大河ドラマ「花燃ゆ」 第31回 命がけの伝言 感想
カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/08/02 22:48
今回は、美和さまと小田ムダ、それぞれにピンチが訪れます。当然ながら、ここで死ぬわけがないのでスリルなどあるはずもなく、危機感をあおってるつもりらしい稚拙な演出に哀れさすら感じます。こんなどうでもいい話は要らないから、面白いエピをみせてくれないかな。>NHK
元治元年(1864年)11月、「粛清の嵐が吹き荒れた」という流れで三家老(福原越後、益田右衛門介、国司信濃)切腹、参謀4人(佐久間、宍戸、竹内、中村)斬首の件が語られます。
切腹と斬首は史実だけど、これを椋梨派による粛清として語るのはヘンでは? 三家老の切腹は吉川経幹と西郷隆盛がネゴった末の、長州征伐中止の条件のはず。
そのころ俺たちの美和さまは、小田ムダを心配してしょんぼり。
美和「小田村の兄上が心配です。やのに今の私はとんでいくこともできません」
まぁ、訳の分からない理屈を付けて奥勤めを始めたのは自分ですしね。 訳が分からないのは奥女中どもも同様。鞠と日出が美和さまの噂話をしていると、鞠の背後に突然現れて「あの者がきてからどうも騒々しい。この先、何かよからぬことを図りそうな」とつぶやいて去っていく園山。それを受けて日出曰く「不穏な芽は、早めに摘んでおかなければ」と。
理由は一切不明ながら、一貫して美和アンチな日出はいいとして、園山の言動は意味不明です。ちなみに、ノベライズは鞠と日出の会話を盗み聞きしていた園山が、「あの者がきてからどうも騒々しい。この先、何かよからぬことを図りそうな」とつぶやくというもので、ドラマよりはまとも。いずれにせよ、園山には一言言いたい。
お前、バカなのか?
お前が美和なんか採用するからだろう。雇っておいて冷たく当たるとか、意味が分からない。今回のドラマでの言動なんか、敵意むき出しという感じだし、その割には具体的に手を打つわけでもない。奥御殿編に入って以来のこの人の無能っぷりはどうしたことか。
ここで解散命令が出た諸隊というか奇兵隊。バカっぽく叫いているのはどうでもよくて、昔からいたかのように突然湧いて出た山県狂介に苦笑するばかり。
この事態を打開できそうな春風ちゃんは、福岡の野村望東尼の庵に居候中。コイツもまたへんてこな理屈を言い出します。
春風ちゃん「幕府に討伐されるいわれなどない。全ては朝廷のための大義を貫いた結果」
なぜ幕府に討伐されるかというと、長州が朝敵になったため。御所に大砲を撃ち込まれた孝明天皇が長州に激怒して、幕府に長州討伐を命じたのです。つまり、朝廷が討伐しようとしている。そうなったのも、世間知らずなごく一部の公卿(七卿)を抱き込んで長州に都合のよい勅を乱発し、孝明天皇を怒らせたため。
天皇を怒らせて朝敵として討伐されている。幕府の行動は理にかなっており、どう考えても長州が悪い。お前ら、朝敵なんだよ。
しかし、なぜか長州征伐は「幕長戦争」など、幕府と長州の戦いのように矮小化される傾向にあります。維新の結果長州が勝ち組になってしまい、このあたりを長州に都合が良いようにねじ曲げたんじゃないかと邪推しちゃいます。
諸隊が解散しないため、さらに幕府への恭順を示すことにした椋梨。なぜか松島剛蔵が処刑されることになります。
はぁ?
