところから。
信繁「みつからなければいいことですぞ」
信繁の第一声はいきなりのコント演技。不安がよぎります。くじけるな、俺。 見えるは葵の紋。ということで徳川の陣。滑落してあっさり見つかるも、ちゃっかり主人公補正で危機を華麗に回避し、馬を奪って逃亡。あの状況下で16歳の初陣も果たしていないような若造を取り逃がすとは、徳川残念すぎ。まあ、序盤の掴み用の捨てシーンなのでまじめに突っ込んでも仕方がありませんが。
そして場面は諏訪の上原城。早速、話題の勢力図が登場。確かに『信長の野望』そのものです。大河はもっとこういう説明シーンを入れた方がいいですね。もっとも、脚本がインチキすぎて入れるに入れられない場合もあるでしょうが。県庁、沼田市、富岡製糸場、船津伝次平の畑の位置関係をマップで明示しちゃうと、女性が行動する範囲じゃないことも一目瞭然になっちゃいますしね。
武田の評定シーンは実に大河ドラマチックで非常にうれしい。穴山梅雪、小山田信茂、跡部勝資、真田昌幸など、いるべき人間だけで構成された、実にまっとうなシーンです。特に功績のないザコが出しゃばって何の役にも立たないことをドヤ顔で言い出すこともない。ちゃんとした役者さんばかりなのもいい。
そのころ、新府の真田屋敷に信繁が帰還。ここから、会話が異常に状況説明チックになって苦笑。現代語でキャッキャウフフする松・小山田茂誠夫妻に精神的ダメージを受けるなど、ちょっと我慢が必要な数分間です。
また、大泉洋と堺雅人のツーショットにも慣れる必要があると感じました。それぞれ好きな役者さんではありますが、他のドラマやバラエティーの印象が強すぎて、まだ真田信幸と信繁に見えません。堺雅人は半沢でも古美門でもなく、強いて言うなら最近日テレでやってた精神科医に近い感じか。信繁がまだ16歳の青年期だということもあり、キャラが確立していない感じです。堺雅人のことなので、加齢に応じて演じ分けると思いますが。
そこへ昌幸が戻り、ホームドラマが続きます。それにしても、草刈正雄が昌幸とは胸が熱くなるな。
昌幸「新府城はこの真田昌幸が知恵の限りを尽くして築いた天下に聞こえた名城じゃ。この新府こそが最も安全な場所じゃ」
昌幸「この真田安房守がいる限り武田が滅びることは決してない」
昌幸の力強い言葉に、いい感じで家族会議終了。
昌幸「武田は滅びるぞ」
えっ
昌幸「わしはこの城を捨てることにした」
信幸「はあ!? しかし、ここは天下に聞こえた名城と!」
昌幸「誰が言ったんだ?」
昌幸のキャラが面白すぎる。会話中の適当な表情といい、草刈正雄が良すぎて困る。
平岳大の武田勝頼も素晴らしい。こんな切ない勝頼見たことがない。先の軍議といい、持仏堂での昌幸、梅雪とのスリーショットといい、悲壮感が痛々しい。
昌幸「富士や浅間が火を噴かぬ限り武田のお家は安泰でございます」
2月14日、浅間山噴火。
あ然とする昌幸。昌幸のキャラが面白すぎる。
そして2月25日、穴山梅雪が離反し、動揺する武田家中。籠城を主張する跡部、討ち死にを説く信茂に対し、勝頼を真田の岩櫃城に招待して捲土重来を訴える昌幸。
いったんは岩櫃行きを決断する勝頼ですが、信茂と跡部が勝頼に讒言。さらに信玄の名を持ちだして岩殿入りを勧めます。父を持ち出されたとき一瞬眉を動かすなど、非常に細かく表情をコントロールする平岳大。
そして、密かに真田屋敷を訪問する勝頼。昌幸の家族を武田の人質から免ずる証文を渡し、行動の自由を保証。
いいお屋形様じゃないか。なんだなんだ、この異様な勝頼押しは。
3月3日、勝頼、岩殿城へ出発。松と茂誠だけあいかわらず現代語なのが若干気になりますが、全編現代語で押し通した名作『草燃える』もありますしね。あれの「いやだわ、お姉様ったら」の破壊力は忘れられません。
松とキャッキャウフフするときは現代語を話す茂誠ですが、馬にはちゃんと右から乗ったので安心しました。現代では、自転車と同じく馬も左側から乗りますが、維新前は右から乗っていました。時代考証が行き届いているかどうかチェックするときのポイントの1つですね。
真田家も新府城から退去する支度で大わらわ。あせる信幸ですが、信繁の姿はなし。信繁は、外で勝頼のお見送り。当然、主人公補正で遠くからでも勝頼は信繁の存在に気付きます。平伏する信繁を見てうなずく勝頼。陳腐だけどいいシーンでした。
さあ、そろそろデビルマン信茂が本領を発揮するときがやってきました。準備をするといって勝頼に先行した信茂は、岩殿城の手前の笹子峠の関に入るや木戸を閉じるように命じます。
勝頼が笹子峠の関に到着すると、木戸が閉じられ茂誠が泣きながら織田に寝返ったと宣言。それを悲しげに見上げる勝頼。何だ、この切ない勝頼は。
というわけで、第1回は楽しく見ることができました。草刈正雄は予想通り、丹波哲郎とはまた違った味わいで名演技を見せてくれました。既に脚本の昌幸を掴んでいる感じで、とぼけているときのインチキくさい目の泳ぎ方が非常に楽しい。
予想外だったのが、平岳大。こんなに応援したくなる勝頼は初めてです。丁寧に演じているのが伝わってきて、大変素晴らしかった。あっという間に退場なのが実に残念です。
そして、最後に周辺大名が顔見せ。上杉景勝と織田信長は可もなく不可もなく。北条氏政が汁を飯にかけたのは、「2度かけ」エピの暗示でしょう。ということはおバカさんキャラか。高嶋政伸には『太平記』最終回の神演技を期待したいところです。徳川家康は……爪の噛み方がヘンじゃね?
今後はどうなるでしょう。物語開始の天正10年(1582年)といえば、本能寺の変。戦国時代が大きく動く年なので、序盤は史実べったりで描いても普通に面白いはずです。終盤は信繁の人生のクライマックスなので、これまた普通にやるだけで盛り上がります。残る不安要素は中だるみ。九度山時代を信繁目線でどう描くのか……。
大河ドラマ・ストーリーは購入したのですが、当面はあらすじは読まずに楽しみたいと思います。
2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。