大河ドラマ「花燃ゆ」 第24回 母になるために 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/06/14 23:03

今回は、れっきとした武家の妻女である文さまが、下女に等しい飯炊き女に落とされるも、そんな境遇にもめげず材料レシピだけから食べたこともない八つ橋の再現に成功する偉業を成し遂げられます。一方で、養子をもらうもうらわないという、割とどうでもいいことでお涙ちょうだいにトライし、見事失敗。このドラマ、誰向けに作ってるんだ? どういう人だったらコレを面白いと思えるんでしょうか。

ポンコツ玄瑞の浮気(笑)告白に凹みフラフラ歩いていた俺たちの文さまは、七卿方御用掛に任じられたイッセー前原に捕まります。何かと思えば、俺たちの文さまに奇兵隊の飯炊きを依頼します。

「女幹事殿!」などと持ち上げていますが、要は飯炊き女。下女(宿場によっては遊女兼任)扱いです。このドラマの俺たちの文さまにはビックリするほどお似合いなので違和感ありませんが、武家の妻女にやらせることじゃありません。

一方、中河原御茶屋では長州藩重役ミーティング。ノベライズだと敬親や重役に対してポンコツが政変の報告をするのですが、ドラマに敬親さんなし。なぜかポンコツが上座の議長席に座っているという謎な席次。進発派と割拠派の席次もめちゃくちゃ(小田ムダ周布さんより上座とか)だし、誰がどれだけ偉いのか、この絵面ではさっぱり分かりません。こういうとこ、ちゃんとこだわろうよ……。

2015/6/16追記:raraさんにご指摘いただいた通り、久坂は床の間の反対側の下座におり、小田ムダや高杉も下座側に座っていました。よって、ここは私の勘違いでした。この部分に対する批判は撤回して、おわびします。 そして、こういう場面は演出次第でドラマを引き締める効果があるのですが、全然ダメダメです。緊迫感の類いが全く醸成されません。ただ、来島の急進派っぷりを描きたかっただけ、的なダルい演出です。

結局何の結論も出せなかったミーティングの後、ポンコツが小田ムダに正式に久米次郎を養子にもらい受けたいと依頼。小田ムダは割とあっさりOK。けど「父としての務めを果たす」という条件を付けます。

何をおっしゃっているのか……。

相変わらず、抽象的なセリフを吐いて何となく大物感を出してきます。言ってる意味は分かりませんが。いや、もちろん日本語としては分かりますけどね。

ノベライズにはこの後、篤太郎と久米次郎を連れた寿が俺たちの文さまのところにやってきて、小田ムダの養子縁組決定メールを文さまに見せ、

寿「文、あんた、久米次郎の母親になる覚悟はあるん?」

と詰め寄り、「やはり久米次郎はやれません。この話、白紙に戻してもらいます」と宣言して去る場面があるのですが、ドラマではカットされていました。

そして、奇兵隊に下女扱いされている俺たちの文さまを陰から見つめるポンコツ。声をかけずに京へ出立。ポンコツの京行きを稔麿から聞いた文さまは、ポンコツを追いますが後の祭り。「ろくに話もしとらんのに」とのことですが、ポンコツの手を振り切って下女働きに精を出していたあなたにも一因があるのでは。まぁ、最初にコミュニケーションを拒否ったのはポンコツですが。

防府天満宮大専坊では、来島と遊撃隊が大盛り上がり。「この来島兵衛とともに、死ぬ覚悟はできとるか!?」とアジる来島。意訳すると、「All for one」ってことですね。遊撃隊に囲まれてウハウハな来島は、まるでスクールウォーズ状態。ここだけ川浜高校って感じです。

花園出場京進発を目指す来島の説得を試みる春風ちゃん。ここも緊張感皆無で残念です。互いに叫きあってるだけです。叫き合いってバカっぽいからやめようよ。あ、バカをバカとして描写してるだけか。

ここで、ドラマとノベライズで大きな違いが生じます。

ノベライズでは、春風ちゃんと決裂した日の夜、来島が椋梨に面会。プンスカする来島に同意し、「来島殿の勇ましさ、胸が熱うなります」とおだてる椋梨。感涙にむせぶ泣き虫先生来島。

来島が帰った後、椋梨は来島を「周りの見えん男じゃ」とdisり、配下の者に「周布が足元もおぼつかぬ若造らに政を任せたゆえ」と語る。それを立ち聞きする俺たちの文さま……という展開。ドラマでは文さまの立ち聞きシーンはドラマラストで、来島と椋梨のツーショットシーンはカット。話の流れからすると、ノベライズが元の脚本に近く、ドラマは編集でシーンのカットと順番入れ替えを行ったように感じます。