松島剛蔵が処刑されるのは、春風ちゃんが功山寺で挙兵したからなんですが? それを言い出したら、小田ムダが野山獄にブチこまれるのも春風ちゃんの決起後。松島剛蔵は海軍総督も務めた大物なので仕方がないとして、小田ムダのようなザコはまだ相手にされてません。
そして、この時点で死ぬはずがない小田ムダから、実にムダな遺書メールが寿に届きます。全然ムダなので何も伝わってきません。
寿「お願い。何とか、お前の力で……このとおり!」
と、美和さまに土下座して、小田ムダ助命嘆願を依頼する寿です。実にムダです。「美和の力」って何だよ(大笑)。頼む相手を間違ってます。実にムダです。小田ムダにかかわると、みんなムダな行動に走ってしまって痛々しい。
場面は再び奇兵隊の屯所へ。相変わらず解散して恭順することを説く赤禰武人ですが、全然まとまらず。そこへ乱入する春風ちゃん。頑張ってアジりますが、これまた奇兵隊には刺さりません。山県に拒否られて終了です。史実通りなので文句はありませんが、やはり今回から突然降って湧いたように登場した山県に違和感を覚えます。松下村塾時代にちょっとでも出しておくべきだったのでは。もっとも、その当時から出ていた赤禰にしても存在感がなさ過ぎて、今回から初登場と言われても納得できそうな有様ですが。
赤禰、山県、高杉の関係性ができていれば、ここで袂を分かつ彼らに味わいもあったでしょうに。
場面は再び野山獄。小田ムダに、寿からメール入りおにぎりが届きます。
寿「あなたは必ず助かります」
ええ、その通り。だから、あんたたちが出てきても退屈なんです。というわけで、長州への処罰が甘いという声が出たので小田ムダを処刑する、ということになってもふーんって感じです。そもそも、ご公儀の不満をかわすために小田ムダを処刑って……。
あんなザコを処分して誰が納得するんだ
この情報は、早速美和さまにも知らされます。寿からのメールを読んで座り込む美和さま。それを見ながら、メールの差出人と内容を他の女中に語る高橋由美子。
え、メールの内容いつ知ったの? 美和さまは、今読んだところなんだけど?
一方、都美さんは奥御殿の儀式自粛要請にご立腹。椋梨を呼び出します。椋梨が来ることになったことを美和さまにリークする日出。日出のやっすい自分語りに心を許した美和さまは、椋梨毒殺を使嗾されて動揺。奥女中をリストラして自分は一人部屋住みと、いいご身分な美和さまでした。
美和さまが毒をもったかのような、白々しいミスリードシーンを挟みつつ、椋梨接待開始。美和さまが注いだ酒を美和さまに勧める椋梨。美和さまピーンチ(棒読み)。
いっそここで死んでくれと切に願うものの、ヒロインが死ぬわけありません。頑張ってドキドキシーンを盛り込もうとしてるのでしょうが、実にムダです。ミスリード演出ってつまらないからやめてほしいな。
ここで死ぬわけがない美和さま、当然のごとく酒を飲み干して一件落着。そこでやめておけばいいのに、小田ムダの助命嘆願をおっぱじめます。もはや乱心級の見苦しさ。これに激高する園山。こうなったのも、こんな女を採用したアンタの責任だな、園山。
が、銀姫が勝手に釈放しちゃいます。それはいいとして、銀姫が牢の中まで入っちゃうのはやり過ぎ。貴人はそんなことしちゃだめです。
銀姫「命に代えても惜しゅうない、大事なお人なのであろう?」
美和さま「私の初恋の人にございます」
こんなセリフにほだされちゃう潮。うすっぺらいな。
こうして、野山獄にやってきた美和さま。
小田ムダ「この国のため、掲げた理想がある。かなえるために俺は何をしたか」
まあ、その……特に何も……。
史実では取るに足りない存在でしたが、ドラマでは人の功績を奪って八面六臂の大活躍でした。が、あらためて振り返ってみると、実はドラマですら大したことはやっていないのでした。松陰のやる気スイッチを連打して死なせたのが最大の活躍ですかね。
そして始まる、小田ムダと美和さまの異常に長いトークシーン。別に小田ムダは死なない(死んでほしいけど)ので、愁嘆場を見せられても全然刺さりません。実にムダです。ここはトイレタイムということで。
