大河ドラマ「花燃ゆ」 第37回 夫の忘れがたみ 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/09/13 22:11

女性がさまざまな制約を受けた時代にやりたい放題、美和さまのフリーダム伝説がまた1ページ。生まれた村から生涯出たことがない女性も多かったのに、これだけ好き勝手に動き回れば十分でしょう。

・雅らに協力させ、松下村塾で子どもたちを洗脳
・塾を放り出して土木工事に邁進
・女台場を放り出して奇兵隊の飯炊き女
・飯炊き女を放り出して野山塾へ
・杉家を放り出して奥御殿へ
・座敷牢を脱獄して姉の夫と逢引き
・銀姫を放り出して高杉晋作の子の世話をする
・銀姫を放り出してパパの見舞いに行く
・興丸を放り出して肺結核患者の手を握る
・興丸を放り出して京都一人旅

若殿の大事な薬を(歩き旅の)女性に託しちゃう長州藩の危機管理能力には笑いが止まりませんが(普通、武士に騎馬で届けさせるだろ)、このドラマの長州藩(というかお粗末先生のことだ)はバカぞろいなので仕方がありません。

それにしても、殺気だったこのご時世に山口から京まで女一人旅ができるとは、随分と治安がよろしいようで何よりです。

で、物語は慶応4年(1868年)の京へ。「幕長戦争で幕府を打ち破った長州は薩摩と共に京で決戦に備えていた」そうです。大政奉還も王政復古の大号令も、それらに付随する何やかんやも全てすっ飛ばし、「幕長戦争→鳥羽・伏見の戦い」という豪快な省略をなさるとは、さすがお粗末先生です。幕末史なんか描く気がないという決意がビンビン伝わってきます。このあたりの、幕末の些細な出来事に関心がある人は、『八重の桜』を見ましょう。幕末の些細な出来事を丁寧に描写しています。ただし、横取モトピコと美和さまのご活躍という重要なエピはなぜか全てカットされていますが。 幕末のさまざまな駆け引きなどという些細なことには脇目も振らず、ドラマは俺たちの美和さまにフォーカス。久坂玄瑞の子に会うため、置屋に辰路を訪ねます。けど会えず。重要なことなので引っ張ります。

毛利敬親「戦が始まろうという京へ1人で逝かせるなどとは……」

ですよねー。大殿は分かってらっしゃる。

都美「亡き夫の子が京にいるそうです」

理由になってません。少なくとも、1人で行かせなくてもいいでしょうに。

あまりのくだらなさにガッカリしたのか、よろける敬親さん。こっちはよろけっぱなしです。

美和さまはというと、見たものにはとにかくツッコむという悪癖が京でも炸裂。どこから見ても風体のよくない脱藩浪士にイチャモンを付けます。で、当然のことながら怒らせて追われます。こうなることは誰にでも分かると思うのですが、頭が悪いんですかね?

で、それを助けたのが、何と辰路という偶然。

すげーどらまちっくだな。お粗末先生にしかこんなみらくるは思い付かないでしょうね。

しかし、美和さまが「秀次郎を奪いにきた」と分かり、華麗にスルーして長州の本陣に誘導する辰路さん。何と、これで美和さまの久坂の子探しはおしまい。つくづく、何しに来たんだこの女って感じです。

本陣に戻った美和さまは、またも姉の夫と2人きりでどうでもいい会話を展開。

俺たちの美和さまが久坂の子を探すという重要なエピソードの間に、鳥羽・伏見の戦いという些細な出来事が挿入されます。4日間の死闘を44秒(最初の発砲から、「我らの勝ちじゃ~」まで)で手際よくまとめています。

というわけで新政府発足。横取モトピコが参与になったそうなので、この時点で明治元年(1868年)1月10日。ちなみに、長州藩で参与になったのは、広沢真臣、井上馨伊藤博文木戸孝允、横取モトピコの5人。

木戸とともに、横取モトピコが「日本の政治を牽引」(笑)していると、幾松がやってきます。幾松、3回目の登場にして初めて木戸と同一画面に収まりました。

一方、美和さまは山口に戻り、肺結核患者の手を握ったことなど忘れて若様のお世話に邁進。まぁ、これについては、そもそも興丸の守り役に高杉の看病を命じた連中の頭がおかしかっただけですが。

ドラマのあまりのくだらなさに脱力したのか、敬親が倒れます。私も脱力しっぱなしです。すっかり気弱になったそうせい侯、横取モトピコに戻ってこいと命じます。木戸からも慰留されますが、「長州のために泣く泣く中央から身を引く(ドヤ)」という横取モトピコ。彼の参与辞任が2月20日。

横取モトピコが戻ってくると聞き、都美さん、大喜び。そもそも横取モトピコを頼りにしてたことがあった? 不自然かどうかなど眼中にないかのごとく、とにかく横取モトピコを持ち上げます。気持ちが悪い。

山口に戻った横取モトピコは、敬親に版籍奉還を進言します。おいおい木戸の功績をまた横取りかよと思ったのですが、「木戸と図った」と言っていたのでまぁいいか。次いで、木戸が山口に戻り正式に進言します。横取モトピコが無理やり絡んできたのは気持ちが悪かったのですが、まあここはスルーしましょう。

そしてまた、奥御殿で姉の夫と2人きりで会う美和さま。気持ちが悪い。救いは、このツーショットトークは絶対に無内容なので、安心してトイレに行けるところです。

横取モトピコ「これからは私がそばにおる。お前を支えてやれる

もはやプロポーズです。妻の妹に吐くセリフじゃありません。気持ちが悪い。

ああ、そうか……。美和さまのシーンは「くだらない」だけなのですが、横取モトピコのシーンは「気持ちが悪い」んだ。いまさらですが、やっと整理が付きました。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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