(ノベライズでは、椋梨たちの話を聞いて不安になっていた)俺たちの文さまのところへ、三条実美の家来の尾崎三良がお冷やを注文。Fumizonが三条へ湯冷ましを発送し、ある意味藩主よりも身分が高い清華家のお公家様と直接言葉を交わしちゃいます。さすが文さまです。すっかりホームシックの三条さん、「眠れんのや。鴨川のせせらぎが聞こえんと」なんて言ってますが、そもそも京にいたときは聞こえたのかよ? と思って三条実美邸(現梨木神社)を調べるとこんな感じ。おお、一応鴨川の近くじゃないか、と思ったのですが……現代の地図だと直線距離でも300mはあります。聞こえるのか?

ドラマでは1回で決裂した来島と春風ちゃん。ノベライズでは三日三晩続いたとあり、ホームシック三条のシーンの後、再び説得シーンがあります。このシーンのセリフもまとめて1回にしたのがドラマ版というわけです。説得シーンを何度やってもしょうがないので、1回にまとめたのは正解だったと思います。

京では、ポンコツが沖田とエンカウント。ここから春風ちゃんが短銃をぶっ放して逃げるまで、ドラマを引き締める絶好の場面になるはずなのですが……。はずなのに……。ここも全然緊張感がなく、残念。何がいけなかったんだろう? へたくそな若手だけのシーンだったからかな。『義経』の安宅の関は、石橋蓮司が一人で強引にピリピリするような緊迫感を出して、見応えのあるすっごい名場面にしたのを思い出します。ああいうシーンがどうして作れないのでしょうか。

で、取りあえず久坂、高杉、吉田、入江九一の松門四天王集結。脱藩したという春風ちゃんに一同ビックリ。

稔麿「やはり暴れ牛じゃな、高杉さんは」

を? これは……稔麿の絵の逸話の変形か?

九一「俺は木刀じゃ。人を斬るには向かんが、稽古にはよう役立つ」

稔麿「俺は風になる。京を駆け巡り情報を集めてきます」

君は、どうせすぐ「千の風」になって大きな空を吹きわたっていくじゃん。

稔麿「久坂さんは武士じゃ」

というわけで、やはり有名なエピの改変版ですね。元ネタは『維新伝疑史話』にある、稔麿が描いた絵の意味を山縣有朋が尋ねたお話。

牛:誰にもつなぎとめることができない高杉のこと
烏帽子:久坂は雰囲気が立派なので、烏帽子をかぶらせたら絵になる
木刀:入江は木刀程度。斬れないが脅しには使える
棒きれ:凡庸で取りえもない山縣

山縣が未登場だったり稔麿の比喩をでっち上げたりしてますが、原型は見て取れますね。

こんなボーイズトークを展開してたら何やら盛り上がり、みんなで右手を重ね合います。ファイトーオーとか言い出しそうでハラハラしました。

ノベライズでは稔麿がふさと別れて京に出立した直後に配置されていたのが、俺たちの文さまのスイーツ作りシーン。何と、文さまは食べたこともない八つ橋を材料リストだけで作り出そうというのですから驚きです。できるわけねーよと嘲笑していたら、できちゃいました。さすが俺たちの文さま。胸が熱くなるな。

文さまが東郷平八郎付きの料理長だったら、日本食「肉じゃが」は生まれず、東郷平八郎はビーフシチューを食べることができたことでしょう(注)。

注:英国帰りの東郷平八郎が料理長にビーフシチューを作れと命じたが、料理長はビーフシチューを知らず、東郷から聞いた材料で作ったものが肉じゃがの始まり、という説がある。否定する説もある。

幕末に生まれた天才パテシエール文さまは、三条に八つ橋を発送しようとして叱られます。そして、またまたまたまた義兄とツーショット。というわけで私はトイレタイム。

何しないで過ごせるほど人生は短くない。だが、文さまと小田ムダのシーンをダラダラ見ているほど長くもない。

場面は再び長州。小田ムダと寿の部屋を訪れる俺たちの文さま。あらためて久米次郎の養子縁組を依頼します。正直どうでもいい話がほとんどで内容はほとんど覚えていないのですが(まぁノベライズを読めばいいだけなんだけど)、存在が抹消されるかと思っていた艶が登場。玉木文之進の介錯までした、三姉妹の中で最もエピソード豊富な長女はやはり抹消なんでしょうけど。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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