そんなこんなしているうちに、春風ちゃんの功山寺挙兵。功山寺の三条実美ら五卿に挙兵を宣言する有名な場面です。五卿は夜中にたたき起こされて、何が何やらって感じだったそうですが。
ここから話が一気に動き出すはずですが、油断は禁物。『花燃ゆ』は面白いエピはスルーして、美和さまと小田ムダのつまらないシーンに尺を取る、異常なドラマ。高杉の活躍も、実は予告映像が全てだった可能性もあります。
ちなみに、紀行において、後に捕らえられて処刑されたことが語られた赤禰武人。彼を捕らえたのは『八重の桜』京都編の愛されキャラ、マキムーこと槇村正直だったりします。
しかし、つまらん。まともな時代劇は、BSで今日から再放送(私は今回が初見)が始まった『一路』で楽しむことにしましょう。とはいえ、コレもかなり原作に手を入れてますね。大まかに原型はとどめているとはいえ、エピソード単位ではまるで別物。原作はかなりユーモアがあって笑えるのですが、そうした要素がごっそりそぎ落とされているのも残念。第2回以降、浅田次郎節が活かされてるのかどうか、私気になります。
2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
もご利用ください。
元治元年(1864年)11月、「粛清の嵐が吹き荒れた」という流れで三家老(福原越後、益田右衛門介、国司信濃)切腹、参謀4人(佐久間、宍戸、竹内、中村)斬首の件が語られます。
切腹と斬首は史実だけど、これを椋梨派による粛清として語るのはヘンでは? 三家老の切腹は吉川経幹と西郷隆盛がネゴった末の、長州征伐中止の条件のはず。
そのころ俺たちの美和さまは、小田ムダを心配してしょんぼり。
美和「小田村の兄上が心配です。やのに今の私はとんでいくこともできません」
まぁ、訳の分からない理屈を付けて奥勤めを始めたのは自分ですしね。 訳が分からないのは奥女中どもも同様。鞠と日出が美和さまの噂話をしていると、鞠の背後に突然現れて「あの者がきてからどうも騒々しい。この先、何かよからぬことを図りそうな」とつぶやいて去っていく園山。それを受けて日出曰く「不穏な芽は、早めに摘んでおかなければ」と。
理由は一切不明ながら、一貫して美和アンチな日出はいいとして、園山の言動は意味不明です。ちなみに、ノベライズは鞠と日出の会話を盗み聞きしていた園山が、「あの者がきてからどうも騒々しい。この先、何かよからぬことを図りそうな」とつぶやくというもので、ドラマよりはまとも。いずれにせよ、園山には一言言いたい。
お前、バカなのか?
お前が美和なんか採用するからだろう。雇っておいて冷たく当たるとか、意味が分からない。今回のドラマでの言動なんか、敵意むき出しという感じだし、その割には具体的に手を打つわけでもない。奥御殿編に入って以来のこの人の無能っぷりはどうしたことか。
ここで解散命令が出た諸隊というか奇兵隊。バカっぽく叫いているのはどうでもよくて、昔からいたかのように突然湧いて出た山県狂介に苦笑するばかり。
この事態を打開できそうな春風ちゃんは、福岡の野村望東尼の庵に居候中。コイツもまたへんてこな理屈を言い出します。
春風ちゃん「幕府に討伐されるいわれなどない。全ては朝廷のための大義を貫いた結果」
なぜ幕府に討伐されるかというと、長州が朝敵になったため。御所に大砲を撃ち込まれた孝明天皇が長州に激怒して、幕府に長州討伐を命じたのです。つまり、朝廷が討伐しようとしている。そうなったのも、世間知らずなごく一部の公卿(七卿)を抱き込んで長州に都合のよい勅を乱発し、孝明天皇を怒らせたため。
天皇を怒らせて朝敵として討伐されている。幕府の行動は理にかなっており、どう考えても長州が悪い。お前ら、朝敵なんだよ。
しかし、なぜか長州征伐は「幕長戦争」など、幕府と長州の戦いのように矮小化される傾向にあります。維新の結果長州が勝ち組になってしまい、このあたりを長州に都合が良いようにねじ曲げたんじゃないかと邪推しちゃいます。
諸隊が解散しないため、さらに幕府への恭順を示すことにした椋梨。なぜか松島剛蔵が処刑されることになります。
はぁ?
