大河ドラマ「花燃ゆ」 第36回 高杉晋作の遺言 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/09/06 22:11

さあ、今回から「お粗末先生」の蔑称で名高い小松江里子が参戦。

『天地人』にて、味方に引き入れようとした村に見返りを要求され、「金品で買収するのは上杉の義ではない(キリッ)」と兼続に言わせた翌週、武田勝頼に砂金を贈って同盟を提案するなどというイカれた脚本を書いた人ですから、その能力はお察しです。

というわけで、早速お粗末な能力をいかんなく発揮なさいます。美和さまと、そして何より小田ムダを周囲の人間が異常ともいえるほど不自然に称賛し、過大評価するのです。

まずは俺たちの美和さま。優雅にガーデニングをエンジョイ。

一方、後の初代内閣総理大臣&公爵と後の群馬県令&男爵にすぎない小物がツーショット。いきなり不自然な小田ムダageを披露します。

利助「幕府軍に勝てたんは小田村様のおかげ

なぜそこまで小田ムダを持ち上げねばならないのか、実に気持ちが悪い。

興丸はというと、突然成長していてこれまた気持ちが悪い。前回はまだベビーバスケットのようなものの中に寝かせられていたベビーちゃんだったというのに、1年もたたないうちに農作業ができるほどでかくなっているのです。興丸というか毛利元昭は元治2年2月7日生まれなので、今回が晋作死亡直前の慶応3年4月とすると満2歳。数え3歳。2歳にしてはしっかりしすぎのような。

この興丸の野菜嫌いを巡って、美和さまと銀姫が対立します。 銀姫「母となったこともないお前に言われたくはない

身もふたもない。この「母となったこともない」が今回の美和さまと都美姫の判断を左右する要素になるのですが、まぁどうでもいいことです。

興丸の野菜嫌いを克服すべく美和さまが考えたのは、興丸をガーデニングに参加させること。なるほど、食育ってやつですね(棒読み)。

味付けや料理法を工夫するという方向にはいかないんですね、やっぱり。子どもの味覚は敏感だし、味の好みは成長に応じて変わるから、苦みのある野菜を2歳児が「好きになる」ようにするなんて無理はしないで、細かく刻んで気付かせないように食べさせる方が自然だと思うのですが、母になったこともない美和さまには通じないでしょう。

興丸のガーデニングを総出で止めさせようとする女性陣ですが、毛利敬親自らガーデニングにご出馬されて、興丸のガーデニングは公認化。

殿とも普通に話せちゃってますが、ポンコツ玄瑞が自業自得で犬死にした理由を質問しなくていいんですか? まぁ、美和さまが目的を忘れるのは今に始まったことではありませんが。

「長州を勝利に導いた」小田ムダさんは、美和さま宛ての高杉メールをわざわざ自分で持ってきます。小田ムダが美和さまに会う機会は絶対に逃さないようです(NHKが)。

話したいことがあるからということで、美和さまを下関に呼び出した春風ちゃん。ポンコツの子の存在を暴露し、引き取って育てろと言い出します。

続いては、またまた小田ムダを不自然に持ち上げるシーンの連発で、笑えるというより気持ちが悪くて正視できません。

まずは、敬親が小田ムダに改名を提案します。これまでの「大活躍」により、小田ムダを狙う者がいるかもしれないというのです。はぁ?

敬親「そなたに万一のことがあれば我が藩はどうにもならん

いえ、そんなことはないですよ。

で、いつの間にか長州の命運を左右するほどの存在になってしまった小田ムダが楫取素彦に改名して、なぜか下関を訪問します。なぜか? 春風ちゃんにも小田ムダを不自然に落ち上げさせるためです。

高杉「楫取様なら、これからの長州、日本国をも託せるお人

義妹の尻を追いかけ回しているだけに見えるのですが、なぜそう思ったのでしょう。利助も敬親も晋作も、何かもっと巨大な力に無理やり言わされているような気がしてなりません。だって、小田ムダを持ち上げている人物が全員、小田ムダより功績を残してるんだもん。

下関には雅も来ているというのに、かいがいしく薬の用意をしたりするのは美和さま。これまた謎です。ここであらためて、ポンコツの隠し子を引き取れという春風ちゃん。新しい日本を作る新しい日本人を育ててほしい、お前ならできると、これからの日本を美和に託しちゃいます。

えー。

と、何か巨大な力によって無理やり美和を持ち上げるセリフを言わされた直後に容体が急変。いきなり臨終間際です。ここで、妻子を差し置いて美和さまが高杉の手を握ります。何だこれ。

臨終には、雅と梅之進の他、父・小忠太と母、野村望東尼、山県もいたはずですが、妻と美和さまだけという寂しいメンツになってしまいました。以前、野村望東尼を出しておきながら臨終には出さないとか、意味が分かりません。

ちなみに、高杉の辞世には
・おもしろきこともなき世「に」おもしろく
・おもしろきこともなき世「を」おもしろく
の2説があり、詠んだタイミングも以前は臨終間際で、その際に野村望東尼が下の句「すみなすものは心なりけり」を付けたとされていました。司馬遼の『世に棲む日日』はこのパターン。ただし、死の前年に詠まれていたという記録があるため、近年は臨終間際ではないという説が有力です。

ドラマでは「おもしろきこともなき世におもしろく」を採用し、詠んだタイミングはボカす(臨終間際に詠んだとも、そうでないとも取れる)演出でお茶を濁していました。

ところで、高杉が死ぬ前&墓前のシーンで桜が散りまくってましたが……高杉が死んだのは慶応3年4月14日。新暦だと5月17日。参考までに、2015年は新暦3月25日が下関の開花日。ちょっと桜は無理があるのではなかろうか。

奥御殿に帰ると、銀姫たちがどろだらけ。ありがちな演出ですが、実際に顔に泥を付けてガーデニングというか農作業している人を見たことがありません。ドラマを演出してる人は、なぜ顔に泥を塗りたがるのでしょう。

興丸、野菜嫌いを克服。まあ、こんなことはどうでもいい。

そのとき、京で戦が始まるという知らせが入り、「妙に都合がよいことに」、京の元徳に薬を届ける必要が生じます。そこで昔取った杵柄、Fumizon美和さまが薬の配送を志願します。

美和さまから理由を聞き、「よその女に産ませた子」に反応する銀姫。相変わらず、女性陣の反応が現代の浮気感覚のメンタリティーで萎えます。

1人くらい、「再興なった久坂家を継がせる子がいてよかった」という人はいないのでしょうか。前回、お家再興に涙した美和さまですが、継嗣を決めなければ無嗣断絶なんですよ。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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