大河ドラマ「花燃ゆ」 第3回 ついてない男 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/01/18 22:26

今回は「ついてない男」というより「(役に)合ってない男」でした。
嘉永6年(1853年)。文は数え11歳(満9~10歳)になりました。4歳差の寿は数え15(満13~14歳)。伊之助の江戸勤務終了を待って、この年7月、伊之助と寿が祝言をあげます。

個人的なこだわりで脱藩をやらかした寅次郎は育みに。が、10年間の遊学を許されるなど、かなりの温情処分です。こうした周囲の好意を今後も全部踏みにじっちゃうのが寅次郎さんです。

というわけで、早速やらかします。殿に匿名で建白書が届いたという話に反応する伊之助たち。「ぜってーアイツだよ」って感じです。

ドラマでは時間経過が不明瞭でしたが、文とうなされる伊之助のシーンは祝言の後。伊之助は「式が終わった途端、倒れ込むように布団に入ってしまった」ということで、あれが初夜。寿が朝食にファイトを燃やしていたのは最初の朝ということです。

が、伊之助は汁を飯にぶっかけて適当にかっ込みます。これは寿がかわいそう!って思っとけばいいんでしょうね。後の「私を見てくれない」のシーンといい、現代劇でもありそうな夫婦のすれ違いシーンのテンプレって感じでしたが。 大人達が寅次郎の建白書に振り回されているころ、子どもたちもいっちょ前に政治談義。吉田稔麿が数え13、入江九一が同17、野村靖が同12、久坂玄瑞が同14(満年齢はマイナス1~2歳)。年長の入江はともかく、残りは小学生ですね。実にほほえましい。

伊之助と梅太郎は周布支店長の部屋を訪問。渡された建白書『将及私言』を一目見て、寅次郎の字であることを確認。がこの支店長はいい支店長。部下に責任を押し付けるどころか、建白書をanonymous化してくれていたのでした。

周囲の人々が心配し、助命嘆願し、罪に問われないようにフォローしてくれているところへ、寅次郎がのんきに帰郷。「自分の命を何のために使う? 死などかまわん」などとのたまってますが、確かに自分だけのことですむならそうすればよろしい。が、周囲を巻き込むことを考えてないあたりが幼稚です。ドラマではがんばって「至誠の人」っぽく描いてますが、ちょっと政治にかぶれたイキがっている中学生にしか見えなくて失笑。

それから、文に詰め寄られ、なぜか川の中へジャブジャブ突入する寅次郎。この演出、現代劇でもよく見ますが、何これ? 普通、川に入る? 何したいの? こんなヤツいねーよ。こんな演出しちゃうのって、恥ずかしくね?

そこへ、周布の下から帰ってきた伊之助と梅太郎が「偶然にも!」やってきます。ノベライズに「秋風に逆らうように」とあるので嘉永6年の後半。

寅次郎「もう兄上たちに心配はおかけしません。学問に専念いたします」

と、実に嘘くさいセリフで誤魔化して、終の別れかのような礼をして立ち去る寅次郎。

ノベライズによると「桃の節句も終わり、日一日と暖かくなっている」ということで翌嘉永7年(1854年)の春。馬関に黒船来航ってことで騒然となる萩。

一方、江戸では寅次郎は金子とろくでもないこと(アメリカ渡航)を密談中。そこに踏み込む梅太郎と伊之助。

梅太郎「これをしたいと思うたら歯止めが利かん。それでは子どもと一緒じゃ」

その通り。

梅太郎「世間のしきたりも、お家のおきても、主君への忠義も、お構いなしに踏み越えようとする」

狂信者たちと同じメンタリティですな。

梅太郎「そのことで一家が後ろ指をさされ路頭に迷おうとも、お前は『公のため』『天下万民のため』やと言うんじゃろう」

あー、イタいですね。実にイタい。

梅太郎「それは詭弁じゃ。勝手を許されんかった五歳の子どものわがままとかわらん」

ですよねー。

梅太郎「どうか、大人になってくれ。正しい筋道で、正しいやり方で世の中を変えればええ」

全く。ここを踏み外すと単なるテロリストですね。って、長州藩の連中のことか。

なんかイマイチな回でしたが、このシーンの原田泰造は実によかった。中二病をこじらせた松蔭にしっかりダメだししたところもよかった。というかココだけ良かった。

異国船を見に行くと約したお子ちゃま達は集まらず、文と玄瑞だけが見に行くことに。

しかし、何だこの玄瑞。玄瑞といえば「美声」だったはずなのに、鼻にかかった気の抜けた声。張りもなくて滑舌も悪い。そしてヒドイ棒読みのヘタクソ。去年はミスキャストまみれでしたが、今回は玄瑞が最大のミスキャストになりそう。

万感の想いが詰まった願掛けだったのは認めますが、女の前でメソメソすんなや。武士として生きたいとか言ってる男子が。数え15の小僧とはいえ、しょっぱい玄瑞だなぁ。

3月3日、日米和親条約締結。寅次郎を訪ねた伊之助のカンは大したものですが、一足遅かった。寅次郎と金子は既に下田でスタンバってます。イタい人はなぜか機動力があるものです。

萩では、寿が懐妊報告。小田村家を継いだ小田村希家です。

禍福はあざなえる縄のごとし。おめでたの次は凶報です。中二病がさらに重篤化した寅次郎が、周囲の迷惑も顧みず、黒船に乗り込みます。結局、自分がやりたいことをやってるだけなんですな、この人。

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