松島剛蔵が処刑されるのは、春風ちゃんが功山寺で挙兵したからなんですが? それを言い出したら、小田ムダが野山獄にブチこまれるのも春風ちゃんの決起後。松島剛蔵は海軍総督も務めた大物なので仕方がないとして、小田ムダのようなザコはまだ相手にされてません。
そして、この時点で死ぬはずがない小田ムダから、実にムダな遺書メールが寿に届きます。全然ムダなので何も伝わってきません。
寿「お願い。何とか、お前の力で……このとおり!」
と、美和さまに土下座して、小田ムダ助命嘆願を依頼する寿です。実にムダです。「美和の力」って何だよ(大笑)。頼む相手を間違ってます。実にムダです。小田ムダにかかわると、みんなムダな行動に走ってしまって痛々しい。
場面は再び奇兵隊の屯所へ。相変わらず解散して恭順することを説く赤禰武人ですが、全然まとまらず。そこへ乱入する春風ちゃん。頑張ってアジりますが、これまた奇兵隊には刺さりません。山県に拒否られて終了です。史実通りなので文句はありませんが、やはり今回から突然降って湧いたように登場した山県に違和感を覚えます。松下村塾時代にちょっとでも出しておくべきだったのでは。もっとも、その当時から出ていた赤禰にしても存在感がなさ過ぎて、今回から初登場と言われても納得できそうな有様ですが。
赤禰、山県、高杉の関係性ができていれば、ここで袂を分かつ彼らに味わいもあったでしょうに。
場面は再び野山獄。小田ムダに、寿からメール入りおにぎりが届きます。
寿「あなたは必ず助かります」
ええ、その通り。だから、あんたたちが出てきても退屈なんです。というわけで、長州への処罰が甘いという声が出たので小田ムダを処刑する、ということになってもふーんって感じです。そもそも、ご公儀の不満をかわすために小田ムダを処刑って……。
あんなザコを処分して誰が納得するんだ
この情報は、早速美和さまにも知らされます。寿からのメールを読んで座り込む美和さま。それを見ながら、メールの差出人と内容を他の女中に語る高橋由美子。
え、メールの内容いつ知ったの? 美和さまは、今読んだところなんだけど?
一方、都美さんは奥御殿の儀式自粛要請にご立腹。椋梨を呼び出します。椋梨が来ることになったことを美和さまにリークする日出。日出のやっすい自分語りに心を許した美和さまは、椋梨毒殺を使嗾されて動揺。奥女中をリストラして自分は一人部屋住みと、いいご身分な美和さまでした。
美和さまが毒をもったかのような、白々しいミスリードシーンを挟みつつ、椋梨接待開始。美和さまが注いだ酒を美和さまに勧める椋梨。美和さまピーンチ(棒読み)。
いっそここで死んでくれと切に願うものの、ヒロインが死ぬわけありません。頑張ってドキドキシーンを盛り込もうとしてるのでしょうが、実にムダです。ミスリード演出ってつまらないからやめてほしいな。
ここで死ぬわけがない美和さま、当然のごとく酒を飲み干して一件落着。そこでやめておけばいいのに、小田ムダの助命嘆願をおっぱじめます。もはや乱心級の見苦しさ。これに激高する園山。こうなったのも、こんな女を採用したアンタの責任だな、園山。
が、銀姫が勝手に釈放しちゃいます。それはいいとして、銀姫が牢の中まで入っちゃうのはやり過ぎ。貴人はそんなことしちゃだめです。
銀姫「命に代えても惜しゅうない、大事なお人なのであろう?」
美和さま「私の初恋の人にございます」
こんなセリフにほだされちゃう潮。うすっぺらいな。
こうして、野山獄にやってきた美和さま。
小田ムダ「この国のため、掲げた理想がある。かなえるために俺は何をしたか」
まあ、その……特に何も……。
史実では取るに足りない存在でしたが、ドラマでは人の功績を奪って八面六臂の大活躍でした。が、あらためて振り返ってみると、実はドラマですら大したことはやっていないのでした。松陰のやる気スイッチを連打して死なせたのが最大の活躍ですかね。
そして始まる、小田ムダと美和さまの異常に長いトークシーン。別に小田ムダは死なない(死んでほしいけど)ので、愁嘆場を見せられても全然刺さりません。実にムダです。ここはトイレタイムということで。
そんなこんなしているうちに、春風ちゃんの功山寺挙兵。功山寺の三条実美ら五卿に挙兵を宣言する有名な場面です。五卿は夜中にたたき起こされて、何が何やらって感じだったそうですが。
ここから話が一気に動き出すはずですが、油断は禁物。『花燃ゆ』は面白いエピはスルーして、美和さまと小田ムダのつまらないシーンに尺を取る、異常なドラマ。高杉の活躍も、実は予告映像が全てだった可能性もあります。
ちなみに、紀行において、後に捕らえられて処刑されたことが語られた赤禰武人。彼を捕らえたのは『八重の桜』京都編の愛されキャラ、マキムーこと槇村正直だったりします。
しかし、つまらん。まともな時代劇は、BSで今日から再放送(私は今回が初見)が始まった『一路』で楽しむことにしましょう。とはいえ、コレもかなり原作に手を入れてますね。大まかに原型はとどめているとはいえ、エピソード単位ではまるで別物。原作はかなりユーモアがあって笑えるのですが、そうした要素がごっそりそぎ落とされているのも残念。第2回以降、浅田次郎節が活かされてるのかどうか、私気になります。
2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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